障害福祉事業の「緊急時支援加算」とは?適用条件と注意点を解説

目次

「緊急時支援加算」の概要

「緊急時支援加算」とは、利用者が障害の特性に起因して緊急支援を必要とする際、迅速かつ適切な対応を行う事業者に支給される報酬制度です。深夜の訪問支援や電話相談が加算の対象となり、利用者やその家族が安心して生活を送れる環境を整えることが目的です。

特に地域生活支援拠点等に位置づけられた事業所では、地域包括的な支援体制が求められるため、特例として加算単位が増加する措置もあります。このような仕組みは、利用者の生活基盤を強化すると同時に、事業者側の負担軽減にもつながっています。

対象サービス

算定要件など

緊急時支援加算(I)の要件

  • 深夜対応の訪問一時滞在が対象。
  • 利用者または家族の要請に基づき、迅速な支援提供を実施。

緊急時支援加算(II)の要件

  • 電話相談による深夜対応が対象。
  • 加算(I)との併用不可。

記録と報告の重要性

  • 支援提供の詳細を記録し、正確に報告する義務がある。

地域生活支援拠点等の特例

  • 加算(I)に50単位追加される特例措置。
  • 拠点指定事業所として行政機関や他支援機関と連携強化。

※詳細は報酬告示と留意事項を参照ください。

報酬告示と留意事項

報酬告示

※令和6年4月1日現在

イ 加算(Ⅰ)711単位/日
地域生活支援拠点等の場合
+50単位
ロ 加算(Ⅱ)94単位/日
  • 注1 イについて
    指定自立生活援助事業者が、利用者に対して、当該利用者の障害の特性に起因して生じた緊急の事態その他の緊急に支援が必要な事態が生じた場合において、
    当該利用者又はその家族等からの要請に基づき、深夜に速やかに当該利用者の居宅等への訪問又は一時的な滞在による支援を行った場合に、1日につき所定単位数を加算する。
  • 注2 イについて地域生活支援拠点等の場合の加算
    イの緊急時支援加算(Ⅰ)が算定されている指定自立生活援助事業所が、別に厚生労働大臣が定める施設基準に適合しているものとして都道府県知事に届け出た場合に、更に1日につき所定単位数に50単位を加算する。
  • 注3 ロについて
    指定自立生活援助事業者が、利用者に対して、当該利用者の障害の特性に起因して生じた緊急の事態その他の緊急に支援が必要な事態が生じた場合において、
    当該利用者又はその家族等からの要請に基づき、深夜に電話による相談援助を行った場合に、1日につき所定単位数を加算する。ただし、この場合において、イの緊急時支援加算(Ⅰ)を算定している場合は、加算しない。

参考:厚生労働省告示第523号

留意事項

報酬告示第14の3の6の緊急時支援加算については、利用者の障害の特性に起因して生じうる緊急時の対応については、あらかじめ利用者又はその家族等との話合いにより申し合わせておくこと。

  • 報酬告示第 14 の3の6のイの緊急時支援加算(I)については、緊急に支援が必要な事態が生じた場合において、
    利用者又はその家族等からの要請に基づき、深夜(午後10時から午前6時までの時間をいう。以下、この➆の(二)において同じ。)に速やかに訪問又は一時的な滞在による支援を行った場合に算定できるものであること。
  • 報酬告示第14の3の6のロの緊急時支援加算(II)については、緊急に支援が必要な事態が生じた場合において、利用者又はその家族等からの要請に基づき、
    深夜に電話による相談援助を行った場合に算定できるものであること。

    ただし、緊急時支援加算(I)を算定する場合は、当該緊急時支援加算は算定できないこと。
  • 緊急時支援を行った場合は、指定障害福祉サービス基準第 206条の 20 において準用する指定障害福祉サービス基準第 19 条に基づき、要請のあった時間、要請の内容、当該支援の提供時刻及び緊急時支援加算の算定対象である旨等を記録するものとする。
  • 一時的な滞在による支援は、宿泊によらない一時的な滞在による場合についても算定できるものであること。

    また、一時的な滞在による支援は、宿泊日及び退所日両方を算定できるものであること。
  • 一時的な滞在による支援は、短期入所サービスの支給決定を受けている障害者の場合であっても、身近な地域の短期入所事業所が満床である等やむを得ない場合においては、算定できるものであること。
  • 市町村により地域生活支援拠点等として位置付けられていること並びに市町村及び拠点関係機関との連携担当者を1名以上配置していることを都道府県知事に届け出た指定自立生活援助事業所の場合、イに定める単位数に、さらに 50 単位を加算するものとする。

    なお、市町村が当該指定自立生活援助事業所を地域生活支援拠点等として位置付けるに当たっては、地域生活支援拠点等の整備主体である市町村と指定自立生活援助事業所とで事前に協議し、当該指定自立生活援助事業所から市町村に対して地域生活支援拠点等の機能を担う届出等を提出した後に、市町村から指定自立生活援助事業所に対して地域生活支援拠点等の機能を担うことを通知等により確認するとともに、市町村及び指定自立生活援助事業所は、協議会等の協議の場で共有するなど、地域生活支援拠点等に位置付けられたことを積極的に周知すること。

    さらに、連携担当者は、緊急時の対応における連携のみではなく、平時から地域生活支援拠点等のコーディネート機能を担う相談支援事業所等の拠点関係機関との情報連携に努めることとし、行政機関や拠点コーディネーターとの日常的な情報連携や地域における地域生活支援拠点等に係る会議体や協議会へ積極的に参画すること。

参考:障発第1031001号

Q&A

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まとめ

緊急時支援加算は、障害福祉サービスの現場で利用者が直面する緊急事態に対応するための重要な仕組みです。

深夜の訪問や相談対応を対象とするこの加算制度は、事業者が迅速な支援を提供できる体制を支える一方で、地域生活支援拠点等における特例加算は、地域全体の支援力を向上させる役割を果たします。

この制度を正しく理解し、活用することで、障害者がより安心して生活できる環境を築くことができます。

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