指定基準についての通知 第03:地域定着支援

参考:障発0330第21号(令和6年3月29日改正)

目次

第3 指定地域定着支援に関する基準

1 人員に関する基準

準用:第2の1の(1) 従業者(基準第3条)

基準第3条第1項は、指定地域移行支援事業者が、事業所ごとに必ず1人以上の指定地域移行支援従事者を置くことを定めたものである。

指定地域移行支援事業所に置くべき指定地域移行支援従事者は、原則として、サービス提供時間帯を通じて当該サービス以外の職務に従事させてはならない。

この場合のサービス提供時間帯とは、指定地域移行支援従事者の当該事業所における勤務時間をいうものであり、当該指定地域移行支援従事者の常勤・非常勤の別を問わない。

ただし、指定地域移行支援の業務に支障がない場合においては、指定地域移行支援従事者を当該指定地域移行支援事業所の他の業務又は他の事業所・施設等の業務に従事させることができる。

これは、例えば、指定地域移行支援のサービス提供時間帯において、指定地域移行支援の業務に支障がない場合は、当該指定地域移行支援事業所の管理者や、併設する事業所の業務等に従事することができることをいう。

なお、指定特定相談支援事業所、指定障害児相談支援事業所又は指定自立生活
援助事業所の業務と兼務する場合については、業務に支障がない場合として認めるものとする。
同条第2項は、第1項の指定地域移行支援従事者のうち1人以上は、相談支援専門員でなければならないことを定めたものである。

準用:第2の1の(2) 管理者(基準第4条)

指定地域移行支援事業所の管理者は、原則として専ら当該事業所の管理業務に従事するものとする。ただし、以下の場合であって、当該事業所の管理業務に支障がないときは、当該指定地域移行支援事業所の他の業務や、併設する事業所の業務等を兼ねることができるものとする。

  • ア 当該指定地域移行支援事業所の従業者としての職務に従事する場合
  • イ 当該指定地域移行支援事業所以外の他の事業所の管理者又は従業者としての職務に従事する場合であって、当該他の事業所の管理者又は従業者としての職務に従事する時間帯も、当該指定地域移行支援事業所の利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握し、職員及び業務の一元的な管理・指揮命令を支障なく行うことができ、また、事故発生時等の緊急時の対応について、あらかじめ対応の流れを定め、必要に応じて管理者自身が速やかに出勤できる場合

また、指定特定相談支援事業所、指定障害児相談支援事業所又は指定自立生活援助事業所の業務と兼務する場合については、管理業務に支障がない場合として認めるものとする。なお、管理者は、指定地域移行支援の従業者である必要はないものである。

2 運営に関する基準

準用:第2の2の(1) 内容及び手続の説明及び同意(基準第5条)

指定地域移行支援事業者は、利用者に対し適切な指定地域移行支援を提供するため、その提供の開始に際し、あらかじめ、利用申込者に対し、当該指定地域移行支援事業所の運営規程の概要、従業者の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制等の利用申込者がサービスを選択するために必要な
重要事項について、利用者の障害の特性に応じ、適切に配慮されたわかりやすい説明書やパンフレット等の文書を交付して懇切丁寧に説明を行い、当該事業所から指定地域移行支援の提供を受けることにつき、当該利用申込者の同意を得なければならないこととしたものである。

なお、利用者及び指定地域移行支援事業所双方の保護の立場から書面によって確認することが望ましいものである。

また、利用者との間で当該指定地域移行支援の提供に係る契約が成立したときは、利用者の障害の特性に応じた適切な配慮をもって、社会福祉法(昭和26年法律第45号)第77条第1項の規定に基づき、

  • 当該事業の経営者の名称及び主たる事務所の所在地
  • 当該事業の経営者が提供する指定地域移行支援の内容
  • 当該指定地域移行支援の提供につき利用者が支払うべき額に関する事項
  • 指定地域移行支援の提供開始年月日
  • 指定地域移行支援に係る苦情を受け付けるための窓口を記載した書面を交付すること。

なお、利用者の承諾を得た場合には当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により提供することができる。

準用:第2の2の(2) 契約内容の報告等(基準第6条)

指定地域移行支援事業者は、指定地域移行支援の提供に係る契約が成立した時は、遅滞なく市町村に対し契約成立の旨を報告しなければならないこととしたものである。

準用:第2の2の(3) 提供拒否の禁止(基準第7条)

指定地域移行支援事業者は、原則として、利用申込みに対して応じなければならないことを規定したものであり、特に、障害支援区分や所得の多寡を理由にサービスの提供を拒否することを禁止するものである。提供を拒むことのできる正当な理由が有る場合とは、

  • 当該事業所の現員からは利用申込みに応じきれない場合
  • 利用申込者の入所、入院等する障害者支援施設等(基準第1条第2号に規定する障害者支援施設等をいう。以下同じ。)、精神科病院、救護施設等(同条第3号に規定する救護施設等をいう。以下同じ。)又は刑事施設等(同条第4号に規定する刑事施設等をいう。以下同じ。)が当該事業所の通常の事業の実施地域外である場合
  • 当該事業所の運営規程において主たる対象とする障害の種類を定めている場合であって、これに該当しない者から利用申込みがあった場合
  • その他利用申込者に対し自ら適切な指定地域移行支援を提供することが困難な場合等である。
準用:第2の2の(4) 連絡調整に対する協力(基準第8条)

