障害児通所支援の基準の解釈通知1・2

【参考】児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準について(平成24年3月30日障発0330第12号)令和6年3月29日改正

目次

第1 基準の性格

1 基準

1 基準(以下、特段の記載がない場合は、児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準等の一部を改正する内閣府令(令和 6 年内閣府令第 5 号。以下「令和 6 年改正府令」という。)第 1 条の規定による改正後の基準を指す。)は、指定障害児通所支援事業者が法に規定する指定通所支援を提供するため、必要な最低限度の基準を定めたものであり、指定障害児通所支援事業者は、常にその運営の向上に努めなければならないこと。

2 指定障害児通所支援事業者が満たすべき基準を満たさない場合

2 指定障害児通所支援事業者が満たすべき基準を満たさない場合には、指定障害児通所支援事業者の指定又は更新は受けられず、また、基準に違反することが明らかになった場合には、
①相当の期間を定めて基準を遵守するよう勧告を行い、
②相当の期間内に勧告に従わなかったときは、事業者名、勧告に至った経緯、当該勧告に対する対応等を公表し、
③正当な理由が無く、当該勧告に係る措置を採らなかったときは、相当の期間を定めて当該勧告に係る措置を採るよう命令することができるものであること。都道府県知事(地方自治法第252 条の 19 第 1 項の指定都市及び法第 59 条の 4 第 1 項の児童相談所設置市の市長を含む。以下同じ。)の指導等の対象となり、この指導等に従わない場合には、当該指定を取り消すことができるものであること。

また、③の命令をした場合には事業者名、命令に至った経緯等を公示しなければならない。なお、③の命令に従わない場合には、当該指定を取り消すこと、又は取消しを行う前に相当の期間を定めて指定の全部若しくは一部の効力を停止すること(不適正な指定通所支援が行われていることが判明した場合、当該指定通所支援に関する障害児通所給付費等の請求を停止させること)ができる。ただし、次に掲げる場合には、基準に従った適正な運営ができなくなったものとして、直ちに指定を取り消すこと又は指定の全部若しくは一部の効力を停止することができる

(1) 次に掲げるときその他の指定障害児通所支援事業者が自己の利益を図るために基準に違反したとき

① 指定通所支援の提供に際して通所給付決定保護者が負担すべき額の支払を適正に受けなかったとき

② 障害児相談支援事業を行う者、障害福祉サービスの事業を行う者又はその従業者に対し、障害児又はその家族に対して特定の施設を利用させることの代償として、金品その他の財産上の利益を供与し
たとき

③ 障害児相談支援事業を行う者、障害福祉サービスの事業を行う者又はその従業者から、障害児又はその家族に対して特定の施設を利用させることの代償として、金品その他の財産上の利益を収受した
とき

(2) 障害児の生命又は身体の安全に危害を及ぼすおそれがあるとき

(3) その他(1)及び(2)に準ずる重大かつ明白な基準違反があったとき



第2 総論

1 事業者指定の単位について

(1) 従たる事業所の取扱いについて

 指定障害児通所支援事業者の指定等は、原則として指定通所支援の提供を行う事業所ごとに行うものとするが、児童発達支援(児童発達支援センターで行う場合を除く。)又は放課後等デイサービスについては、次の①及び②の要件を満たす場合については、「主たる事業所」のほか、一体的かつ独立したサービス提供の場として、1 又は複数の「従たる事業所」を設置することが可能であり、これらを 1 の事業所として指定することができる取扱いとする。

① 人員及び設備に関する要件
ア 「主たる事業所」及び「従たる事業所」の障害児の合計数に応じた従業者が確保されているとともに、「従たる事業所」において常勤かつ専従の従業者が 1 人以上確保されていること。
イ 「従たる事業所」の利用定員が 5 人以上であること。
ウ 「主たる事業所」と「従たる事業所」との間の距離が概ね 30 分以内で移動可能な距離であって、児童発達支援管理責任者の業務の遂行上支障がないこと。

② 運営に関する要件
ア 利用申込みに係る調整、従業者に対する技術指導等が一体的に行われること。

イ 従業者の勤務体制、勤務内容等が一元的に管理されていること。必要な場合には随時、主たる事業所と従たる事業所との間で相互支援が行える体制(例えば、当該従たる事業所の従業者が急病の場合等に、主たる事業所から急遽代替要員を派遣できるような体制)にあること。

