そもそも、何のための協定なのか?
「1年単位の変形労働時間」とは、業務に繁閑のある場合等で繁忙期に長い労働時間を設定し、閑散期に短い労働時間を設定することにより効率的に労働時間を配分して、年間の総労働時間の短縮を図ることを目的としています。
この制度を採用する場合には、労働協定を締結し、所轄労働基準監督署に届け出ることにより、1カ月~1年以内の期間を平均し1週間の労働時間を40時間以下の範囲内にした場合、特定の日や週について1日及び1週間の法定労働時間を超えて労働させることができる制度です。
たとえば、月~金は通常通りの勤務で、ある週の土曜日だけ施設の行事で従業員には出勤してもらいたい時があるとします。ですが、月~金ですでに40時間の勤務を行っていますので労働させることはできません。ちなみに36協定でも出勤してもらうことはできますが、休日出勤扱いとなり割増賃金となります。
ですが、翌週の月曜日が祝日だったとします。経営としては、1週目の土曜日を出勤扱いにし翌週月曜日を休日とすることによって平均で週40時間とできないか?というのはよくあると思います。
前述のことを、届出をすることによって認めてもらうのが【1年単位の変形労働時間制に関する協定届】ということです。上の例では2週間であらわしましたが、これを1カ月~1年間の範囲で設定することができます。
対象労働者の範囲
対象労働者の範囲を協定で明確にする必要があります。勤務期間が満たない途中採用者・途中退職者はどは賃金の精算を条件に制度の適用が認められます。
対象期間
1カ月~1年以内の期間に限られます。
労働日と労働時間を設定
対象期間を平均して、1週間の労働時間が40時間を超えないように対象期間内の各日、各週の所定労働時間を定めることが必要です。
1日8時間で1週平均40時間を満たすとすれば、年間の日数は以下のとおりになります。
1日の所定時間 | 休日 (カッコ内:1年366日の場合) |
---|---|
8時間00分 | 105日(105日) |
7時間45分 | 96日(97日) |
7時間30分 | 87日(88日) |
労働日数の上限
日数の限度は原則として1年間280日。ただし1日8時間で週平均40時間を満たすとすると、前述の休日との関係から260日となります。さらに対象期間が3ヵ月以内の場合、制限はなし)
- 対象期間が3ヵ月以内の場合
-
制限なし
- 1年未満の場合、下記計算式による
-
例)対象期間が2022年4月1日から10月31日までの7ヵ月(総暦日数214日)の場合は
280日×214日÷365日=164.16≒164日
対象期間における連続労働日数
連続労働日数は原則として最長6日までとなっています。
例外として、「特定期間」を設ければ1週間に1日の休日が確保できる日数(最長12日)とすることができます。
1年単位の変形労働時間制の届出に必要な内容を紹介
- 1年単位の変形労働時間制に関する協定届
- 書面による労使協定
- 変形労働時間制期間中の労働日および時間がわかる勤務カレンダー
- 就業規則に変更がある場合、労働者代表の意見書を添付した就業規則
いずれも、提出用と控用、2部ずつ必要