(2)共同生活援助
- (夜間支援等体制加算①)
問 40 グループホームの夜間支援等体制加算(Ⅰ)を算定するには、夜勤を行う夜間支援従事者を配置し、利用者に対して夜間及び深夜の時間帯を通じて必要な介護等の支援を提供できる体制を確保する必要があるが、その一方で、労働基準法においては、使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少なくとも45分、8時間を超える場合においては少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならないこととされている。
そのため、グループホームの夜間支援等体制加算(Ⅰ)を算定するには、夜間支援従事者の配置は1人では足りず、夜勤を行う夜間支援従事者を2人確保するか、夜勤を行う夜間支援従事者1人に加えて、宿直を行う夜間支援従事者を1人確保することが必要となると解するがどうか。 -
夜勤を行う夜間支援従事者には、労働基準法(以下「労基法」という。)第 34条の規定に基づき、適切な休憩時間を労働時間の途中に与えなければならないが、当該夜間支援従事者が夜間及び深夜の時間帯に休憩時間を取得する場合であっても、実態としてその配置されている共同生活住居内で休憩時間を過ごす場合は、夜間支援等体制加算(Ⅰ)の算定に当たっては、利用者に対して夜間及び深夜の時間帯を通じて必要な介護等の支援を提供できる体制を確保しているものと取り扱って差し支えない。
ただし、労働基準法上、休憩時間中に事業所を離れることを禁止することはできず、仮に当該夜間支援従事者が休憩時間中に当該事業所を離れる場合には、あらかじめ、十分な時間的余裕をもってその意向を伝えさせ、当該時間帯に必要な交代要員を当該事業所内に確保する必要があること。なお、労基法第 34 条の休憩時間とは、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間であり、実作業は発生しておらず仮眠などを取っている時間であっても、事業所内に待機し、緊急の場合などで作業が発生した場合には対応することとされている時間(いわゆる「手待時間」)は、労働から離れることを保障されているとは言えないため、休憩時間には当たらず、労働時間として取り扱わなければならないこと。
このため、以下の点を踏まえて、夜間支援従事者の適切な休憩時間を確保する必要があることに留意すること。- 適切な休憩時間帯の設定等について
-
利用者の人数や状態像、これまでの支援の実態等を考慮し、基本的に業務が発生することがない時間(例:完全消灯時刻での全ての利用者の入眠確認後や、深夜の定期巡回による異常がないことの確認後など)をあらかじめ休憩時間と定め、当該時間について、夜間支援従事者が労働から離れることを保障すること。
この際、あらかじめ、夜間及び深夜帯における休憩時間帯の定め(※)について、利用者やその家族に周知すること。また、休憩時間中に業務が発生することがないよう、利用者の状態像や支援の必要な時間帯等を配慮した夜間及び深夜帯における具体的な支援計画を作成するよう努めること。なお、利用者の状態像や支援の必要な時間帯等に照らし、法定の休憩時間を一括して取得させることが困難な場合には、例えば 30 分ずつ2回に分割して休憩時間を定めることも可能である。
※ 労基法第 89 条において、休憩時間を就業規則に明記しなければならないこととされているため、常時 10 人以上の労働者を使用するグループホームにあっては、就業規則において、夜間及び深夜の時間帯のうち、休憩時間をあらかじめ明示的に定めておく必要がある。
就業規則において休憩時間を一義的に定めがたい場合にあっては、基本となる休憩時間として夜間及び深夜の時間帯のうち休憩時間とする時間帯をあらかじめ明示的に定めるとともに、休憩時間については具体的に各人に個別の労働契約等で定める旨の委任規定を就業規則に設ける必要があり、さらに、個別の労働契約等で具体的に定める場合にあっては、書面により明確に定めておく必要がある。なお、常時 10 人以上の労働者を使用しているグループホーム以外であっても、労働条件を明確化する観点から、就業規則を作成することが望ましい。 - 休憩時間に係る利用者、夜間支援従事者等への事前説明について