指定地域移行支援事業者は、市町村又は指定特定相談支援事業者が行う利用者の紹介、地域におけるサービス担当者会議への出席依頼等の連絡調整等に対し、指定地域移行支援の円滑な利用の観点から、できる限り協力しなければならないこととしたものである。

準用:第2の2の(5) サービス提供困難時の対応(基準第9条)

指定地域移行支援事業者は、基準第7条の正当な理由により、利用申込者に対し自ら適切な指定地域移行支援を提供することが困難であると認めた場合には、基準第9条の規定により、適当な他の指定地域移行支援事業者の紹介その他の必要な措置を速やかに講じなければならないものである。

準用:第2の2の(6) 受給資格の確認(基準第10条)

指定地域移行支援の利用に係る地域相談支援給付費の支給を受けることができるのは、地域相談支援給付決定障害者であるため、指定地域移行支援事業者は、指定地域移行支援の提供に際し、地域相談支援給付決定障害者の提示する地域相談支援受給者証によって、地域相談支援給付決定障害者であること、地域相談支援給付決定の有無及び地域相談支援給付決定の有効期間、地域相談支援給付量等を確かめなければならないこととしたものである。

準用:第2の2の(7) 地域相談支援給付決定の申請に係る援助(基準第11条)

基準第11条第1項は、地域相談支援給付決定を受けていない者から利用の申込みを受けた場合には、その者の意向を踏まえて速やかに地域相談支援給付費の支給申請に必要な援助を行うこととするものである。

同条第2項は、利用者の地域相談支援給付決定に係る支給期間の終了に伴い、引き続き当該利用者がサービスを利用する意向がある場合には、市町村の標準処理期間を勘案し、あらかじめ余裕をもって当該利用者が支給申請を行うことができるよう申請勧奨等の必要な援助を行うことを定めたものであ
る。

準用:第2の2の(8) 身分を証する書類の携行(基準第14条)

利用者が安心して指定地域移行支援の提供を受けられるよう、指定地域移行支援事業者は、当該指定地域移行支援事業所の指定地域移行支援従事者に身分を明らかにする証書や名札等を携行させ、初回訪問時及び利用者又はその家族から求められたときは、これを提示すべき旨を指導しなければならないこととしたものである。

なお、この証書等には、当該指定地域移行支援事業所の名称、当該従業者の氏名を記載するものとし、当該従業者の写真の貼付や職能の記載を行うことが望ましい。

準用:第2の2の(9) サービスの提供の記録(基準第15条)
  1. 記録の時期
    基準第15条第1項は、利用者及び指定地域移行支援事業者が、その時点での指定地域移行支援の利用状況等を把握できるようにするため、指定地域移行支援事業者は、指定地域移行支援を提供した際には、当該指定地域移行支援の提供日、提供したサービスの具体的内容等の利用者へ伝達すべき必要な事項を、後日一括して記録するのではなく、サービスの提供の都度記録しなければならないこととしたものである。
  2. 利用者の確認
    同条第2項は、同条第1項のサービスの提供の記録について、サービスの提供に係る適切な手続を確保する観点から、利用者の確認を得なければならないこととしたものである。
準用:第2の2の(10) 指定地域移行支援事業者が地域相談支援給付決定障害者に求めることのできる金銭の支払の範囲等(基準第16条)

指定地域移行支援事業者は、基準第17条第1項及び第2項に規定する額の他、曖昧な名目による不適切な費用の徴収を行うことはできないこととしたものであるが、利用者の直接便益を向上させるものについては、次の要件を満たす場合に、利用者に金銭の支払を求めることは差し支えないものである。