ウ 苦情処理や損害賠償等に際して、一体的な対応ができる体制にあること。

エ 事業の目的や運営方針、営業日や営業時間、利用料等を定める同一の運営規程が定められていること。

オ 人事・給与・福利厚生等の勤務条件等による職員管理が一元的に行われるとともに、主たる事業所と当該従たる事業所間の会計が一元的に管理されていること。

(2) 多機能型事業所について

 基準第 2 条第 12 号に規定する多機能型事業所に係る指定については、当該多機能型事業所として行う指定通所支援の種類ごとに行うものとする。
 なお、多機能型事業所に係る具体的な取扱いについては、第七を参照されたい。

(3) 同一法人による複数の事業所が 1 又は複数の指定通所支援を実施する場合の取扱いについて

 同一敷地内において複数の事業所が 1 又は複数の指定障害福祉サービスを実施する場合については、1 の指定障害福祉サービス事業所又は 1 の多機能型事業所として取り扱うこと。

 また、同一法人による複数の事業所が複数の指定通所支援を異なる場所で実施する場合は、次の①及び②の要件を満たしている場合は、1 の多機能型事業所として取り扱うことが可能である。

 ただし、平成 24 年 3 月 31 日において指定を受けている事業所が指定障害児通所支援事業所へ移行する場合、令和 6 年 4 月 1 日において旧医療型児童発達支援の指定を受けている児童発達支援事業所であって児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号。以下「一部改正法」という。)附則第 4 条第 1 項の規定により新児童発達支援の指定を受けたものとみなされた事業所(以下「旧医療型児童発達支援事業所」という。)が新児童発達支援に係る指定障害児通所支援事業所へ移行する場合若しくは指定発達支援医療機関であって一部改正法附則第 4 条第 2 項の規定により新児童発達支援の指定を受けたものとみなされたもの(以下「旧指定発達支援医療機関」という。)が新児童発達支援に係る指定障害児通所支援事業所へ移行する場合又は令和 6 年 4 月 1 日において児童発達支援の指定を受けている旧主として難聴児を通わせる指定児童発達支援事業所(旧基準第6条第4項に規定する主として難聴児を通わせる指定児童発達支援事業所をいう。以下同じ。)若しくは旧主として重症心身障害児を通わせる指定児童発達支援事業所(旧基準第 6 条第 5 項に規定する主として重症心身障害児を通わせる指定児童発達支援事業所をいう。以下同じ。)であって、移行後においても、それぞれの事業所ごとに運営が完全に独立しているときは、それぞれの事業所として取り扱うことができる。
 なお、独立した事業所としての判断基準は③のとおりである。

① 人員及び設備に関する要件
ア それぞれ利用定員が 5 人以上であること。
イ 異なる場所で行う事業所間の距離が概ね 30 分以内で移動可能な距離であって、児童発達支援管理責任者の業務の遂行上支障がないこと。

② 運営に関する要件

ア 利用申込みに係る調整、職員に対する技術指導等が一体的に行われること。

イ 職員の勤務体制、勤務内容等が一元的に管理されていること。

必要な場合には随時、異なる場所で行う事業所間で相互支援が行える体制(例えば、従業者が急病の場合等に、もう一方の事業所から急遽代替要員を派遣できるような体制)にあること。

ウ 苦情処理や損害賠償等に際して、一体的な対応ができる体制にあること。

エ 事業の目的や運営方針、営業日や営業時間、利用料等を定める同一の運営規程が定められていること。

オ 人事・給与・福利厚生等の勤務条件等による職員管理が一元的に行われるとともに、事業所の会計が一元的に管理されていること。

③ 独立した事業所としての判断基準
ア サービスの提供が一体的に行われていない。
イ 事業所ごとに必要とされる従業員が確保されている。
ウ 事業所ごとに必要な設備が備えられている。(ただし、レクリエーション等を行う遊戯室など、サービス提供に直接的な関わりのない設備については、共用して差し支えない。)

2 用語の定義(基準第 2 条)

(1) 「常勤」

 指定障害児通所支援事業所における勤務時間が、当該指定障害児通所支援事業所において定められている常勤の従業者が勤務すべき時間数(1 週間に勤務すべき時間数が 32 時間を下回る場合は 32 時間を基本とする。)に達していることをいうものである。

