長年運営に携わっている方でしたら、何をいまさら感はあるかと思いますが、知識ゼロから始めた私には疑問だれけでしたが、従業員のためにも加算を取得したいところ。実際に確認したことをご紹介したいと思います。
そもそも処遇改善加算って?
障害福祉サービス事業者に支払われる加算の一種です。この加算は、介護職員の処遇改善を目的として設けられています。
障害福祉サービス事業者が処遇改善の取り組みを行った場合に、一定の基準を満たすことで処遇改善加算が支払われることになっています。
具体的には、介護職員の人件費や賞与などの給与面で改善、および資質向上の機会の提供を図ることが求められます。
職員への支払いにあたっては、毎月や賞与など支給方法までは決められていません。(※ベースアップ等加算は毎月給与と決められています。)
処遇改善加算の金額は報酬発生ベース?報酬受領ベース?
仮説
処遇改善加算とは、その年度の加算額を超える額を従業員へ支給しなければなりません。では、加算額は何をベースに考えるのでしょうか。
- サービス提供した実績をベースとして考えるのか?(報酬の発生ベース)
- 実際に国保連から受けた支払額をベースに考えるのか?(報酬の受領ベース)
私は、初めて処遇改善加算の受け始めた時、どちらの考えかわかりませんでした。(そもそも最初の処遇改善計画書の様式がわかりにくい…。)その時点で確認すれば良かったのですが、取り急ぎどちらであっても超える額を支給していました。
行政に確認してみました
その後、役所に確認したところ、上記①のサービス提供の実績(言い換えれば報酬の発生)をベースとするとのことでした。月遅れ請求や、返戻などの場合も含まれますので、その場合別途ある程度自分で計算しておく必要があります。処遇改善加算は、全体の報酬に比率をかけた金額となっており、比率は公表されていますので、可能かと思います。
処遇改善加算は、その期間内のサービス提供分がベース?もしくは、その期間内に事業所が受領した金額をベースとするのですか?
年度内(4月~翌年3月)のサービス提供分がベースとなります。
加算率
各利用者毎に提供したサービスの単位数に、下表の加算率をかけた単位が処遇改善加算となります。
あとの計算は他と同様で、単位数×地域区分⇒金額とし、利用者全員分の合計が、事業所に支払われる処遇改善加算となります。
サービスの種類 | 加算率 |
---|---|
・ 居宅介護 ・ 重度訪問介護 ・ 同行援護 ・ 行動援護 ・ 重度障害者等包括支援 | 4.5% |
・ 生活介護 | 1.1% |
・ 施設入所支援 ・ 短期入所 ・ 療養介護 | 2.8% |
・ 自立訓練(機能訓練) ・ 自立訓練(生活訓練) | 1.8% |
・ 就労移行支援 ・ 就労継続支援A型 ・ 就労継続支援B型 | 1.3% |
・ 共同生活援助(介護サービス包括型) ・ 共同生活援助(日中サービス支援型) ・ 共同生活援助(外部サービス利用型) | 2.0% |
・ 児童発達支援 ・ 医療型児童発達支援 ・ 放課後等デイサービス ・ 居宅訪問型児童発達支援 ・ 保育所等訪問支援 | 2.0% |
・ 福祉型障害児入所施設 ・ 医療型障害児入所施設 | 3.8% |
実際に処遇改善加算を従業員へ支給する期間は?
疑問
従業員への給与が月末締め・翌月払いであった場合、年度最後の支給は3月?それとも4月?または実際に報酬が支払われる5月で良いのか?それもわかりませんでした。
行政に確認しました
こちらも、行政の方に聞きましたところ丁寧に解説していただけました。その内容が以下です。
従業員へ支給する期間は、4月~翌3月までに完結しなければなりませんか?
事業所が処遇改善加算の額を受領するのが、6月~翌5月となりますので、その期間内に従業員へ支給いただければ大丈夫です。4月~翌3月までに支給いただいても問題はありません。
回答のまとめ
①当年度(当年4月~翌年3月)の期間に行ったサービス提供に基づいて報酬(加算含む)が発生
②報酬が当年6月~翌年5月に支払われる
③上記②と同じ期間内に従業員へ支給すること
とのことでした。イメージを↓図にまとめました。
注意点
- 取得した処遇改善加算の金額を上回る額を従業員へ支給すること
-
1円でも上回る額を支給しなければなりません。月遅れ請求や返戻などにより後々変動する可能性や、計算ミスなどにより下回ると違反となります。余裕をもって従業員へ支給すべきかと思います。
- 直接支援している従業者が対象となります
-
管理者・サービス管理責任者は対象外です。法人の役員も原則対象外。ただし、直接支援に従事し、役員報酬とは別に賃金が支払われていれば、加算の対象となる可能性があります。※行政に事前に確認することをおすすめします。
実地指導では
実地指導では、就業規則・出勤の記録(タイムカードなど)・賃金台帳・源泉徴収票などの確認が行われます。確実に加算額以上の金額を従業員に支給するよう注意しましょう。
参考
参考に厚生労働省のQ&Aも記載しておきます。
□質問
介護職員処遇改善計画書における賃金改善実施期間はいつから、いつまでか。■回答
24.3.16事務連絡介護保険最新情報vol.267
加算における賃金改善を実施する期間であり、当該加算は平成24年4月から算定が可能
となるため、その賃金改善実施期間についても原則4月(年度の途中で加算の算定を受け
る場合、当該加算を受けた月)から翌年の3月までとなる。
なお、交付金を受けている場合等により、賃金改善期間の重複が発生する等の理由があ
る場合は、賃金改善実施期間を6月から翌年5月までとするなど柔軟な対応をとられた
い。
「平成24年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.1)(平成24 年3 月16 日)」の送付について より一部抜粋