「個別計画訓練支援加算」の概要
障害福祉サービスの「個別計画訓練支援加算」は、利用者ごとに作成された訓練計画に基づき、自立訓練(生活訓練)を提供した際に加算される制度です。この仕組みは、利用者の生活機能の向上や自立支援を目指すと同時に、事業所の支援体制の向上を促進する目的があります。
加算の取得には、資格を持つ専門職による計画作成、支援の進捗管理、関連機関との情報共有が必須です。また、支援内容や評価結果を公表することで透明性を確保しています。
対象サービス
算定要件など
- 利用者ごとの訓練計画作成
社会福祉士や精神保健福祉士、公認心理師などの資格を持つスタッフが、利用者の障害特性に応じた個別訓練実施計画を作成します。 - 状態を定期的に記録
個別訓練実施計画に従い、サービスを提供し状況を記録します。 - 進捗管理と記録
作成した計画による支援の進捗状況を毎月評価。必要に応じて計画を見直します。 - 指定障害者支援施設に入所する利用者の場合
計画に基づき一貫した支援を行うよう、留意点や工夫等の情報を共有していること。 - ❹以外の利用者についての場合
指定特定相談支援事業者を通じて、他のサービスに留意点や工夫等の情報伝達をしていること。 - 支援プログラムの内容を公表と、利用者の改善状況を評価し、評価の結果を公表していること。
※詳細は報酬告示と留意事項を参照ください。
報酬告示と留意事項
報酬告示
※令和6年4月1日現在
イ 加算(Ⅰ) | 47単位/日 |
ロ 加算(Ⅱ) | 19単位/日 |
注1 イについて
注 次の❶から❻までの基準のいずれも満たすものとして届け出た指定自立訓練(生活訓練)事業所等について、個別訓練実施計画が作成されている利用者に対して、指定自立訓練(生活訓練)等を行った場合に、1日につき所定単位数を加算する。
- 社会福祉士、精神保健福祉士又は公認心理師である従業者により、利用者の障害特性や生活環境等に応じて、障害支援区分に係る市町村審査会による審査及び判定の基準等に関する命令別表第1における調査項目中「応用日常生活動作」、「認知機能」又は「行動上の障害」に係る個別訓練実施計画を作成していること。
- 利用者ごとの個別訓練実施計画に従い、指定自立訓練(生活訓練)等を行っているとともに、利用者の状態を定期的に記録していること。
- 利用者ごとの個別訓練実施計画の進捗状況を毎月評価し、必要に応じて当該計画を見直していること。
- 指定障害者支援施設等に入所する利用者については、従業者により、個別訓練実施計画に基づき一貫した支援を行うよう、訓練に係る日常生活上の留意点、介護の工夫等の情報を共有していること。
- ❹に掲げる利用者以外の利用者については、指定自立訓練(生活訓練)事業所等の従業者が、必要に応じ、指定特定相談支援事業者を通じて、指定居宅介護サービスその他の指定障害福祉サービス事業に係る従業者に対し、訓練に係る日常生活上の留意点、介護の工夫等の情報を伝達していること。
- 当該指定自立訓練(生活訓練)事業所等における支援プログラムの内容を公表するとともに、利用者の生活機能の改善状況等を評価し、当該評価の結果を公表していること。
注2 ロについて
ロについては、注1の⑴から⑸までの基準のいずれにも適合するものとして都道府県知事又は市町村長に届け出た指定自立訓練(生活訓練)事業所等において、個別訓練実施計画が作成されている利用者に対して、指定自立訓練(生活訓練)等を行った場合に、1日につき所定単位数を加算する。ただし、イの個別計画訓練支援加算(Ⅰ)を算定している場合は、算定しない。
参考:厚生労働省告示第523号
留意事項
報酬告示第 11 の4の3の個別計画訓練支援加算については、以下のとおり取り扱うこととする。
- 個別計画訓練支援加算に係る訓練は、利用者ごとに行われる個別支援計画の一環として行われることに留意すること。
- ❸により作成される個別訓練実施計画を作成した利用者について、当該指定自立訓練(生活訓練)等を利用した日に算定することとし、必ずしも個別訓練実施計画に位置づけられた訓練が行われた日とは限らないものであること。
- 個別計画訓練支援加算については、以下の手順で実施すること。
- ア 利用開始にあたり、社会福祉士、精神保健福祉士又は公認心理師である従業者(視覚障害者を対象とする場合にあっては、第556号告示第 10 号に規定する厚生労働大臣が定める従業者をもって代えることができるものとする。以下イにおいて同じ。)が、暫定的に、訓練に関する解決すべき課題の把握(以下この12において「アセスメント」という。)とそれに基づく評価を行い、その後、カンファレンスを行って多職種協働により、認定調査項目中「応用日常生活動作」、「認知機能」及び「行動上の障害」に係る個別訓練実施計画の原案を作成すること。
また、作成した個別訓練実施計画の原案については、利用者又はその家族に説明し、その同意を得ること。 - イ 個別訓練実施計画の原案に基づいた訓練を実施しながら、概ね2週間以内及び毎月ごとに社会福祉士、精神保健福祉士又は公認心理師である従業者がアセスメントとそれに基づく評価を行い、その後、多職種協働により、カンファレンスを行って、個別訓練実施計画を作成すること。
なお、この場合にあっては、個別訓練実施計画を新たに作成する必要はなく、個別訓練実施計画の原案の変更等をもって個別訓練実施計画の作成に代えることができるものとし、変更等がない場合にあっても、個別訓練実施計画の原案を個別訓練実施計画に代えることができるものとすること。
また、作成した個別訓練実施計画については、利用者又はその家族に説明し、その同意を得ること。
なお、カンファレンスの結果、必要と判断された場合は、関係する指定特定相談支援事業所の相談支援専門員や他の障害福祉サービス事業所等に対して訓練に関する情報伝達(日常生活上の留意点、サービスの工夫等)や連携を図ること。 - ウ 利用を終了する前に、関連スタッフによる終了前カンファレンスを行うこと。
その際、終了後に利用予定の指定特定相談支援事業所の相談支援専門員や他の障害福祉サービス事業所のサービス管理責任者等の参加を求めること。 - エ 利用終了時には指定特定相談支援事業所の相談支援専門員や他の障害福祉サービス事業所等に対して必要な情報提供を行うこと。
- ア 利用開始にあたり、社会福祉士、精神保健福祉士又は公認心理師である従業者(視覚障害者を対象とする場合にあっては、第556号告示第 10 号に規定する厚生労働大臣が定める従業者をもって代えることができるものとする。以下イにおいて同じ。)が、暫定的に、訓練に関する解決すべき課題の把握(以下この12において「アセスメント」という。)とそれに基づく評価を行い、その後、カンファレンスを行って多職種協働により、認定調査項目中「応用日常生活動作」、「認知機能」及び「行動上の障害」に係る個別訓練実施計画の原案を作成すること。
- 個別計画訓練支援加算(I)の算定における利用者の生活機能の改善状況等の評価については、3の(2)の12の❸のウの規定を準用する。
参考:障発第1031001号
加算の届出様式(厚生労働省)
実際の届出に際しては、指定権者の指定する様式にて届出してください。
出典:厚生労働省│障害福祉分野における手続負担の軽減(指定申請等の様式の標準化等)
Q&A
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まとめ
「個別計画訓練支援加算」は、障害福祉サービスの質を高めるための重要な制度です。利用者ごとの訓練計画作成から進捗管理、関連機関との連携まで、きめ細やかなサポートが求められます。本記事を通じて、事業所が加算を取得する際のポイントを理解し、効果的な支援を提供する一助になれば幸いです。