障害福祉サービス事業の「体験宿泊加算」とは?適用条件と注意点を解説

目次

「体験宿泊加算」の概要

「体験宿泊加算」は、地域移行支援を受ける障害者が、単身生活を目指す過程で宿泊支援を受けた際に適用される加算制度です。この制度は、利用者が地域での生活を実際に体験し、生活に必要なスキルや課題を明確にすることで、円滑な地域移行を支援することを目的としています。

体験宿泊加算は、最大15日間算定可能で、心身状況に応じて夜間の見守り支援を追加で行う場合には、さらに単位が加算されます。単身生活希望者に限らず、同居を希望する利用者にも柔軟に適用されるのが特徴です。

対象サービス

算定要件など

加算対象者

  • 地域移行支援計画に基づき、単身生活を目指す障害者。
  • 同居希望者でも支援効果が認められれば適用可。

加算条件

  • 支援内容が地域移行支援計画に基づく宿泊支援であること。
  • ロについては、夜間支援従事者の配置、または巡回での見守り支援が行われること。
  • 家族が住む場所での宿泊支援は対象外。

算定日数

  • 最大15日間まで算定可能(更新後の再算定も可)。
  • 宿泊開始日と終了日も算定対象。

その他注意点

※詳細は報酬告示と留意事項を参照ください。

報酬告示と留意事項

報酬告示

※令和6年4月1日現在

イ 加算(Ⅰ)300単位/日
ロ 加算(Ⅱ)700単位/日
  1. イについては、指定地域移行支援事業者が、地域相談支援給付決定障害者に対して、
    体験的な宿泊支援(指定基準第23条第1項に規定する体験的な宿泊支援のうち単身での生活に向けたものをいう。以下同じ。)を提供した場合(1の注2及び注2に定める場合を除く。)に、イ及びロを合計して15日を限度として、1日につき所定単位数を加算する。
  2. ロについては、指定地域移行支援事業者が、地域相談支援給付決定障害者に対して、体験的な宿泊支援を提供し、かつ、当該地域相談支援給付決定障害者の心身の状況に応じ、
    当該地域相談支援給付決定障害者に対して夜間及び深夜の時間帯を通じて必要な見守り等の支援を行った場合(1の注2に定める場合を除く。)に、イ及びロを合計して15日を限度として、1日につき所定単位数を加算する。
  3. 別に厚生労働大臣が定める基準に適合しているものとして都道府県知事に届け出た指定地域移行支援事業所において、イの体験宿泊加算(Ⅰ)又はロの体験宿泊加算(Ⅱ)を算定する場合に、更に1日につき所定単位数に50単位を加算する。

参考:厚生労働省告示第523号

留意事項
  • 地域相談支援報酬告示第1の5の体験宿泊加算については、単身での生活を希望している者に対し、単身での生活に向けた課題目標体験期間及び留意事項等を地域移行支援計画に位置付けて、体験的な宿泊支援を行った場合に算定できるものであること。

    なお、家族等との同居を希望している者に対しては、当該支援を行うことが有効であると認められる場合には、算定して差し支えない。

    ただし、家族等が生活する場所において体験的に宿泊を行う場合を除く。

    また、体験的な宿泊支援については、指定障害福祉サービス事業者に委託できるが、当該委託による場合であっても、指定地域移行支援事業者が、委託先の指定障害福祉サービス事業者と緊急時の対応等のための常時の連絡体制を確保して行うこと。
  • 共同生活援助サービス費、日中サービス支援型共同生活援助サービス費及び外部サービス利用型共同生活援助サービス費に係る体験的な入居については
    共同生活援助に係る共同生活住居への入居を希望している者に対する体験的な利用であり、支援の目的が異なるものであるため、利用者に対して各制度の支援の目的を説明し、利用者の意向を確認すること。
  • 体験宿泊加算の日数については、利用開始日及び終了日両方を算定できるものであること。

    なお、体験宿泊加算(I)については、利用者が、地域相談支援基準第 23 条第 1 項に規定する要件を満たす場所(以下「体験宿泊場所」という。)において、
    地域での居宅生活を体験するための宿泊によらない一時的な滞在に係る支援を行う場合についても算定して差し支えない。
  • 施設入所者の体験的な宿泊については、施設入所支援の外泊に位置付けられるものとし、入院・外泊時加算の算定が可能なものであるが、体験的な宿泊支援の開始日及び終了日については、施設入所支援サービス費を併せて算定できるものであること。
  • 体験宿泊加算(II)については、体験的な宿泊支援を利用する者の状況に応じて、夜間及び深夜の時間帯を通じて見守り等の支援が必要な場合であって、
    当該体験宿泊場所に夜間支援従事者を配置又は少なくとも一晩につき複数回以上、当該体験宿泊場所への巡回による支援を行った場合に算定できるものであること。

    なお、夜間支援従事者は、別途、指定居宅介護事業者等に夜間における支援のみを委託する場合であっても差し支えない。

    夜間支援従事者は、利用者の状況に応じて見守り等の支援を行うほか、指定地域移行支援事業者との密接な連携の下、緊急時の対応等を適切に行うこと。
  • 体験宿泊加算については、15日を限度として算定できるものであること。

    なお、当該者に対する地域移行支援の給付決定が更新された場合においては、当該更新後から再度 15 日を限度として算定できることに留意すること。
  • 市町村により地域生活支援拠点等として位置付けられていることを都道府県知事に届け出た指定地域移行支援事業所の場合、イ又はロに定める単位数に、さらに 50 単位を加算するものであり、(1)の3の規定を準用する。

参考:障発第1031001号

Q&A

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まとめ

体験宿泊加算は、地域での単身生活を目指す障害者を支える重要な加算制度です。この制度により、利用者は実際の宿泊を通じて課題を洗い出し、目標達成に向けた支援を受けられます。支援の内容や見守り体制に応じて加算単位が異なるため、要件や注意点を十分理解することが必要です。適切な活用によって、利用者の地域移行を円滑に進めることが期待されます。

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