障害福祉事業の「地域連携会議実施加算」とは?適用条件と注意点を解説!
目次
「地域連携会議実施加算」の概要
「地域連携会議実施加算」は、障害福祉サービス事業の中で、利用者の就労移行支援計画をより効果的なものにするために付与される報酬加算です。この加算は、地域の支援機関や専門家が参加するケース会議を通じて、利用者の希望や適性を把握し、支援計画の質を向上させる取り組みに対して支払われます。
参加者には、ハローワークや地域障害者職業センター、医療機関、企業の担当者などが含まれ、利用者に最適な支援を提供するための多様な視点が加えられます。また、ケース会議はオンラインでも実施可能であり、柔軟な対応が可能です。
本記事では、「地域連携会議実施加算」の概要等について詳しく解説します。この加算の理解を深め、利用者への支援をより充実させるヒントを得てください。
対象サービス
算定要件など
■ケース会議の開催要件
- 利用者の個別支援計画作成や変更時に開催。
- 月1回、年4回までが加算対象となる。
- オンライン形式での開催も可能。
■ケース会議の参加者
- ハローワーク、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターなどの公共機関。
- 医療機関、企業担当者、自治体職員など、利用者支援に関与する関係者。
■加算(I)と加算(II)の違い
- 加算(I):サービス管理責任者がケース会議に出席し、計画案を説明しながら専門的な意見を求める。
- 加算(II):職業指導員や生活支援員などが説明し、その結果をサービス管理責任者に共有する形式。
■実施時の注意点
- 障害特性に配慮した進行を行うこと。
- 個人情報保護法や関連ガイドラインに基づく適切な運用が必要。
※詳細は報酬告示と留意事項を参照ください。
報酬告示と留意事項
※令和6年4月1日現在
就労移行支援
イ 加算(Ⅰ) | 583単位/回 |
ロ 加算(Ⅱ) | 408単位/回 |
(Ⅰ)(Ⅱ)合わせて 1月に1回かつ1年につき4回を限度とする
注1 イについて
指定就労移行支援事業所等が、就労移行支援計画等の作成又は変更に当たって、関係者(公共職業安定所、地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センターその他当該指定就労移行支援事業所等以外の事業所において障害者の就労支援に従事する者をいう。以下この15の5において同じ。)により構成される会議を開催し、当該指定就労移行支援事業所等のサービス管理責任者が当該就労移行支援計画等の原案の内容及び実施状況(利用者についての継続的な評価を含む。)について説明を行うとともに、関係者に対して、専門的な見地からの意見を求め、就労移行支援計画等の作成、変更その他必要な便宜の供与について検討を行った場合に、1月につき1回、かつ、1年につき4回(ロを算定している場合にあっては、その回数を含む。)を限度として、所定単位数を加算する。
注2 ロについて
ロについては、指定就労移行支援事業所等が、就労移行支援計画等の作成又は変更に当たって、関係者により構成される会議を開催し、当該会議において、当該指定就労移行支援事業所等のサービス管理責任者以外の職業指導員、生活支援員又は就労支援員が当該就労移行支援計画等の原案の内容及び実施状況(利用者についての継続的な評価を含む。)について説明を行うとともに、関係者に対して、専門的な見地からの意見を求め、就労移行支援計画等の作成、変更その他必要な便宜の供与について検討を行った上で、当該指定就労移行支援事業所等のサービス管理責任者に対しその結果を共有した場合に、1月につき1回、かつ、1年につき4回(イを算定している場合にあっては、その回数を含む。)を限度として、所定単位数を加算する。
- 報酬告示第12の15の5の地域連携会議実施加算については、利用者の就労移行支援計画の作成やモニタリングに当たって、利用者の希望、適性、能力を的確に把握・評価を行うためのアセスメントについて、地域のノウハウを活用し、その精度を上げ、支援効果を高めていくための取組として、次に掲げる地域の就労支援機関等において障害者の就労支援に従事する者や障害者就労に係る有識者を交えたケース会議を開催し、専門的な見地からの意見を求め、就労移行支援計画の作成や見直しを行った場合に、利用者ごとに月に 1 回、年に 4 回を限度に、所定単位数を加算する。
ケース会議は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。
ただし、障害を有する者が参加する場合には、その障害の特性に応じた適切な配慮を行うこと。
なお、個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(外部リンク)」等を遵守すること。
- ア ハローワーク
- イ 障害者就業・生活支援センター
- ウ 地域障害者職業センター
- エ 他の就労移行支援事業所
- オ 特定相談支援事業所
- カ 利用者の通院先の医療機関
- キ 当該利用者の支給決定を行っている市町村
- ク 障害者雇用を進める企業
- ケ その他障害者の就労支援を実施している企業、団体等
- ケース会議の開催のタイミングについては、サービス利用開始時や、3 月に 1 回以上行うこととしている就労移行支援計画のモニタリング時、標準利用期間を超えた支給決定期間の更新時などが考えられる。
- 就労移行支援計画に関するケース会議について、下記アを行った場合には地域連携会議実施加算(I)と、イを行った場合に地域連携会議加算(II)を算定すること。
- ア サービス管理責任者がケース会議に出席して就労移行支援計画の原案の内容及び実施状況について説明を行うとともに、関係者に対して専門的な見地からの意見を求め、必要な便宜の供与について検討を行った