  • 指定地域移行支援のサービス提供の一環として行われるものではないサービスの提供に要する費用であること。
  • 利用者に求める金額、その使途及び金銭の支払を求める理由について記載した書面を利用者に交付し、説明を行うとともに、当該利用者の同意を得ていること。
準用:第2の2の(11) 地域相談支援給付費の額等の受領(基準第17条)
  • 法定代理受領を行わない場合
    基準第17条第1項は、指定地域移行支援事業者が、法定代理受領を行わない指定地域移行支援を提供した際には、地域相談支援給付決定障害者から法第51条の14第3項に規定する厚生労働大臣が定める基準により算定した地域相談支援給付費の額の支払を受けることとしたものである。
  • 交通費の受領
    同条第2項は、指定地域移行支援の提供に関して、前項の支払を受ける額のほか、地域相談支援給付決定障害者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の利用者を訪問して指定地域移行支援を行う場合の交通費(移動に要する実費)の支払を地域相談支援給付決定障害者から受けることができることとしたものである。
  • 領収証の交付
    同条第3項は、前2項の規定による額の支払を受けた場合には、地域相談支援給付決定障害者に対して領収証を交付することとしたものである。
  • 利用者の事前の同意
    同条第4項は、同条第2項の費用の額に係るサービスの提供に当たっては、あらかじめ、地域相談支援給付決定障害者に対し、当該サービスの内容及び費用について説明を行い、地域相談支援給付決定障害者の同意を得ることとしたものである。
準用:第2の2の(12) 地域相談支援給付費の額に係る通知等(基準第18条)
  • 利用者への通知
    基準第18条第1項は、指定地域移行支援事業者は、市町村から法定代理受領により指定地域移行支援に係る地域相談支援給付費の支給を受けた場合には、地域相談支援給付決定障害者に対し、当該地域相談支援給付決定障害者に係る地域相談支援給付費の額を通知することとしたものである。
  • サービス提供証明書の利用者への交付
    同条第2項は、基準第17条第1項の規定による額の支払を受けた場合には、提供した指定地域移行支援の内容、費用の額その他地域相談支援給付決定障害者が市町村に対し地域相談支援給付費を請求する上で必要と認められる事項を記載したサービス提供証明書を交付しなければならないこととしたものである。
(1) 指定地域定着支援の具体的取扱方針(基準第41条)
  • 指定地域定着支援従事者による地域定着支援台帳の作成(第1号)
    指定地域定着支援事業所の管理者は、基本相談支援に関する業務及び地域定着支援台帳の作成に関する業務その他指定地域定着支援に関する業務を指定地域定着支援従事者に担当させることとしたものである。
  • 相談支援専門員による技術的指導及び助言(第2号)
    指定地域定着支援事業所の管理者は、相談支援専門員に、相談支援専門員以外の指定地域定着支援従事者に対して、利用者の状況に応じた適切な支援を行うための技術的指導及び助言を行わせることとしたものである。
  • 意思決定の支援への配慮(第4項)
    基準第41条第1項第4号については、指定地域移行支援と同旨であるため、第2の2の(13)の③を参照されたい。
  • 指定地域定着支援の基本的留意点(第5項)
    指定地域定着支援は、緊急時等に利用者の家族の協力が必要となる場合が想定されること等から、指定地域定着支援について利用者及びその家族の十分な理解が求められるものであり、指定地域定着支援の提供に当たっては、利用者の立場に立って懇切丁寧に行うことを旨とし、サービスの提供方法等について理解しやすいように説明を行うことが肝要である。また、必要に応じて、同じ障害を有する者による支援等適切な手法を通じて行うこととする。
(2) 地域定着支援台帳の作成等(基準第42条)
  • ① 地域定着支援台帳
    基準第42条においては、指定地域定着支援従事者が作成すべき地域定着支援台帳について規定している。

    地域定着支援台帳は、利用者の心身の状況、その置かれている環境、緊急時において必要となる当該利用者の家族等及び当該利用者が利用する指定障害福祉サービス事業者等、医療機関その他の関係機関の連絡先その他の利用者に関する情報を記載した書面である。

    また、地域定着支援台帳は、利用者の自己決定の尊重及び意思決定の支援に配慮しつつ、その置かれている環境及び日常生活全般の状況等の評価を通じて利用者の希望する生活や課題等の把握(アセスメント)を行い、緊急時等に適切な対応を行うために作成するものである。

    その際、指定地域定着支援従事者は、アセスメントの実施に当たっては、利用者が自ら意思を決定することに困難を抱える場合には、適切に意思決定の支援を行うため、当該利用者の意思及び選好並びに判断能力等について丁寧に把握しなければならない。

    なお、地域定着支援台帳の様式については、各事業所ごとに定めるもので差し支えない。
    また、指定地域定着支援従事者は、常に利用者の状況の変化に留意し、その把握に努め、当該地域定着支援台帳を見直し、必要に応じて当該地域定着支援台帳の変更を行うこと。
(3) 常時の連絡体制の確保等(基準第43条)

常時の連絡体制については、当該指定地域定着支援事業所が直接利用者又はその家族との連絡体制を確保することが必要である。

なお、常時の連絡体制の確保は、夜間等に職員を配置する他、携帯電話等により利用者又はその家族との常時の連絡体制を確保する方法によることも可能である。

利用者の状況把握については、居宅訪問等の見守りによる支援により利用者の状況及び利用者の緊急時等に適切に対応するための情報を把握することを趣旨としたものである。

(4) 緊急の事態における支援等(基準第44条)
  • 基準第44条第1項及び第2項は、緊急に支援が必要な事態が生じた場合に、速やかに利用者の居宅訪問や電話等による状況把握を行い、利用者の状況に応じて必要な措置を適切に講ずべき旨を規定したものである。

    なお、一時的な滞在による支援については、利用者への付添いによる見守り等の支援を適切に行うこと。
  • 同条第3項は、一時的な滞在による支援を行う場所について、最低限必要となる要件を定めたものである。
  • 同条第4項は、一時的な滞在による支援について、指定地域定着支援事業者が当該指定地域定着支援事業所の宿直室等を確保して実施する他、指定障害福祉サービス事業者等への委託により障害者支援施設や短期入所事業所等の空室を活用して行うことができることを規定したものである。
準用:第2の2の(19)地域相談支援給付決定障害者に関する市町村への通知(基準第25条)

