障害福祉サービス「重度訪問介護」の報酬の条件や留意すべきポイントとは? 2-(2)

参考:障発第1031001号(令和6年3月29日改正)

目次

2.介護給付費

(2)重度訪問介護サービス費

①重度訪問介護の対象者について
  •  病院等に入院又は入所をしている障害者以外の障害者に対して提供した場合 区分4以上に該当し、次のア又はイのいずれかに該当する者
    • 2 肢以上に麻痺等がある者であって、障害支援区分に係る市町村審査会による審査及び判定の基準等に関する省令(平成26年厚生労働省令第5号。)別表第1における調査項目のうち「歩行」、「移乗」、「排尿」、「排便」のいずれもが「支援が不要」以外に認定されているもの
    • 行動関連項目合計点数(第543号告示第4号に規定する行動関連項目合計点数をいう。以下同じ。)が10点以上である者
  • 病院等に入院又は入所をしている障害者に対して提供した場合
    のうち、区分4以上に該当し、病院等へ入院又は入所する前から重度訪問介護を利用している者
②重度訪問介護サービス費の算定について

重度訪問介護は、重度の肢体不自由者又は重度の知的障害若しくは精神障害により行動上著しい困難を有する障害者であって、常時介護を要するものに対して、比較的長時間にわたり、日常生活に生じる様々な介護の事態に対応するための見守り等の支援とともに、食事や排せつ等の身体介護、調理や洗濯等の家事援助、コミュニケーション支援や家電製品等の操作等の援助及び外出時における移動中の介護が、総合的かつ断続的に提供されるような支援をいうものである。 

 したがって、重度訪問介護については、比較的長時間にわたり、日常生活に生じる様々な介護の事態に対応するための見守り等の支援とともに、身体介護や家事援助等の援助が断続的に行われることを総合的に評価して設定しており、同一の事業者がこれに加えて身体介護及び家事援助等の居宅介護サービス費を算定することはできないものであること。 

 ただし、当該者にサービスを提供している事業所が利用者の希望する時間帯にサービスを提供することが困難である場合であって、他の事業者が身体介護等を提供する場合にあっては、この限りでない。 

 また、外出時において、行動援護サービスを利用する場合の方が適している場合にあっては、重度訪問介護に加えて、行動援護サービス費を算定することは差し支えないこととする。 

 なお、病院等に入院又は入所中の障害者に重度訪問介護を行った場合の重度訪問介護サービス費の算定については以下のとおりとする。 

  •  病院等に入院又は入所中には、健康保険法の規定による療養の給付や介護保険法の規定による介護給付等(以下「他法給付」という。)が行われることなどから、重度訪問介護により提供する支援は、利用者が病院等の職員と意思疎通を図る上で必要な支援等を基本とする。

     なお、意思疎通の支援の一環として、例えば、適切な体位交換の方法を病院等の職員に伝えるため、重度訪問介護従業者が病院等の職員と一緒に直接支援を行うことも想定されることに留意されたい。 

     なお、他法給付のうち、健康保険法の規定による療養の給付を受けている患者については、保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年厚生省令第15号) 第20条第7号において、「保険医は、患者の負担により、患者に保険医療機関の従業員以外の者による看護を受けさせてはならない。」と、介護保険法の規定による介護給付を受けている入所者等についても、介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(平成 11 年厚生省令第 40 号)等において、「介護老人保健施設は、その入所者に対して、入所者の負担により、当該介護老人保健施設の従業者以外の者による看護及び介護を受けさせてはならない。」等と規定されている。 

     このため、病院等に入院又は入所中の利用者に対する重度訪問介護の提供に当たっては、病院等との連携のもとに行うことを報酬算定上の要件としている。

    当該要件は、重度訪問介護により具体的にどのような支援を行うかについて、個々の利用者の症状等に応じて、病院等で提供される治療等に影響がないように病院等の職員と十分に調整した上で行う必要があるために設けたものであることに留意されたい。 

     また、入院又は入所中の病院等からの外出する場合の支援(他法給付と重複し ないものに限る。)についても重度訪問介護を利用できるものであることに留意されたい。 
  • 重度訪問介護従業者は、利用者との意思疎通を図ることができる者とする。
  • 入院又は入所中の病院等における支援等に当たっては、原則として、指定重度訪問介護事業所等と当該病院等が、利用者の病状等や病院等が行う治療等及び重度訪問介護の支援の内容について共有した上で行うこととする。
  • 入院又は入所した病院等において利用を開始した日から起算して 90 日を超えて支援を行う場合は、障害者へのコミュニケーション支援等の必要性について、 市町村が認めた場合に限り、所定単位数の 100 分の 80 に相当する単位数を算定する。