- イ サービス管理責任者以外の職業指導員、生活支援員又は就労支援員がケース会議に出席して就労移行支援計画の原案の内容及び実施状況について説明を行うとともに、関係者に対して専門的な見地からの意見を求め、必要な便宜の供与について検討を行った上で、サービス管理責任者に対しその結果を共有した場合
就労定着支援
イ 加算(Ⅰ) | 579単位/回 |
ロ 加算(Ⅱ) | 405単位/回 |
(Ⅰ)(Ⅱ)合わせて 1月に1回かつ1年につき4回を限度とする
注1 イについて
イについては、指定就労定着支援事業所が、関係機関(地域障害者職業センター、障害者就業・生活支援センター、医療機関その他当該指定就労定着支援事業所以外の事業所をいう。以下この2において同じ。)との連携を図るため、関係機関において障害者の就労支援に従事
する者により構成される、利用者に係る就労定着支援計画に関する会議を開催し、当該指定就労定着支援事業所のサービス管理責任者が関係機関との連絡調整を行った場合に、1月につき1回、かつ、1年につき4回(ロを算定している場合にあっては、その回数を含む。)を限度として、所定単位数を加算する。
注2 ロについて
ロについては、指定就労定着支援事業所が、就労定着支援計画の作成又は変更に当たって、関係者により構成される会議を開催し、当該会議において、当該指定就労定着支援事業所のサービス管理責任者以外の就労定着支援員が当該就労定着支援計画の原案の内容及び実施状況(利用者についての継続的な評価を含む。)について説明を行うとともに、関係者に対して、専門的な見地からの意見を求め、就労定着支援計画の作成、変更その他必要な便宜の供与について検討を行った上で、当該指定就労定着支援事業所のサービス管理責任者に対しその結果を共有した場合に、1月につき1回、かつ、1年につき4回(イを算定している場合にあっては、その回数を含む。)を限度として、所定単位数を加算する。
- 報酬告示第 14 の 2 の 2 の地域連携会議実施加算については、就労定着支援事業所が、次に掲げる地域の就労支援機関等との必要な連絡体制の構築を図るため、各利用者の就労定着支援計画に係る関係機関を交えたケース会議を開催し、関係機関との連絡調整を行った場合に、支援期間(最大 3 年間)を通じ、1 月に 1 回、年に 4 回を限度に、所定単位数を加算する。
ケース会議は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。
ただし、障害を有する者が参加する場合には、その障害の特性に応じた適切な配慮を行うこと。なお、個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(外部リンク)」等を遵守すること。
- ア 障害者就業・生活支援センター
- イ 地域障害者職業センター
- ウ ハローワーク
- エ 当該利用者が雇用されている事業所
- オ 通常の事業所に雇用される以前に利用していた就労移行支援事業所等
- カ 特定相談支援事業所
- キ 利用者の通院先の医療機関
- ク 当該利用者の支給決定を行っている市町村
- ケ その他障害者の就労支援を実施している企業、団体等
- 利用者の就労定着支援を実施していく上で、雇用されることに伴い生じる日常生活又は社会生活を営む上での相談等は当該就労定着支援事業所が担うこととなるが、就業面や健康面の相談等に関しては、他の関係機関と連携することで、より効果的な支援が提供可能となる。
また、サービス終了後に職場定着支援が引き続き必要な場合などが予め想定されるときには、サービス利用期間中に障害者就業・生活支援センター等の関係機関との協力関係を構築しておくことも重要である。
このため、ケース会議の実施にあたっては、利用者の就労定着支援計画をより充実したものにすることはもとより、個別の支援における関係機関との連携強化を図ること。
ただし、他の関係機関と連携して利用者の就労定着支援を実施するに当たっては、利用者又は当該利用者が雇用されている企業の支援ニーズや支援の必要性を十分に精査した上で、当該関係機関との調整に当たること。なお、就労定着支援計画に関するケース会議であるため、サービス管理責任者は必ず出席すること。
- 就労定着支援計画に関するケース会議であるため、下記アを行った場合には地域連携会議実施加算(I)と、イを行った場合に地域連携会議加算(II)を算定すること。
- ア サービス管理責任者がケース会議に出席して就労定着支援計画の原案の内容及び実施状況について説明を行うとともに、関係者に対して専門的な見地からの意見を求め、必要な便宜の供与について検討を行った
- イ サービス管理責任者以外の職業指導員、生活支援員又は就労支援員がケース会議に出席して就労定着支援計画の原案の内容及び実施状況について説明を行うとともに、関係者に対して専門的な見地からの意見を求め、必要な便宜の供与について検討を行った上で、サービス管理責任者に対しその結果を共有した場合
参考:厚生労働省告示第523号
参考:障発第1031001号
Q&A
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まとめ
地域連携会議実施加算は、個別支援計画をより効果的なものにするための重要な加算制度です。ケース会議を通じて、地域のノウハウや専門的な意見を反映させることで、利用者にとって最適な支援が可能となります。
特に、ケース会議を開催する際は、ハローワークや医療機関などの多様な関係者と協力し、専門性を活用することが求められます。また、オンライン会議の活用や個人情報保護への配慮など、現代の実務に適応した取り組みも重要です。
本記事でご紹介した要件や注意点を参考に、現場での実務に活かしてください。この加算を効果的に活用することで、支援計画の質が高まり、利用者の就労成功へとつながるでしょう。
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