法第8条第1項の規定により、市町村は、偽りその他不正な手段によって自立支援給付の支給を受けた者があるときは、その者から、その支給を受けた額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができることに鑑み、指定地域移行支援事業者は、その地域相談支援給付決定障害者が偽りその他不
正な手段によって地域相談支援給付費の支給を受け、又は受けようとしたときは、遅滞なく、意見を付して市町村に通知しなければならないこととしたものである。

準用:第2の2の(20)管理者の責務(基準第26条)

指定地域移行支援事業所の管理者の責務を、法の基本理念を踏まえた利用者本位のサービス提供を行うため、利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握しながら、従業者及び業務の管理を一元的に行うとともに、指定地域移行支援従事者に基準第二章第三節(運営に関する基
準)を遵守させるための指揮命令を行うこととしたものである。

準用:第2の2の(21)運営規程(基準第27条)

指定地域移行支援の事業の適正な運営及び利用者に対する適切な指定地域移行支援の提供を確保するため、基準第27条第1号から第8号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定地域移行支援事業所ごとに義務づけたものであるが、特に次の点に留意するものとする。

  • 従業者の職種、員数及び職務内容(第2号)
    従業者については、指定地域移行支援従事者とその他の従業者に区分し、員数及び職務内容を記載することとする。なお、従業者の「員数」は日々変わりうるものであるため、業務負担軽減等の観点から、規程を定めるに当たっては、基準第3条において置くべきとされている員数を満たす範囲において、「○人以上」と記載することも差し支えない(基準第5条に規定する重要事項を記した文書に記載する場合についても、同様とする。)
  • 指定地域移行支援の提供方法及び内容並びに地域相談支援給付決定障害者から受領する費用及びその額(第4号)
    指定地域移行支援の提供方法及び内容については、サービスの内容及び地域相談支援給付決定障害者から相談を受ける場所、課題分析の手順等を記載するものとする。

    地域相談支援給付決定障害者から受領する費用及びその額については、地域相談支援給付費(法定代理受領を行わない場合に限る。)のほかに、基準第17条第2項に規定する額を指すものである。
  • 通常の事業の実施地域(第5号)
    通常の事業の実施地域は、客観的にその区域が特定されるものとすること。なお、通常の事業の実施地域は、利用申込みに係る調整等の観点からの目安であり、当該地域を越えてサービスが行われることを妨げるものではないものであること。
  • 事業の主たる対象とする障害の種類を定めた場合には当該障害の種類(第6号)
    指定地域移行支援事業者は、障害の種類にかかわらず利用者を受け入れることを基本とするが、サービスの専門性を確保するためやむを得ないと認められる場合においては、事業の主たる対象とする障害の種類を特定して事業を実施することも可能であること。
  • 虐待の防止のための措置に関する事項(第7号)
    「虐待の防止のための措置」については、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(平成23年法律第79号)において、障害者虐待を未然に防止するための対策及び虐待が発生した場合の対応について規定しているところであるが、より実効性を担保する観点から、指定地域移行支援事業者は、利用者に対する虐待を早期に発見して迅速かつ適切な対応が図られるための必要な措置について、あらかじめ運営規程に定めることとしたものである。
    具体的には、
     ア 虐待の防止に関する担当者の選定
     イ 成年後見制度の利用支援
     ウ 苦情解決体制の整備
     エ 従業者に対する虐待の防止を啓発・普及するための研修の実施(研修方法や研修計画など)
     オ 基準第36条の2第1項の虐待の防止のための対策を検討する委員会(以下「虐待防止委員会」という。)の設置等に関すること
    等を指すものであること。
  • その他運営に関する重要事項(第8号)
    指定地域移行支援事業所が市町村により地域生活支援拠点等(法第77条第4項に規定する地域生活支援拠点等をいう。以下同じ。)として位置付けられている場合は、その旨を明記すること。
準用:第2の2の(22)勤務体制の確保等(基準第28条)

利用者に対する適切な指定地域移行支援の提供を確保するため、従業者の勤務体制等について規定したものであるが、次の点に留意する必要がある。

  • 基準第28条第1項は、指定地域移行支援事業所ごとに、原則として月ごとの勤務表を作成し、指定地域移行支援従事者その他の従業者については、日々の勤務時間、職務の内容、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係等を明確にすることを定めたものであること。

  • 同条第2項は、当該指定地域移行支援事業所の指定地域移行支援従事者によって指定地域移行支援を提供するべきことを規定したものであるが、指定地域移行支援事業所の従業者とは、雇用契約その他の契約により、当該事業所の管理者の指揮命令下にある従業者を指すものであること。