    90 日を超える利用に当たっては、30 日ごとに、重度訪問介護の必要性に ついて市町村が認める必要があるものとする。 

    また、当該日数について、入院又は入所していた病院等から利用者が転院する等により、意思疎通の支援等の必要性が改めて認められる場合にあっては、転院先の病院等において利用を開始した日から改めて起算するものとする。
③重度の知的障害若しくは精神障害により行動上著しい困難を有する障害者であって常時介護を要する者に対する重度訪問介護について
  •  ①ののイに規定する者については、行動障害に専門性を有する行動援護事業者等によるアセスメントや環境調整などを行った上で、重度訪問介護を行った場合に所定単位数が算定できるものであること。 
  •  従業者については、専門性を確保するため、重度訪問介護従業者養成研修行動障害支援課程(指定居宅介護の提供に当たる者としてこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定めるもの等(平成18年厚生労働省告示第538号。以下「居宅介護従業者基準」という。) の別表第 5 に定める内容以上の研修課程をいう。)
    強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)(居宅介護従業者基準別表第5に定める内容以上のものをいう。)
    強度行動障害支援者養成研修(実践研修)又は行動援護従業者養成研修(居宅介護従業者基準別表第8に定める内容以上の研修課程をいう。)を修了していることが望ましい。
  •  重度訪問介護従業者養成研修行動障害支援課程及び強度行動障害支援者養成研修(基礎研修)は、アセスメントを理解してサービスを提供する上で必要な研修と位置づけているところであり、アセスメントを行う側の研修ではないことから、これらの研修のみを修了した者については、アに定める「行動障害に専門性を有する行動援護事業者等によるアセスメントや環境調整を行う者」としては望ましくない。
④重度訪問介護の所要時間について
  •  短時間に集中して支援を行うという業務形態を踏まえて短時間サービスが高い単価設定となっている居宅介護に対し、重度訪問介護については、同一箇所に長時間滞在しサービス提供を行うという業務形態を踏まえ、重度訪問介護従業者の 1 日当たりの費用(人件費及び事業所に係る経費)を勘案し 8 時間を区切りとする単価設定としているものである。
     また、8 時間を超えるサービス提供を行う場合には、事業所の管理コストが逓減することを踏まえ、8 時間までの報酬 単価の 95%相当額を算定することとしているものである。

    したがって、同一の事業者が、1 日に複数回の重度訪問介護を行う場合には、1 日分の所要時間を通算して算定する。

    この場合の 1 日とは、0 時から 24 時までを指すものであり、翌日の 0 時以降のサービス提供分については、所要時間1時間から改めて通算して算定する。

    また、1 日の範囲内に複数の事業者が重度訪問介護を行う場合に は、それぞれの事業者ごとに 1 日分の所要時間を通算して算定する。 

    (例)1日に、所要時間7時間30分、7時間30分の2回行う場合
     → 通算時間7時間30分+7時間3 分=15時間 
     → 算定単位「所要時間12時間以上16時間未満の場合」
  • 1回のサービスが午前 0 時をまたいで 2 日にわたり提供される場合、午前 0 時 が属する 30 分の範囲内における午前 0 時を超える端数については、1日目の分に含めて算定する。

    (例)22時45分から6時45分までの8時間の連続するサービス
    ・22時45分から0時15分までの時間帯の算定方法 

    1 日目分1時間 30 分として算定 
    ・ 0時15分から6時45分までの時間帯の算定方法 
    2 日目分 6 時間 30 分として算定
  • 重度訪問介護にかかる報酬は、事業者が作成した重度訪問介護計画に基づいて行われるべき指定重度訪問介護等に要する時間により算定されることとなるが、当該重度訪問介護計画の作成に当たっては、支給量が30分を単位として決定されること、また、報酬については 1 日分の所要時間を通算して算定されることを踏まえ、決定された時間数が有効に活用されるよう、利用者の希望等を十分に踏まえることが重要である。
⑤特に重度の障害者に対する加算の取扱いについて

重度訪問介護従業者養成研修(居宅介護従業者基準の別表第3に定める内容以上の研修課程又は別表第4に定める内容以上の研修課程をいう。)を修了した者が、①の(一)ア及び(二)に規定する者のうち、重度障害者等包括支援の対象となる支援の度合にある者に対して重度訪問介護を行った場合にあっては所定単位数の 100 分 の 15 に相当する単位数を、区分 6 に該当する者に対して重度訪問介護を行った場 合にあっては所定単位数の 100 分の 8.5 に相当する単位数を、それぞれ所定単位数に加算する。 