 ただし、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律 第13条第1項に規定する措置(以下「母性健康管理措置」という。)又は育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成3年法律第76号。以下「育児・介護休業法」という。)第23条第1項、第3項若しくは同法第24条に規定する所定労働時間の短縮等の措置若しくは厚生労働省「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」に沿って事業者が自主的に設ける所定労働時間の短縮措置(以下「育児、介護及び治療のための所定労働時間の短縮等の措置」という。)が講じられている者については、利用者の処遇に支障がない体制が事業所として整っている場合は、例外的に常勤の従業者が勤務すべき時間数を 30 時間として取り扱うことを可能とする。

 当該指定障害児通所支援事業所に併設される事業所(同一敷地内に所在する又は道路を隔てて隣接する事業所をいう。 ただし、管理者について、管理上支障がない場合は、その他の事業所を含む。)の職務であって、当該指定障害児通所支援事業所の職務と同時並行的に行われることが差し支えないと考えられるものについては、それぞれに係る勤務時間の合計が常勤の従業者が勤務すべき時間に達していれば、常勤の要件を満たすものであることとする。

 例えば、多機能型事業所によって行われる指定児童発達支援と指定放課後等デイサービスの場合、当該指定児童発達支援の保育士と当該指定放課後等デイサービスの保育士とを兼務している者は、これらの勤務時間の合計が所定の時間に達していれば、常勤要件を満たすこととなる。

 また、人員基準において常勤要件が設けられている場合、従事者が労働基準法 第65条に規定する休業(以下「産前産後休業」という。)母性健康管理措置育児・介護休業法第2条第1号に規定する育児休業(以下「育児休業」という。)、同条第 2 号に規定する介護休業(以下「介護休業」という。)、同法第 23 条第 2 項に規定する育児休業に関する制度に準ずる措置又は同法第 24 条第 1項(第 2 号に係る部分に限る。)の規定により同項第 2 号に規定する育児休業に関する制度に準じて講ずる措置による休業(以下「育児休業に準ずる休業」という。)を取得中の期間において、当該人員基準において求められる資質を有する複数の非常勤の従事者の員数に換算することにより、人員基準を満たすことが可能であることとする。

(2) 「常勤換算方法」

 指定障害児通所支援事業所の従業者の勤務延べ時間数を当該指定障害児通所支援事業所において常勤の従業者が勤務すべき時間数(1週間に勤務すべき時間数が 32 時間を下回る場合は 32 時間を基本とする。)で除することにより、当該指定障害児通所支援事業所の従業者の員数を常勤の従業者の員数に換算する方法をいうものである。
 この場合の勤務延べ時間数は、当該指定障害児通所支援事業所の指定等に係る事業のサービスに従事する勤務時間の延べ数であること。
 ただし、母性健康管理措置又は育児、介護及び治療のための所定労働時間の短縮等の措置が講じられている場合、30 時間以上の勤務で、常勤換算方法での計算に当たり、常勤の従業者が勤務すべき時間数を満たしたものとし、1 として取り扱うことを可能とする。

(3) 「勤務延べ時間数」

 勤務表上、指定通所支援の提供に従事する時間として明確に位置付けられている時間又は当該指定通所支援の提供のための準備等を行う時間(待機の時間を含む。)として明確に位置付けられている時間の合計数とする。
 なお、従業者 1 人につき、勤務延べ時間数に算入することができる時間数は、当該指定障害児通所支援事業所において常勤の従業者が勤務すべき勤務時間数を上限とすること。

(4) 「専ら従事する」「専ら提供に当たる」「専従」

 原則として、サービス提供時間帯を通じて指定通所支援以外の職務に従事しないことをいうものである。

 この場合のサービス提供時間帯とは、従業者の指定障害児通所支援事業所における勤務時間(児童発達支援及び放課後等デイサービスについては、サービスの単位ごとの提供時間)をいうものであり、当該従業者の常勤・非常勤の別を問わない。

3 一般原則(基準第 3 条)

(1) 基準第 3 条

(1) 基準第 3 条第 1 項は、指定障害児通所支援事業所は、通所給付決定保護者及び障害児の意向、障害児の適性、障害の特性等を踏まえた計画(以下「通所支援計画」という。)を作成するとともに、これに基づき、当該指定通所支援を提供しなければならないとしたものである。

(2) 同条第 4 項における、指定障害児通所支援事業者を利用する障害児の人権の擁護、虐待の防止等の必要な体制の整備等については、虐待防止に関する担当者の設置、研修などを通じた従業者の人権意識の高揚、支援に関する知識や技術の向上のほかに、倫理綱領、行動規範等の作成、個々の障害児の状況に応じた通所支援計画の作成、また従業者が支援に当たっての悩みや苦労を相談できる体制等をいうものである。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次