    ただし、基準第22条及び第23条第2項の規定により、指定障害福祉サービス事業者等への委託により行われる障害福祉サービスの体験的な利用支援及び体験的な宿泊支援並びに指定地域移行支援事業者の事業所所在地と利用者の退院、退所等した後の居住予定地が遠隔地にある場合における他の指定地域移行支援事業者への委託により行われる住居の確保、利用者が地域生活に移行する上で必要な市町村や保健所等の行政機関及び指定障害福祉サービス事業者等との連絡調整・手続等については、この限りでない。
  • 同条第3項は、当該委託を行う指定地域移行支援事業者は、当該委託業務の受託者の業務の実施状況を定期的に確認、記録しなければならないことを定めたものである。
  • 同条第4項は、当該指定地域移行支援事業所の指定地域移行支援従事者の質の向上を図るため、研修機関が実施する研修や当該事業所内の研修への参加の機会を計画的に確保することとしたものであること。
  • 同条第5項は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和47年法律第113号)第11条第1項及び労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和41年法律第132号)第30条の2第1項の規定に基づき、指定地域移行支援事業者には、職場におけるセクシュアルハラスメントやパワーハラスメント(以下「職場におけるハラスメント」という。)の防止のための雇用管理上の措置を講じることが義務づけられていることを踏まえ、規定したものである。指定地域移行支援事業者が講ずべき措置の具体的内容及び指定地域移行支援事業者が講じることが望ましい取組については、次のとおりとする。

    なお、セクシュアルハラスメントについては、上司や同僚に限らず、利用者やその家族等から受けるものも含まれることに留意すること。
    • ア 指定地域移行支援事業者が講ずべき措置の具体的内容指定地域移行支援事業者が講ずべき措置の具体的な内容は、事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(平成18年厚生労働省告示第615号)及び事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号。以下「パワーハラスメント指針」という。)において規定されているとおりである
      が、特に留意されたい内容は以下のとおりである。
      • a 指定地域移行支援事業者の方針等の明確化及びその周知・啓発
        職場におけるハラスメントの内容及び職場におけるハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、従業者に周知・啓発すること。
      • b 相談(苦情を含む。以下同じ。)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備
        相談に対応する担当者をあらかじめ定めること等により、相談への対応のための窓口をあらかじめ定め、従業者に周知すること。

        なお、パワーハラスメント防止のための指定地域移行支援事業者の方針の明確化等の措置義務については、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律等の一部を改正する法律(令和元年法律第24号)附則第3条の規定により読み替えられた労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第30条の2第1項の規定により、中小企業(資本金が3億円以下又は常時使用する従業員の数が300人以下の企業)は、令和4年4月1日から義務化となり、それまでの間は努力義務とされているが、適切な勤務体制の確保等の観点から、必要な措置を講じるよう努められたい。
    • イ 指定地域移行支援事業者が講じることが望ましい取組について
      パワーハラスメント指針においては、顧客等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)の防止のために、事業主が雇用管理上の配慮として行うことが望ましい取組の例として、
      1. ①相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、
      2. ②被害者への配慮のための取組(メンタルヘルス不調への相談対応、行為者に対して1人で対応させない等)及び
      3. ③被害防止のための取組(マニュアル作成や研修の実施等、業種・業態等の状況に応じた取組)が規定されているので参考にされたい。
準用:第2の2の(23)業務継続計画の策定等(基準第28の2)
  • 基準第28条の2は、指定地域移行支援事業者は、感染症や災害が発生した場合にあっても、利用者が継続して指定地域移行支援の提供を受けられるよう、指定地域移行支援の提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(以下「業務継続計画」という。)を策定するとともに、当該業務継続計画に従い、従業者に対して、必要な研修及び訓練(シミュレーション)を実施しなければならないこととしたものである。

    なお、業務継続計画の策定、研修及び訓練の実施については、基準第28条の2に基づき指定地域移行支援事業者に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。また、感染症や災害が発生した場合には、従業者が連携して取り組むことが求められることから、研修及び訓練の実施にあたっては、全ての従業者が参加できるようにすることが望ましい。
  • 業務継続計画には、以下の項目等を記載すること。なお、各項目の記載内容については、「障害福祉サービス事業所等における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン」及び「障害福祉サービス事業所等における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」を参照されたい。また、想定される災害等は地域によって異なるものであることから、項目については実態に応じて設定すること。なお、感染症及び災害の業務継続計画を一体的に策定することを妨げるものではない。
    • ア 感染症に係る業務継続計画
      • a 平時からの備え(体制構築・整備、感染症防止に向けた取組の実施、備蓄品の確保等)b 初動対応
      • c 感染拡大防止体制の確立(保健所との連携、濃厚接触者への対応、関係者との情報共有等)
    • イ 災害に係る業務継続計画
      • a 平常時の対応(建物・設備の安全対策、電気・水道等のライフラインが停止した場合の対策、必要品の備蓄等)
      • b 緊急時の対応(業務継続計画発動基準、対応体制等)
      • c 他施設及び地域との連携
  • 研修の内容は、感染症及び災害に係る業務継続計画の具体的内容を職員間に共有するとともに、平常時の対応の必要性や、緊急時の対応にかかる理解の励行を行うものとする。
    職員教育を組織的に浸透させていくために、定期的(年1回以上)な教育を開催するとともに、新規採用時には別に研修を実施することが望ましい。