 なお、重度訪問介護従業者養成研修(居宅介護従業者基準第 1 条第 5 号に規定する重度訪問介護従業者養成研修をいう。)を修了した者が、加算対象となる重度障害者に対して重度訪問介護を行う場合は、当該加算対象者に対する緊急時の対応等についての付加的な研修である重度訪問介護従事者養成研修追加課程(居宅介護従業者基準の別表第 3 に定める内容以上の研修課程をいう。)又は重度訪問介護従業者養成研修統合課程(居宅介護従業者基準の別表第 4 に定める内容以上の研修課程をいう。)を修了している場合についてのみ所定単位数が算定できるものであること。 

⑥2人の重度訪問介護従業者による重度訪問介護の取扱い等について
  1. 2の⑴の⑬の(一)の規定を準用する。 
2の⑴の⑬の(一)2 人の居宅介護従業者による居宅介護の取扱い等について

 2人の居宅介護従業者による居宅介護について、それぞれの居宅介護従業者が行う居宅介護について所定単位数が算定される場合のうち、こども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める要件並びに厚生労働大臣が定める要件(平成18年厚生労働省告示第546号以下「第546号告示」という。) 第 1 号イに該当する場合としては、体重が重い利用者に入浴介助等の重介護を内容とする居宅介護を提供する場合等が該当し、第 1 号ハに該当する場合としては、例えば、エレベーターのない建物の 2 階以上の居室から歩行困難な利用者を外出させる場合等が該当するものであること。

したがって、単に安全確保のために深夜の時間帯に 2 人の居宅介護従業者によるサービス提供を行った場合は、利用者側の希望により利用者や家族の同意を得て行った場合を除き、こ の取扱いは適用しない

  •  2人の重度訪問介護従業者による重度訪問介護について、それぞれの重度訪問介護従業者が行う重度訪問介護について所定単位数が算定される「指定重度訪問介護事業所等に勤務する熟練した重度訪問介護従業者の同行が必要であると認められる場合」のうち、第 546 号告示第 2 号イについては、区分 6 の利用者 に対する支援が、当該重度訪問介護事業所に新規に採用された従業者(利用者への支 援が 1 年未満となることが見込まれる者及び採用からおよそ 6 か月を経過した 従業者は除く。以下「新任従業者」という。)であるために、意思疎通や適切な 体位交換などの必要なサービス提供が十分に受けられないことがないよう、当 該利用者への支援に熟練した重度訪問介護従業者(当該利用者の障害特性を理 解し、適切な介護が提供できる者であり、かつ、当該利用者へのサービスについ て利用者から十分な評価がある重度訪問介護従業者のことをいう。以下「熟練従業者」という。)が同行してサービス提供を行うことについて、市町村が認め る場合を指す。 

     当該算定に係る考え方は以下のとおりである。 
    • ア 区分6の利用者に対し、重度訪問介護を提供した新任従業者ごとに、120時間以内に限り、所定単位数を算定する。

       ただし、原則として、1 人の区分 6 の利用者につき、年間で 3 人の従業 者について算定できるものとする。ただし、地域の重度訪問介護従業者の従事状況等の事情により、市町村が認めた場合には、3 人を超えて算定できることとする。 
    • イ 熟練従業者が複数の新任従業者に同行した場合の時間に制限はない。
    • ウ 熟練従業者が同行して支援を行うことの必要性や、当該期間については、利用者の状態像や新任従業者の経験等を踏まえて判断されるものである。
    • エ 新任従業者が複数の区分 6 の利用者に支援を行う場合、当該利用者に行う 同行支援の合計時間が 120 時間を超えることは認められない。
  •  2人の重度訪問介護従業者による重度訪問介護について、それぞれの重度訪問介護従業者が行う重度訪問介護について所定単位数が算定される「指定重度訪問介護事業所等に勤務する熟練した重度訪問介護従業者の同行が必要であると認められる場合」のうち、第 546 号告示第 2 号ロについては、当該重度訪問介護事業所において重度障害者等包括支援の対象となる支援の度合にある者への支援に初めて従事する従業者(利用者への支援が 1 年未満となることが見込まれる者は除く。)が支援を行うために、専門的な支援技術を必要とする利用者に対し、意思疎通や適切な体位交換などの必要なサービス提供が十分に受けられないことがないよう、当該利用者への支援に熟練した重度訪問介護従業者が同行してサービス提供を行うことについて、市町村が認める場合を指す。
    当該算定に係る考え方は以下のとおりである。
    • ア 重度障害者等包括支援の対象となる支援の度合にある者に対し、初めて重度訪問介護を提供した従業者ごとに、120時間間で3人の従業者について算定できるものとする。
       ただし、地域の重度訪問介護従業者の従事状況等の事情により、市町村が認めた場合には、3 人を超えて算定できることとする。以内に限り、所要単位数を算定する。
       原則として、1 人の重度障害者等包括支援の対象となる支援の度合にある者につき、年間で 3 人の従業者について算定できるものとする。
       ただし、地域の重度訪問介護従業者の従事状況等の事情により、市町村が認めた場合には、3 人を超えて算定できることとする。
    • イ 熟練従業者が複数の従業者に同行した場合の時間に制限はない。
    • ウ 熟練従業者が同行して支援を行うことの必要性や、当該期間については、利用者の状態像や従業者の経験等を踏まえて判断されるものである。
    • エ 従業者が複数の重度障害者等包括支援の対象となる支援の度合にある者に支援を行う場合、当該利用者に行う同行支援の合計時間が 120 時間を超えることは認められない。
⑦早朝、夜間、深夜の重度訪問介護の取扱いについて

