障害福祉事業の「地域移行加算」とは?適用条件と注意点を解説
目次
「地域移行加算」の概要
「地域移行加算」とは、入所者や利用者が退院・退所後に地域生活へ移行する際の支援を促進するために設定された加算です。
具体的には、入院や施設利用が1か月を超える見込みのある利用者を対象に、退院・退所後の生活を支援するための相談援助や連絡調整などが行われた場合に適用されます。
この加算制度の目的は、地域での自立した生活をスムーズにスタートさせることです。対象となる施設には療養介護、宿泊型自立訓練、施設入所支援、障害児入所施設などが含まれます。
対象サービス
算定要件など
- 利用期間が1か月以上見込まれる利用者が対象。
- ①退所後についての相談援助・②居宅の訪問。⇒利用中2回を限度として加算
- さらに、退所後30日以内に居宅を訪問・相談援助及び連絡調整⇒退所後1回を限度として加算
- 他施設への入所者は加算対象外。
※詳細は報酬告示と留意事項を参照ください。
報酬告示と留意事項
療養介護
入院期間が1月を超えると見込まれる利用者の退院に先立って、療養介護事業所に置くべき従業者のうちいずれかの職種の者が、当該利用者に対して、退院後の生活について相談援助を行い、かつ、当該利用者が退院後生活する居宅を訪問し、当該利用者及びその家族等に対して退院後の障害福祉サービスその他の保健医療サービス又は福祉サービスについて相談援助及び連絡調整を行った場合に、入院中2回を限度として所定単位数を加算し、
当該利用者の退院後30日以内に当該利用者の居宅を訪問し、当該利用者及びその家族等に対して相談援助を行った場合に、退院後1回を限度として所定単位数を加算する。
ただし、当該利用者が、退院後に他の社会福祉施設等に入所する場合にあっては、加算しない。
- 報酬告示第5の2に規定する地域移行加算の注中、退院前の相談援助については、入院期間が 1 月を超えると見込まれる利用者の居宅生活(福祉ホーム又は 共同生活援助を行う共同生活住居における生活を含む。以下同じ。)に先立って、 退院後の生活に関する相談援助を行い、かつ、利用者が退院後生活する居宅を 訪問して退院後の居宅サービス等について相談援助及び連絡調整を行った場合に、入院中 2 回に限り加算を算定するものである。
また、利用者の退院後 30 日以内に当該利用者の居宅を訪問し、当該利用者及びその家族等に対して相談援助を行った場合に、退院後 1 回を限度として加算を算定するものである。
- 地域移行加算は退院日に算定し、退院後の訪問相談については訪問日に算定するものであること。
- 地域移行加算は、次のアからウまでのいずれかに該当する場合には、算定できないものであること。
- ア 退院して病院又は診療所へ入院する場合
- イ 退院して他の社会福祉施設等へ入所する場合
- ウ 死亡退院の場合
- 地域移行加算の対象となる相談援助を行った場合は、相談援助を行った日及び相談援助の内容の要点に関する記録を行うこと。
- 地域移行加算に係る相談援助の内容は、次のようなものであること。
- ア 退院後の障害福祉サービスの利用等に関する相談援助
- イ 食事、入浴、健康管理等居宅における生活に関する相談援助
- ウ 退院する者の運動機能及び日常生活動作能力の維持及び向上を目的として行う各種訓練等に関する相談援助
- エ 住宅改修に関する相談援助
- オ 退院する者の介護等に関する相談援助
- 退院前の相談援助に係る加算を算定していない場合であっても、退院後の訪問による相談援助を行えば、当該支援について加算を算定できるものであること。
宿泊型自立訓練
利用中2回、退所後1回を限度として 500単位/回 |
利用期間が1月を超えると見込まれる指定宿泊型自立訓練の利用者(利用期間が2年を超える者を除く。)の退所に先立って、指定障害福祉サービス基準第166条の規定により指定自立訓練(生活訓練)事業所に置くべき従業者のうちいずれかの職種の者が、当該利用者に対して、退所後の生活について相談援助を行い、かつ、当該利用者が退所後生活する居宅を訪問し、当該利用者及びその家族等に対して退所後の障害福祉サービスその他の保健医療サービス又は福祉サービスについて相談援助及び連絡調整を行った場合に、利用中2回を限度として、所定単位数を加算し、
当該利用者の退所後30日以内に当該利用者の居宅を訪問し、当該利用者及びその家族等に対して相談援助を行った場合に、退所後1回を限度として所定単位数を加算する。
ただし、当該利用者が、退所後に他の社会福祉施設等に入所する場合にあっては、加算しない。
- 報酬告示第 5 の 2 に規定する地域移行加算の注中、退院前の相談援助については、入院期間が 1 月を超えると見込まれる利用者の居宅生活(福祉ホーム又は 共同生活援助を行う共同生活住居における生活を含む。以下同じ。)に先立って、 退院後の生活に関する相談援助を行い、かつ、利用者が退院後生活する居宅を 訪問して退院後の居宅サービス等について相談援助及び連絡調整を行った場合に、入院中 2 回に限り加算を算定するものである。