    また、研修の実施内容についても記録すること。なお、感染症の業務継続計画に係る研修については、感染症の予防及びまん延の防止のための研修と一体的に実施することも差し支えない。
  • 訓練(シミュレーション)においては、感染症や災害が発生した場合において迅速に行動できるよう、業務継続計画に基づき、指定地域移行支援事業所内の役割分担の確認、感染症や災害が発生した場合に実践する支援の演習等を定期的(年1回以上)に実施するものとする。

    なお、感染症の業務継続計画に係る訓練については、感染症の予防及びまん延の防止のための訓練と一体的に実施することも差し支えない。訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
準用:第2の2の(24)設備及び備品等(基準第29条)
  • 事務室
    指定地域移行支援事業所には、事業の運営を行うために必要な面積を有する専用の事務室を設けることが望ましいが、間仕切りする等他の事業の用に供するものと明確に区分される場合は、他の事業と同一の事務室であっても差し支えない。

    なお、この場合に、区分がされていなくても業務に支障がないときは、指定地域移行支援の事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものとする。
  • 受付等のスペースの確保
    事務室又は指定地域移行支援の事業を行うための区画については、利用申込みの受付、相談、計画作成会議等に対応するのに適切なスペースを確保するものとし、相談のためのスペース等は利用者が直接出入りできるなど利用しやすい構造とする。
  • 設備及び備品等
    指定地域移行支援事業者は、指定地域移行支援に必要な設備及び備品等を確保するものとする。ただし、他の事業所、施設等と同一敷地内にある場合であって、指定地域移行支援の事業又は当該他の事業所、施設等の運営に支障がない場合は、当該他の事業所、施設等に備え付けられた設備及び備品等を使用することができるものとする。

    なお、事務室又は区画、設備及び備品等については、必ずしも事業者が所有している必要はなく、貸与を受けているものであっても差し支えない。
準用:第2の2の(25)衛生管理等(基準第30条)
  • 基準第30条第1項及び第2項は、指定地域移行支援事業者は、従業者の清潔の保持及び健康状態の管理並びに指定地域移行支援事業所の設備及び備品等の衛生的な管理に努めるべきことを規定したものである。
  • 同条第3項に規定する感染症が発生し、又はまん延しないように講ずるべき措置については、具体的には次のアからウまでの取扱いとすること。各事項について、同項に基づき事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
    • ア 感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会当該指定地域移行支援事業所における感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会(以下「感染対策委員会」という。)であり、感染対策の知識を有する者を含む、幅広い職種により構成することが望ましく、特に、感染症対策の知識を有する者については外部の者も含め積極的に参画を得ることが望ましい。構成メンバーの責任及び役割分担を明確にするとともに、専任の感染対策を担当する者(以下「感染対策担当者」という。)を決めておくことが必要である。感染対策委員会は、利用者の状況など事業所の状況に応じ、おおむね6月に1回以上、定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要がある。

      感染対策委員会は、テレビ電話装置等(リアルタイムでの画像を介したコミュニケーションが可能な機器をいう。以下同じ。)を活用して行うことができるものとする。ただし、障害のある者が参加する場合には、その障害の特性に応じた適切な配慮を行うこと。この際、厚生労働省「福祉分野における個人情報保護に関するガイドライン」等を遵守すること。

      なお、感染対策委員会は、他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。また、指定地域移行支援事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
    • イ 感染症の予防及びまん延の防止のための指針
      当該指定地域移行支援事業所における「感染症の予防及びまん延の防止のための指針」には、平常時の対策及び発生時の対応を規定する。
      平常時の対策としては、指定地域移行支援事業所内の衛生管理(環境の整備等)、支援にかかる感染対策(手洗い、標準的な予防策)等、発生時の対応としては、発生状況の把握、感染拡大の防止、医療機関や保健所、市町村における事業所関係課等の関係機関との連携、行政等への報告等が想定される。

      また、発生時における指定地域移行支援事業所内の連絡体制や上記の関係機関への連絡体制を整備し、明記しておくことも必要である。

      なお、それぞれの項目の記載内容の例については、「障害福祉サービス施設・事業所職員のための感染対策マニュアル」も踏まえて検討すること。

    • ウ 感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練従業者に対する「感染症の予防及びまん延の防止のための研修」の内容は、感染対策の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該指定地域移行支援事業所における指針に基づいた衛生管理の徹底や衛生的な支援の励行を行うものとする。

      職員教育を組織的に浸透させていくためには、当該指定地域移行支援事業所が定期的な教育(年1回以上)を開催するとともに、新規採用時には感染対策研修を実施することが望ましい。また、研修の実施内容についても記録することが必要である。

      なお、研修の実施は、厚生労働省「障害福祉サービス施設・事業所職員のための感染対策マニュアル」等を活用するなど、事業所内で行うものでも差し支えなく、当該指定地域移行支援事業所の実態に応じ行うこと。