 早朝、夜間、深夜の重度訪問介護の取扱いについては、原則として、実際にサービス提供を行った時間帯の算定基準により算定されるものであること。

 ただし、基準額の最小単位(最初の1時間とする。)までは、サービス開始時刻が属する時間帯の算定基準により算定すること(サービス開始時刻が属する時間帯におけるサービス提供時間が30分未満である場合には、多くの時間を占める時間帯の算定基準により算定すること。)。

 また、基準額の最小単位以降の30分単位の中で時間帯をまたがる場合には、当該30分の開始時刻が属する時間帯により算定すること(当該30分の開始時刻が属する時間帯におけるサービス提供時間が15分未満である場合には、当該30分のうち、多くの時間帯の算定基準により算定すること。)

⑧特定事業所加算の取扱い

ア 会議の定期的開催

 第543号告示第 5 号イ⑵㈠の「利用者に関する情報若しくはサービス提供に当たっての留意事項の伝達又は当該指定重度訪問介護事業所又は当該共生型重度訪問介護事業所における重度訪問介護従業者の技術指導を目的とした会議」 とは、サービス提供責任者が主宰し、登録ヘルパーも含めて、当該事業所においてサービス提供に当たる重度訪問介護従業者のすべてが参加するものでなけれ ばならない。

 なお、実施に当たっては、全員が一堂に会して開催する必要はな く、サービス提供責任者ごとにいくつかのグループ別に分かれて開催することで差し支えない。

 会議の開催状況については、その概要を記録することとする。
 なお、「定期的」とは、概ね 1 月に 1 回以上開催されている必要がある。 

 なお、利用者に対して土日、祝日、お盆、年末年始を含めた年間を通して時間帯を問わずにサービス提供を行っている事業所においては、当該要件のうち「又はサービス提供責任者が重度訪問介護従業者に対して個別に利用者に関する情報若しくはサービスに当たっての留意事項の伝達や技術指導を目的とした研修を必要に応じて行っていること。」を適用とするものとし、必ずしも毎月の開催ではなく必要性が生じた場合に開催することで差し支えない

 ただし、この場合においても、会議の開催状況については、その概要を記録する必要がある。 

 会議は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。

ただし、 障害を有する者が参加する場合には、その障害の特性に応じた適切な配慮を行うこと。なお、個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(外部リンク)」等を遵守すること

イ 文書等による指示

 543号告示第5号イ(2)(二)の「当該利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項」とは、少なくとも、次に掲げる事項について、その変化の動向を含め、記載しなければならない。

・利用者のADLや意欲
・利用者の主な訴えやサービス提供時の特段の要望
・家族を含む環境
・前月(又は留意事項等に変更があった時点)のサービス提供時の状況
・その他サービス提供に当たって必要な事項

また、「毎月定期的」とは、当該サービス提供月の前月末に当該利用者に関する情報やサービス提供に当たっての留意事項を伝達すること。

なお、「文書等の確実な方法」とは、直接面接しながら文書を手交する方法のほか、FAX、メール等によることも可能である。

ウ サービスの提供体制

 第543号告示第 5 号イ⑹の「常時、重度訪問介護従業者の派遣が可能となっており、現に深夜帯も含めてサービス提供を行っていること。」とは、前月の実績において、夜間、深夜、早朝の時間帯についてもサービスが提供されており、また、指定障害福祉サービス基準第 31 条第 3 号に規定する営業日及び営業時間 において、土日、祝日、お盆、年末年始を含めた年間を通して時間帯を問わずに 重度訪問介護従業者の派遣が可能となっている事業所をいう。 