また、利用者の退院後 30 日以内に当該利用者の居宅を訪問し、当該利用者及びその家族等に対して相談援助を行った場合に、退院後 1 回を限度として加算を算定するものである。
- 地域移行加算は退院日に算定し、退院後の訪問相談については訪問日に算定するものであること。
- 地域移行加算は、次のアからウまでのいずれかに該当する場合には、算定できないものであること。
- ア 退院して病院又は診療所へ入院する場合
- イ 退院して他の社会福祉施設等へ入所する場合
- ウ 死亡退院の場合
- 地域移行加算の対象となる相談援助を行った場合は、相談援助を行った日及び相談援助の内容の要点に関する記録を行うこと。
- 地域移行加算に係る相談援助の内容は、次のようなものであること。
- ア 退院後の障害福祉サービスの利用等に関する相談援助
- イ 食事、入浴、健康管理等居宅における生活に関する相談援助
- ウ 退院する者の運動機能及び日常生活動作能力の維持及び向上を目的として行う各種訓練等に関する相談援助
- エ 住宅改修に関する相談援助
- オ 退院する者の介護等に関する相談援助
- 退院前の相談援助に係る加算を算定していない場合であっても、退院後の訪問による相談援助を行えば、当該支援について加算を算定できるものであること。
施設入所支援
入所期間が1月を超えると見込まれる利用者(指定生活介護等を受ける者に限る。以下この注において同じ。)の退所に先立って、施設従業者のうちいずれかの職種の者が、当該利用者に対して、退所後の生活について相談援助を行い、かつ、当該利用者が退所後生活する居宅を訪問し、当該利用者及びその家族等に対して退所後の障害福祉サービスその他の保健医療サービス又は福祉サービスについて相談援助及び連絡調整を行った場合に、入所中2回を限度として所定単位数を加算し、
当該利用者の退所後30日以内に当該利用者の居宅を訪問し、当該利用者及びその家族等に対して相談援助を行った場合に、退所後1回を限度として所定単位数を加算する。
ただし、当該利用者が、退所後に他の社会福祉施設等に入所する場合にあっては、加算しない。
報酬告示第9の8の地域移行加算については、2の(5)の③を準用する。
2の(5)の③地域移行加算の取扱い
- 報酬告示第5の2に規定する地域移行加算の注中、退院前の相談援助については、入院期間が1月を超えると見込まれる利用者の居宅生活(福祉ホーム又は共同生活援助を行う共同生活住居における生活を含む。以下同じ。)に先立って、退院後の生活に関する相談援助を行い、かつ、利用者が退院後生活する居宅を訪問して退院後の居宅サービス等について相談援助及び連絡調整を行った場合に、入院中2回に限り加算を算定するものである。
また、利用者の退院後30日以内に当該利用者の居宅を訪問し、当該利用者及びその家族等に対して相談援助を行った場合に、退院後1回を限度として加算を算定するものである。
- 地域移行加算は退院日に算定し、退院後の訪問相談については訪問日に算定するものであること。
- 地域移行加算は、次のアからウまでのいずれかに該当する場合には、算定できないものであること。
- ア 退院して病院又は診療所へ入院する場合
- イ 退院して他の社会福祉施設等へ入所する場合
- ウ 死亡退院の場合
- 地域移行加算の対象となる相談援助を行った場合は、相談援助を行った日及び相談援助の内容の要点に関する記録を行うこと。
- 地域移行加算に係る相談援助の内容は、次のようなものであること。
- ア 退院後の障害福祉サービスの利用等に関する相談援助
- イ 食事、入浴、健康管理等居宅における生活に関する相談援助
- ウ 退院する者の運動機能及び日常生活動作能力の維持及び向上を目的として行う各種訓練等に関する相談援助
- エ 住宅改修に関する相談援助
- オ 退院する者の介護等に関する相談援助
- 退院前の相談援助に係る加算を算定していない場合であっても、退院後の訪問による相談援助を行えば、当該支援について加算を算定できるものであること。
福祉型障害児入所施設
(入所中2回、退所後1回を限度として)500単位/回 |
注 入所期間が1月を超えると見込まれる障害児の退所に先立って、施設従業者が、当該障害児に対して、退所後の生活について相談援助を行い、かつ、当該障害児が退所後生活する居宅を訪問し、当該障害児及びその家族等に対して退所後の障害児の生活についての相談援助及び連絡調整を行った場合に、入所中2回を限度として所定単位数を加算し、当該障害児の退所後30日以内に当該障害児の居宅を訪問し、当該障害児及びその家族等に対して相談援助を行った場合に、退所後1回を限度として所定単位数を加算する。
- 入所報酬告示第1の6に規定する地域移行加算の注中、退所前の相談援助については、入所期間が1月を超えると見込まれる障害児の居宅生活(18歳以上の入所者については、福祉ホーム又は共同生活援助を行う共同生活住居における生活を含む。以下同じ。)に先立って、退所後の生活に関する相談援助を行い、かつ、障害児が退所後生活する居宅を訪問して退所後の生活について相談援助及び連絡調整を行った場合に、入所中2回に限り加算を算定するものである。