      また、平時から、実際に感染症が発生した場合を想定し、発生時の対応について、訓練(シミュレーション)を定期的(年1回以上)に行うことが必要である。訓練においては、感染症発生時において迅速に行動できるよう、発生時の対応を定めた指針及び研修内容に基づき、指定地域移行支援事業所内の役割分担の確認や、感染対策をした上での支援の演習などを実施するものとする。

      訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
準用:第2の2の(26)掲示等(第31条)
  • 基準第31条第1項は、基準第5条の規定により指定地域移行支援の提供開始時に、重要事項(その内容については(1)参照)を利用者に対して説明を行った上で同意を得ることに加え、指定地域移行支援事業所への当該重要事項の掲示を義務づけることにより、サービス提供が開始された後、継続的にサービスが行われている段階においても利用者の保護を図る趣旨であるが、次に掲げる点に留意する必要がある。
    • ア 指定地域移行支援事業所の見やすい場所とは、重要事項を伝えるべき利用者又はその家族等に対して見やすい場所のことであること。
    • イ 従業者の勤務体制については、職種ごと、常勤・非常勤ごと等の人数を掲示する趣旨であり、従業者の氏名まで掲示することを求めるものではないこと。
  • 同条第2項は、重要事項を記載したファイル等を利用者又はその家族等が自由に閲覧可能な形で当該指定地域移行支援事業所内に備え付けることで同条第1項の掲示に代えることができることを規定したものである。
  • 同条第3項は、基本相談支援及び地域移行支援の実施状況等を公表することにより、利用者のサービスの選択に資することから、第1項に加え、当該重要事項の公表に努めるべき旨を規定したものである。
    なお、公表の方法については、ホームページによる掲載等、適宜工夫すること。
準用:第2の2の(27)秘密保持等(基準第32条)
  • 基準第32条第1項は、指定地域移行支援事業所の従業者及び管理者に、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密の保持を義務づけたものである。
  • 同条第2項は、指定地域移行支援事業者に対して、過去に当該指定地域移行支援事業所の従業者及び管理者であった者が、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう必要な措置を取ることを義務づけたものであり、具体的には、指定地域移行支援事業者は、当該指定地域移行支援事業所の従業者等が、従業者等でなくなった後においてもこれらの秘密を保持すべき旨を、従業者の雇用時等に取り決めるなどの措置を講ずべきこととするものである。
  • 同条第3項は、指定地域移行支援従事者及び利用者に係る障害者支援施設等、精神科病院、救護施設等、刑事施設等、保護観察所又は地域生活定着支援センターにおける担当者が、計画作成会議において利用者又はその家族の個人情報を用いる場合は、指定地域移行支援事業者は、あらかじめ、文書により利用者又はその家族から同意を得る必要があることを規定したものであるが、この同意は、サービス提供開始時に利用者及びその家族から包括的な同意を得ておくことで足りるものである。
準用:第2の2の(28)利益供与等の禁止(基準第34条)
  • 基準第34条第1項は、指定特定相談支援事業者若しくは指定障害福祉サービス事業者等による指定地域移行支援事業者の紹介が公正中立に行われるよう、指定地域移行支援事業者は、指定特定相談支援事業者又は障害福祉サービス事業者等に対し、利用者に対して当該指定地域移行支援事業者を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならない旨を規定したものである。
  • 同条第2項は、利用者による指定特定相談支援事業者、指定障害福祉サービス事業者等の選択が公正中立に行われるよう、指定地域移行支援事業者は、指定特定相談支援事業者又は障害福祉サービス事業者等から、当該事業所を利用する利用者やサービス提供が終了した利用者を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を収受してはならない旨を規定したものである。
準用:第2の2の(29) 苦情解決(基準第35条)
  1. 基準第35条第1項にいう「必要な措置」とは、具体的には、相談窓口、苦情解決の体制及び手順等当該事業所における苦情を解決するための措置を講ずることをいうものである。当該措置の概要については、利用申込者にサービスの内容を説明する文書に記載し、事業所に掲示することが望ましい。
  2. 同条第2項は、苦情に対し指定地域移行支援事業者が組織として迅速かつ適切に対応するため、当該苦情(指定地域移行支援事業所が提供したサービスとは関係のないものを除く。)の受付日、内容等を記録することを義務付けたものである。また、指定地域移行支援事業者は、苦情がサービスの質の向上を図る上での重要な情報であるとの認識に立ち、苦情の内容を踏まえ、サービスの質の向上に向けた取組を自ら行うべきである。

    なお、基準第38条第2項の規定に基づき、苦情の内容等の記録は、5年間保存しなければならない。
  3. 同条第3項から第6項までの規定は、住民に最も身近な行政庁である市町村及び市町村の総括的立場にある都道府県が、サービスに関する苦情に対応する必要が生ずることから、市町村及び都道府県が、指定地域移行支援事業者に対する苦情に関する調査や指導、助言及び報告命令を行えることを運営基準上、明確にしたものである。
  4. 同条第7項は、社会福祉法上、都道府県社会福祉協議会の運営適正化委員会が福祉サービスに関する苦情の解決について相談等を行うこととされたことを受けて、運営適正化委員会が行う同法第85条に規定する調査又はあっせんにできるだけ協力することとしたものである。
準用:第2の2の(30)事故発生時の対応(基準第36条)