 なお、届出を行った月以降においても、土日、祝日、お盆、年末年始を含めた年間を通して、時間帯を問わずにサービスを提供していることが必要であり、サービスが提供できない場合については、直ちに第 1 の 5 の届出を提出しなければならない。

エ 重度障害者対応要件

第543号告示第 5 号イ(10)の障害支援区分 5 以上である者又は喀痰吸引等を必要とする者の割合については、前年度(3 月を除く。)又は届出日の属する月の前 3 月の 1 月当たりの実績の平均について、利用実人員を用いて算定するものとする。
また、本要件に係る割合の計算において、喀痰吸引等を必要とする者を算入できる事業所は、社会福祉士及び介護福祉士法の規定に基づき、自らの事業又はその一環として喀痰吸引等の業務を行うための登録を受けているものに限られること。

オ その他の規定については、2の(1)の⑭(のイ及びウ及びを除く。)の規定を準用する。

2の(1)の⑭特定事業所加算の取扱い

特定事業所加算の各算定要件については、次に定めるところによる。

  • 体制要件
    • ア 計画的な研修の実施

       こども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める基準並びに厚生労働大臣が定める基準(平成18年厚生労働省告示第543号。以下「543号告示」という。)第1号イ(1)の「居宅介護従業者ごとに研修計画を作成」については、当該事業所におけるサービス従事者の資質向上のための研修内容の全体像と当該研修実施のための勤務体制の確保を定めるとともに、居宅介護従業者について個別具体的な研修の目標内容研修期間実施時期等を定めた計画を策定しなければならない。
    • イ ※準用除外
    • ウ ※準用除外
    • エ 定期健康診断の実施

      543号告示第1号イ(3)の健康診断等については、労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号)により定期に実施することが義務付けられた「常時使用する労働者」に該当しない居宅介護従業者も含めて、少なくとも1年以内ごとに1回、事業主の費用負担により実施しなければならない。
    • オ 緊急時における対応方法の明示

       543号告示第1号イ(4)の「明示」については、当該事業所における緊急時等の対応方針、緊急時の連絡先及び対応可能時間等を記載した文書を利用者に交付し、説明を行うものとする。
       なお、交付すべき文書については、重要事項説明書等に当該内容を明記することをもって足りるものとする。
    • カ 熟練した居宅介護従業者の同行による研修

      543号告示第1号イ(5)の「熟練した居宅介護従業者の同行による研修」については、サービス提供責任者又はサービス提供責任者と同等と認められる居宅介護従業者(当該利用者の障害特性を理解し、適切な介護を提供できる者であり、かつ、当該利用者へのサービスについて利用者から十分な評価がある居宅介護従業者)が、新規に採用した従業者に対し、適切な指導を行うものとする。
  • 人材要件
    • ア 居宅介護従業者要件

       543号告示第1号告示イ(6)の介護福祉士実務者研修修了者介護職員基礎研修課程修了者及び1級課程修了者の割合については、前年度(3月を除く。)又は届出日の属する月の前3月の1月当たりの実績の平均について、常勤換算方法により算出した数を用いて算出するものとする。
       なお、介護福祉士、実務者研修修了者又は介護職員基礎研修課程修了者若しくは1級課程修了者とは、各月の前月の末日時点で資格を取得している又は研修の課程を修了している者とすること。
       看護師等の資格を有する者については、1級課程の全科目を免除することが可能とされていたことから、1級課程又は居宅介護職員初任者研修課程を修了したとされた看護師等については、同(6)の要件に含むものとする。
       また、同(6)の「常勤の居宅介護従業者」とは、サービス提供時間に含まれるすべての常勤の居宅介護従業者が対象となる。
       なお、常勤の居宅介護従業者とは、事業所で定めた勤務時間(1週間に勤務すべき時間数が32時間を下回る場合は32時間を基本とする。)のすべてを勤務している居宅介護従業者をいう。
    • イ サービス提供責任者要件