また、障害児の退所後30日以内に当該障害児の居宅を訪問し、当該障害児及びその家族等に対して相談援助を行った場合に、退所後1回を限度として加算を算定するものである。
なお、令和6年3月31日までの間は、退所して他の社会福祉施設等へ入所する場合であっても加算を算定できることとする。
- 地域移行加算は退所日に算定し、退所後の訪問相談については訪問日に算定するものであること。
- 地域移行加算は、次のア又はイのいずれかに該当する場合には、算定できないものであること。
- ア 退所して病院又は診療所へ入院する場合
- イ 死亡退所の場合
- 地域移行加算の対象となる相談援助を行った場合は、相談援助を行った日及び相談援助の内容の要点に関する記録を行うこと。
- 地域移行加算に係る相談援助の内容は、次のようなものであること。
- ア 退所後の障害福祉サービスの利用等に関する相談援助
- イ 食事、入浴、健康管理等居宅における生活に関する相談援助
- ウ 退所する障害児の運動機能及び日常生活動作能力の維持及び向上を目的として行う各種訓練等に関する相談援助
- エ 住宅改修に関する相談援助
- オ 退所する障害児の介護等に関する相談援助
- 退所前の相談援助に係る加算を算定していない場合であっても、退所後の訪問による相談援助を行えば、当該支援について加算を算定できるものであること。
医療型障害児入所施設
入所中2回、年2回、退所後1回を限度として、500単位を加算 |
注 入所期間が1月を超えると見込まれる障害児の退所に先立って、指定入所基準第52条の規定により置くべき従業者又は指定発達支援医療機関の職員が、当該障害児に対して、退所後の生活について相談援助を行い、かつ、当該障害児が退所後生活する居宅を訪問し、当該障害児及びその家族等に対して退所後の障害児の生活についての相談援助及び連絡調整を行った場合に、入所中2回を限度として所定単位数を加算し、当該障害児の退所後30日以内に当該障害児の居宅を訪問し、当該障害児及びその家族等に対して相談援助を行った場合に、退所後1回を限度として所定単位数を加算する。
ただし、当該障害児が、1のロ又はニを算定している場合であって入所中の場合又は退所後に他の社会福祉施設等に入所する場合にあっては、加算しない。
- 入所報酬告示第1の6に規定する地域移行加算の注中、退所前の相談援助については、入所期間が1月を超えると見込まれる障害児の居宅生活(18歳以上の入所者については、福祉ホーム又は共同生活援助を行う共同生活住居における生活を含む。以下同じ。)に先立って、退所後の生活に関する相談援助を行い、かつ、障害児が退所後生活する居宅を訪問して退所後の生活について相談援助及び連絡調整を行った場合に、入所中2回に限り加算を算定するものである。
また、障害児の退所後30日以内に当該障害児の居宅を訪問し、当該障害児及びその家族等に対して相談援助を行った場合に、退所後1回を限度として加算を算定するものである。
なお、令和6年3月31日までの間は、退所して他の社会福祉施設等へ入所する場合であっても加算を算定できることとする。
- 地域移行加算は退所日に算定し、退所後の訪問相談については訪問日に算定するものであること。
- 地域移行加算は、次のア又はイのいずれかに該当する場合には、算定できないものであること。
- ア 退所して病院又は診療所へ入院する場合
- イ 死亡退所の場合
- 地域移行加算の対象となる相談援助を行った場合は、相談援助を行った日及び相談援助の内容の要点に関する記録を行うこと。
- 地域移行加算に係る相談援助の内容は、次のようなものであること。
- ア 退所後の障害福祉サービスの利用等に関する相談援助
- イ 食事、入浴、健康管理等居宅における生活に関する相談援助
- ウ 退所する障害児の運動機能及び日常生活動作能力の維持及び向上を目的として行う各種訓練等に関する相談援助
- エ 住宅改修に関する相談援助
- オ 退所する障害児の介護等に関する相談援助
- 退所前の相談援助に係る加算を算定していない場合であっても、退所後の訪問による相談援助を行えば、当該支援について加算を算定できるものであること。
参考:厚生労働省告示第523号
参考:障発第1031001号
Q&A
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まとめ
地域移行加算は、障害福祉サービス利用者の地域生活への移行を支えるための制度であり、相談援助や居宅訪問を通じてスムーズな地域生活の開始を支援します。この制度は療養介護、宿泊型自立訓練、障害児入所施設を対象としており、支援内容や条件に応じた加算が可能です。
利用者が地域で安心して生活を送れるよう、事業者としてこの加算制度を正しく活用することが求められます。施設ごとの要件をしっかりと把握し、支援を行うことが重要です。
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