従業員を雇い入れた際、どのような手続きが必要なのでしょう。従業員となる方から提出してもらう書類と、会社側での手続きを解説します。
会社側が事前に準備しておく書類
- 雇用契約書・労働条件通知書
- 扶養控除等申告書
- 健康保険被扶養者異動届・国民年金第3号被保険者届
- 社員証など
従業員から提出してもらう書類一覧
面接し、条件などについて協議の後、雇用契約が済んだあとの手続きです。まずは必要な書類を提出してもらいましょう。提出してもらう書類は以下になります。
- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 様式:国税庁
- 健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届
- 健康保険扶養者(異動)届・・・扶養する親族がいる場合
- 様式:日本年金機構
- 雇用保険被保険者証
- 年金手帳・・・コピーを取って返却
- 給与の振込先
試用期間について
従業員を雇用する時に、業務の適正をみるために2~3ヵ月の使用期間を設定しておいたほうがいいでしょう。雇用契約時に従業員に提示します。試用期間中でも各種保険に加入させる義務があります。ただし、「健康保険・厚生年金保険」は以下の条件に当てはまる場合は加入できない場合があります。
- 日雇いの場合
- 雇用契約が2ヶ月以内の場合
- 季節的事業(4ヶ月以内)または臨時事業所(6ヶ月以内)で働く場合
- 事業所の所在地が一定でない場合
健康保険・厚生年金
株式会社などの法人であれば、強制的に適用事業所となりますので会社設立後の手続きは必要です。その上で、従業員を雇用した場合は、健康保険・厚生年金への加入手続きが必要となります。
■制度について
健康保険・厚生年金保険では、会社(事業所)単位で適用事業所となり、その事業所に常時使用される人(事業主のみの場合を含む)は、国籍や性別、賃金の額等に関係なく、すべて被保険者となります(原則として、70歳以上の人は健康保険のみの加入となります)。
出典:日本年金機構 公式サイト
※「常時使用される人」とは、雇用契約書の有無等とは関係なく、適用事業所で働き、労務の対価として給料や賃金を受けるという使用関係が常用的であることをいいます。事業主のみの場合を含みます。
※従業員が年金受給者であっても、加入要件を満たしている場合は届出をする必要があります
- 常時雇用されている
- 70歳未満である(一部例外あり)
上記条件を満たしていない場合でも、以下の条件にすべて当てはまる場合は、加入条件を満たした従業員とみなされます。
- 週20時間以上働いており、1ヶ月の所定内賃金が88,000円以上である
- 従業員数が501名以上の会社に勤めていること
- 学生ではないこと
- 予定される雇用期間が1年以上であること
申請書を送付してから、概ね2週間程度で保険証が届きます。詳細は以下の記事で解説しています。
雇用保険への加入
管轄のハローワークに翌月10までに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。
以前に加入していた場合は引き継ぐため「被保険者番」が必要となります。前職の退職時に情報は交付されているかと思います。
様式は↓のリンクから、帳票が作成できます。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上あること
- 31日以上の雇用の見込みがあること
ハローワークインターネットサービス hellowork.mhlw.go.jp
作成した帳票を元に所轄のハローワークで手続きを行います。郵送でもできるそうですが、その場合は返信用封筒も必要となります。
雇い入れ時の健康診断
さらに雇い入れ時には、健康診断が必要です。雇い入れ時と毎年1回の健康診断は会社の義務となっていますので、必ず行いましょう。健康診断については別記事にまとめていますので、そちらを参照ください。
給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
雇用した時と、毎年年末調整までに申告書を提出してもらいます。扶養者がいなくても必要ですが、2つ以上の勤め先があり場合はいずれかの会社に提出してもらいます。たまに、扶養の範囲内だから税金がかからないからと誤解して、提出しない方もいらっしゃいます。提出しないと、源泉徴収税額表の「甲欄」で計算されません。つまり、源泉徴収の際に受けることのできる諸控除が受けられず、年末調整も行われません。本人にとってもマイナスとなる旨をきちんと説明して提出してもらいます。
まとめ
最初に列挙した、提出してもらう資料と、会社側としては以下の義務があるので必ず行うようにしましょう。
- 厚生年金・健康保険の加入
- 雇用保険の加入
- 健康診断