       543号告示第1号イ(7)の「実務経験」は、サービス提供責任者としての従事期間ではなく、在宅や施設を問わず介護に関する業務に従事した期間をいうものであり、資格取得又は研修修了前の従事期間も含めるものとする。
       「5 年以上の実務経験を有する実務者研修修了者介護職員基礎研修修了者 若しくは 1 級課程修了者」について、看護師等の資格を有する者については、 1 級課程の全科目を免除することが可能とされていたことから、1 級課程又は居宅介護職員初任者研修課程を修了したとされた看護師等については、同⑺ の要件に含むものとする。
       また、同(8)については、指定障害福祉サービス基準第5条第2項の規定により常勤のサービス提供責任者を2人配置することとされている事業所において、同項ただし書により常勤のサービス提供責任者を1人配置し、非常勤のサービス提供責任者を常勤換算方法で必要とされる員数配置することで基準を満たすことになるが、本要件を満たすためには、常勤のサービス提供責任者を2人以上配置しなければならないとしているものである。
       なお、同号ニ⑶については、指定障害福祉サービス基準第 5 条第 2 項の規 定により配置されることとされている常勤のサービス提供責任者が 2 人以下 の指定居宅介護事業所又は共生型居宅介護事業所であって、基準により配置 することとされている常勤のサービス提供責任者の数(サービス提供責任者の配置について、常勤換算方法を採用する事業所を除く。)を上回る数の常勤 のサービス提供責任者を 1 人以上配置しなければならないこととしているも のである。
  • ※準用除外
  • 割合の計算方法
    アの職員の割合及びの利用実人員の割合の計算は、次の取扱いによるものとする。

     前年度の実績が6月に満たない事業所(新たに事業を開始し、又は再開した事業所を含む。)については、前年度の実績による加算の届出はできないものとする。

     前3月の実績により届出を行った事業所については、届出を行った月以降においても、直近3月間の職員又は利用者の割合につき、毎月継続的に所定の割合を維持しなければならない。

     また、その割合については、毎月ごとに記録するものとし、所定の割合を下回った場合については、直ちに第 1 の 5 の届出を提出しなければならない。 
  • 経過措置
    令和6年3月31日において第543号告示第1号イ、ハ又はニの適用を受けている事業所に係る同号イ、ハ又はニの適用については、令和9年3月31日までの間、なお従前の例によることができる。
⑨特別地域加算の取扱い

報酬告示第2の注10の特別地域加算については、2の(1)の⑮の規定を準用する。

2の(1)の特別地域加算の取扱い

特別地域加算を算定する利用者に対して、指定障害福祉サービス基準第31条第5号に規定する通常の事業の実施地域を越えてサービス提供した場合、指定障害福祉サービス基準第21条第3項に規定する交通費の支払いを受けることはできないこととする。

⑩緊急時対応加算の取扱い

報酬告示第2の注11の緊急時対応加算については、2の(1)の⑯の規定を準用する。

2の(1)の緊急時対応加算の取扱い
  •  「緊急に行った場合」とは、居宅介護計画に位置付けられていない居宅介護(身体介護が中心である場合及び通院等介助(身体介護を伴う場合)が中心である場合に限る。)を、利用者又はその家族等から要請を受けてから24時間以内に行った場合をいうものとする。
  • 当該加算は、1回の要請につき1回を限度として算定できるものとする。
  • 当該加算の対象となる居宅介護の所要時間については、③(一)及び(三)の規定は適用されないものとする。
    したがって、所要時間が20分未満であっても、30分未満の身体介護中心型の所定単位数の算定及び当該加算の算定は可能であり、当該加算の対象となる居宅介護と当該居宅介護の前後に行われた居宅介護の間隔が2時間未満であった場合であっても、それぞれの所要時間に応じた所定単位数を算定する(所要時間を合算する必要はない)ものとする。
  • 緊急時対応加算の対象となる指定居宅介護等の提供を行った場合は、指定障害福祉サービス基準第19条に基づき、要請のあった時間要請の内容、当該居宅介護の提供時刻及び緊急時対応加算の算定対象である旨等を記録するものとする。
  • 市町村により地域生活支援拠点等法第77条第4項に規定する地域生活支援拠点等をいう。以下同じ。)として位置付けられていること並びに市町村及び法第 77 条第3項第1号に規定する関係機関(以下「拠点関係機関」という。)との連携及び調整に従事する者(以下「連携担当者」という。)を1名以上配置していることを都道府県知事又は市町村長に届け出た指定居宅介護事業所等の場合、1回につき定める単位数に、さらに50単位を加算するものとする。

     なお、市町村が当該事業所を地域生活支援拠点等として位置付けるに当たっては、地域生活支援拠点等の整備主体である市町村と事業所とで事前に協議し、当該事業所から市町村に対して地域生活支援拠点等の機能を担う届出等を提出した後に、市町村から事業者に対して地域生活支援拠点等の機能を担うことを通知等により確認するとともに、市町村及び事業者は、協議会(法第89条の3第1項に規定する協議会をいう。以下同じ。)等の協議の場で共有するなど、地域生活支援拠点等に位置付けられたことを積極的に周知すること。