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夜間支援従事者の休憩時間中は、原則として入居者からの連絡・相談等への対応は行わない旨を利用者やその家族に説明するとともに、休憩時間中に入居者から連絡・相談等があった場合、休憩時間終了後に対応する旨を伝えることで足りる旨を事前に夜間支援従事者に伝達しておくこと。
- 休憩時間中の緊急時の対応について
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上記により夜間支援従事者の適切な休憩時間を確保している場合であっても、当該夜間支援従事者が休憩中に利用者の病状の急変等への対応などにより、実際に労働に従事した 場合には、当該労働に要した時間分の休憩時間を別途与えなくてはならないこと。
この場合、別途の休憩時間を取得した旨を記録する取扱いを定めておくことが望ましい。
利用者の状態像等から、1人の夜間支援従事者では上記による適切な休憩時間の確保が困難な場合においては、夜間支援従事者の休憩時間に係る交代要員を別途確保する必要がある。
この場合、夜間支援等体制加算(Ⅰ)により配置する夜間支援従事者に加えて追加で夜勤職員又は宿直職員を配置した場合には、夜間支援等体制加算(Ⅳ)、(Ⅴ)又は(Ⅵ)の算定対象となるため、夜間における必要な人員体制の確保を図ること。なお、夜間における介護等の業務を常態的にほとんど行う必要がない場合であって、一定の要件に該当する場合には、労基法第 41 条第3号の「断続的労働」や「断続的な宿日直」に該当するとして、あらかじめ労働基準監督署長の許可を受けることにより、労基法上の休憩時間や労働時間に関する規定が適用されなくなる場合があることから、必要に応じて、所轄の労働基準監督署に相談すること。
- (参考1)断続的な労働の許可基準
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- 断続的労働に従事する者とは、勤務時間の中で、実作業時間が少なく、手待時間(実作業は発生しておらず、仮眠などを取ることも自由だが、事業所内に待機し、作業が発生した場合には対応することとされている時間)が多い者のことであり、例えば寄宿舎の賄人等については、その者の勤務時間を基礎として実作業時間と手待時間折半の程度まで許可することとされている(ただし、実作業時間の合計が8時間を越えるときは許可されない。)。
- 労基法第 41 条第3号の「断続的労働」とは、その勤務の全労働について、常態として断続的労働である場合をいう。そのため、断続労働と通常の労働が一日の中で混在している場合や、日によって反復するようなものは、これに該当しない。
- 断続的労働に従事する者とは、勤務時間の中で、実作業時間が少なく、手待時間(実作業は発生しておらず、仮眠などを取ることも自由だが、事業所内に待機し、作業が発生した場合には対応することとされている時間)が多い者のことであり、例えば寄宿舎の賄人等については、その者の勤務時間を基礎として実作業時間と手待時間折半の程度まで許可することとされている(ただし、実作業時間の合計が8時間を越えるときは許可されない。)。
- (参考2)断続的な宿日直の許可基準
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本来の業務の終了後などに宿直や日直の勤務を行う場合がこれに当たり、社会福祉施設の場合、以下のすべてを満たす場合に許可することとされている。
- 通常の勤務時間の拘束から完全に解放された後のものであること。
- 夜間に従事する業務は、一般的な宿日直業務である定時巡視、緊急の電話などの収受などのほかは、少数の入所児・者に対して行う夜尿起こし、おむつ取替え、検温等の介助作業であって、軽度かつ短時間の作業に限ること。従って、夜間における児童の生活指導、起床後の着衣指導等通常の労働と同態様の業務は含まれないこと。
- 夜間に十分睡眠がとれること。
- ④上記以外に、一般の宿直許可の際の条件を満たしていること。
※ 上記❷の「軽度」とは、おむつ取替え、夜尿起こしであっても要介護者を抱きかかえる等身体に負担がかかる場合を含まず、「短時間」とは、上記の介助作業が1勤務中に1回ないし2回含まれていることを限度として、1回の所要時間が通常 10 分程度のものをいうものであること。
本回答については、労働基準局監督課と協議済みであることを申し添える。
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