     さらに、連携担当者は、緊急時の対応における連携のみではなく、平時から地域生活支援拠点等のコーディネート機能を担う相談支援事業所等の拠点関係機関との情報連携に努めることとし、行政機関や3の⑺の⑤の㈠に規定する拠点コーディネーターとの日常的な情報連携や地域における地域生活支援拠点等に係る会議体や協議会へ積極的に参画すること。
⑪移動介護加算について
  •  外出時における移動中の介護(以下「移動介護」という。)を行う場合には、外出のための身だしなみ等の準備、移動中及び移動先における確認等の追加的業務が加わることを踏まえ、一定の加算を行うこととしているものであるが、
     これらの業務については、外出に係る移動時間等が長時間になった場合でも大きく変わる支援内容ではないことから、4時間以上実施される場合は一律の評価としているものである。
     このため、1日に、移動介護が4時間以上実施されるような場合にあっては、「所要時間3時間以上の場合」の単位を適用する。
  •  同一の事業者が、1日に複数回の移動介護を行う場合には、1日分の所要時間を通算して報酬算定する。また、1日に複数の事業者が移動介護を行う場合には、それぞれの事業者ごとに1日分の所要時間を通算して算定する。
⑫移動介護緊急時支援加算の取扱いについて
  • 本加算は、重度訪問介護従業者が利用者を自らの運転する車両に乗車させて 走行させる場合であって、当該車両を駐停車して、必要な支援を緊急に行った場合のものであり、所定単位数を算定するに当たっては、道路運送法等他の法令等に留意すること。 
  • その他の必要な支援」とは、常時介護を要する者の障害の特性に起因して生じうる緊急の支援であり、例えば、重度の知的障害又は精神障害により行動上著しい困難を有する障害者に対する制御的対応などをいう。
  • 1日に複数の事業者が同一利用者に対して、移動介護緊急時支援加算を算定する場合は、事業者がそれぞれ所定単位数を算定する。
⑬初回加算の取扱い

報酬告示第2の3の初回加算については、2の(1)の⑰の規定を準用する。

2の(1)の⑰初回加算の取扱い

本加算は、利用者が過去2月に、当該指定居宅介護事業所等から指定居宅介護等の提供を受けていない場合に算定されるものである。

サービス提供責任者が、居宅介護に同行した場合については、指定障害福祉サービス基準第19条に基づき、同行訪問した旨を記録するものとする。

また、この場合において、当該サービス提供責任者は、居宅介護に要する時間を通じて滞在することは必ずしも必要ではなく、利用者の状況等を確認した上で、途中で現場を離れた場合であっても、算定は可能である。

⑭利用者負担上限額管理加算の取扱い

報酬告示第2の4の利用者負担上限額管理加算については、2の(1)の⑱を準用する。

2の(1)の⑱利用者負担上限額管理加算の取扱いについて

報酬告示第1の3の利用者負担上限額管理加算の注中、「利用者負担額合計額の管理を行った場合」とは、利用者が、利用者負担合計額の管理を行う指定障害福祉サービス事業所又は指定障害者支援施設等以外の障害福祉サービスを受けた際に、上限額管理を行う事業所等が当該利用者の負担額合計額の管理を行った場合をいう。

なお、負担額が負担上限額を実際に超えているか否かは算定の条件としない。

 ⑮行動障害支援連携加算の取扱いについて
  • 利用者の引継ぎを行う場合にあっては、「重度訪問介護の対象拡大に伴う支給決定事務等に係る留意事項について」(平成 26 年 3 月 31 日付け障障発 0331 第 8 号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知。以下「重訪対象拡大通知」 という。)を参照し行うこと。

    なお、引継ぎを受けた指定重度訪問介護事業所等のサービス提供責任者については、当該引継ぎ内容を従業者に対し、周知する こと。
  • 行動障害支援連携加算については、支援計画シート等(重訪対象拡大通知 1 の(4)に規定する「支援計画シート」及び「支援手順書 兼 記録用紙」をいう。以 下同じ。)を作成した者(以下(4)の⑬において「作成者」という。)における指定重度訪問介護事業所等のサービス提供責任者に対する費用の支払いを評価して いるものであることから、
    作成者と指定重度訪問介護事業所等のサービス提供責任者同一人の場合は、加算は算定できないものであること。

     なお、同一事業者であっても、作成者と指定重度訪問介護事業所等のサービス提供責任者が同一人でない場合は、加算は算定できるものであること。
  • 指定重度訪問介護事業所等から作成者への支払いは、個々の契約に基づくものとする。
⑯入院時支援連携加算の取扱いについて
  • 報酬告示第 2 の 5 の 3 の入院時支援加算については、病院又は診療所に入院する前から重度訪問介護を受けていた利用者が当該病院又は診療所に入院することが決まった後
    当該利用者が入院する前までに、重度訪問介護事業所の職員が当該病院又は診療所を訪問し、当該利用者に係る必要な情報の提供及び当該病院又は診療所と当該重度訪問介護事業所が連携して入院時の支援を行うために必要な調整を行った場合(以下「入院前の事前調整」という。)に、重度訪問介護事業所の業務に対し評価を行うものであること。
  • 重度訪問介護事業所において、事前に、当該利用者の障害等の状況、入院中の支援における留意点特別なコミュニケーション支援の必要性及びその理由、重度訪問介護従業者による支援内容等を記載した入院時情報提供書を作成し、
    重度訪問介護事業所の職員が当該病院又は診療所を訪問した際、この入院時情報提供書により入院前の事前調整を行うこと

    なお、この入院時情報提供書については、当該利用者の支援に関わる計画相談支援事業所複数の重度訪問介護事業所共同して作成することや、これらの事業所の一つが代表して作成することも可能であること。

    また、この入院時情報提供書については、当該利用者及び家族の同意の上、病院又は診療所に提供すること
  • 入院前の事前調整においては、当該利用者の障害の状態や介助方法(体位変換、食事、排泄等)、障害特性を踏まえた病室等の環境調整(ベッド等の配置など)、入院中の生活や退院後の生活の希望などを情報提供するとともに、重度訪問介護従業者による支援に関する具体的な内容及び当該支援の留意点を確認すること。
  • 当該利用者が入院前から複数の重度訪問介護事業者の従業者から支援を受けており、入院中も引き続き、複数の重度訪問介護事業者の従業者が当該利用者に重度訪問介護を提供する場合で、かつ、利用者の支援にあたる複数の重度訪問介護事業所の職員が入院前の事前調整に参加した場合は、この入院前の事前調整に参加した重度訪問介護事業所ごとに、当該加算が算定されること。
  • 入院前の事前調整には、できる限り、当該利用者やその家族も同席できるように配慮すること。
⑰その他
  1. 重度訪問介護は、同一箇所に長時間滞在しサービス提供を行うという業務形態を踏まえ、1日につき3時間を超える支給決定を基本とすることとされているが、利用者のキャンセル等により、1事業者における1日の利用が3時間未満である場合についての報酬請求は3時間未満でも可能である。

    なお、「所要時間1時間未満の場合」で算定する場合の所要時間は概ね40分以上とする。
  2. 2 の⑴の①及び②の規定は、重度訪問介護サービス費について準用する。
2の(1)の①居宅介護サービス費の算定について

居宅介護の提供に当たっては、指定障害福祉サービス基準に定める具体的なサービスの内容を記載した居宅介護計画に基づいて行われる必要がある。

なお、居宅介護については、派遣される従業者の種別により所定単位数が異なる場合があることから、居宅介護計画におけるサービス内容の記載に当たっては、派遣される従業者の種別についても記載すること。

事業者は、当該居宅介護計画を作成するに当たって、支給量が30分を単位(家事援助においては、最初の30分以降は15分を単位とする。)として決定されることを踏まえ、決定された時間数が有効に活用されるよう、利用者の希望等を踏まえることが必要である。

また、指定居宅介護等を行った場合には、実際に要した時間により算定されるのではなく、当該居宅介護計画に基づいて行われるべき指定居宅介護等に要する時間に基づき算定されることに留意する必要がある。

なお、当初の居宅介護計画で定めたサービス提供内容や提供時間が、実際のサービス提供と合致しない場合には、速やかに居宅介護計画の見直し、変更を行うことが必要であること。

2の(1)の②基準単価の適用について

居宅介護計画上のサービス提供時間と実際のサービス提供時間に大幅な乖離があり、かつ、これが継続する場合は、当然に居宅介護計画の見直しを行う必要があること。

⑱福祉・介護職員処遇改善加算及び福祉・介護職員処遇改善特別加算の取扱い

 報酬告示第 2 の 6、7 及び 8 の福祉・介護職員処遇改善加算、福祉・介護職員等特定処遇改善加算及び福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算については、2の⑴の⑳の規定を準用する。

2の(1)の⑳福祉・介護職員処遇改善加算及び福祉・介護職員処遇改善特別加算の取扱いについて

福祉・介護職員処遇改善加算、福祉・介護職員等特定処遇改善加算及び福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算の内容については、別途通知(「福祉・介護職員処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和6年3月26日付け障障発0326第4号、こ支障第86号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長、こども家庭庁支援局障害児支援課長通知))を参照すること。

令和6年からの処遇改善加算について

事業者必須!待望の2024年版

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