利用者が安心して指定地域移行支援の提供を受けられるよう、指定地域移行支援事業者は、利用者に対する指定地域移行支援の提供により事故が発生した場合は、都道府県、市町村、当該利用者の家族等に対して連絡を行うとともに、必要な措置を講じ、また、利用者に対する指定地域移行支援の提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならないこととしたものである。
なお、基準第38条第2項の規定に基づき、事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録は、5年間保存しなければならない。

このほか、以下の点に留意するものとする。

  • 利用者に対する指定地域移行支援の提供により事故が発生した場合の対応方法については、あらかじめ指定地域移行支援事業者が定めておくことが望ましいこと。また、事業所に自動体外式除細動器(AED)を設置することや救命講習等を受講することが望ましいこと。

    なお、事業所の近隣にAEDが設置されており、緊急時に使用できるよう、地域においてその体制や連携を構築することでも差し支えない。
  • 指定地域移行支援事業者は、賠償すべき事態において速やかに賠償を行うため、損害賠償保険に加入しておくことが望ましいこと。
  • 指定地域移行支援事業者は、事故が生じた際にはその原因を解明し、再発生を防ぐための対策を講じること。
    なお、「福祉サービスにおける危機管理(リスクマネジメント)に関する取り組み指針(厚生労働省)」(平成14年3月28日福祉サービスにおける危機管理に関する検討会)が示されているので、参考にされたい。
準用:第2の2の(31) 虐待の防止(基準第36条の2)
  1. 同条第第1項の虐待防止委員会の役割は、以下の3つがある。
    ・ 虐待防止のための計画づくり(虐待防止の研修、労働環境・条件を確認
    ・改善するための実施計画づくり、指針の作成)
    ・ 虐待防止のチェックとモニタリング(虐待が起こりやすい職場環境の確認等)
    ・ 虐待発生後の検証と再発防止策の検討(虐待やその疑いが生じた場合、事案検証の上、再発防止策を検討、実行)

    虐待防止委員会の設置に向けては、構成員の責務及び役割分担を明確にするとともに、専任の虐待防止担当者(必置)を決めておくことが必要であり、虐待防止委員会の構成員には、利用者やその家族、専門的な知見のある外部の第三者等も加えるよう努めるものとする。

    なお、事業所単位でなく、法人単位での委員会設置も可であるため、事業所の規模に応じた対応を検討すること。

    虐待防止委員会の開催に必要となる人数については事業所の管理者や虐待防止担当者(必置)が参画していれば最低人数は問わないが、委員会での検討結果を従業者に周知徹底することが必要である。

    なお、虐待防止委員会は、少なくとも1年に1回は開催することが必要である。
    指定地域相談支援事業所が、報告、改善のための方策を定め、周知徹底する目的は、虐待の防止のための対策について、事業所全体で情報共有し、今後の未然防止、再発防止につなげるためのものであり、決して従業者の懲罰を目的としたものではないことに留意することが必要である。
    具体的には、次のような対応を想定している。

    なお、虐待防止委員会における対応状況については、適切に記録の上、5年間保存すること。
    同条第第1項の虐待防止委員会の役割は、以下の3つがある。
    ・ 虐待防止のための計画づくり(虐待防止の研修、労働環境・条件を確認
    ・改善するための実施計画づくり、指針の作成)
    ・ 虐待防止のチェックとモニタリング(虐待が起こりやすい職場環境の確認等)
    ・ 虐待発生後の検証と再発防止策の検討(虐待やその疑いが生じた場合、事案検証の上、再発防止策を検討、実行)

    虐待防止委員会の設置に向けては、構成員の責務及び役割分担を明確にするとともに、専任の虐待防止担当者(必置)を決めておくことが必要であり、虐待防止委員会の構成員には、利用者やその家族、専門的な知見のある外部の第三者等も加えるよう努めるものとする。

    なお、事業所単位でなく、法人単位での委員会設置も可であるため、事業所の規模に応じた対応を検討すること。

    虐待防止委員会の開催に必要となる人数については事業所の管理者や虐待防止担当者(必置)が参画していれば最低人数は問わないが、委員会での検討結果を従業者に周知徹底することが必要である。

    なお、虐待防止委員会は、少なくとも1年に1回は開催することが必要である。
    指定地域相談支援事業所が、報告、改善のための方策を定め、周知徹底する目的は、虐待の防止のための対策について、事業所全体で情報共有し、今後の未然防止、再発防止につなげるためのものであり、決して従業者の懲罰を目的としたものではないことに留意することが必要である。
    具体的には、次のような対応を想定している。

    なお、虐待防止委員会における対応状況については、適切に記録の上、5年間保存すること。
    • ア 虐待(不適切な対応事例も含む)が発生した場合、当該事案について報告するための様式を整備すること。
    • イ 従業者は、虐待の発生ごとにその状況、背景等を記録するとともに、アの様式に従い、虐待について報告すること。
    • ウ 虐待防止委員会において、イにより報告された事例を集計し、分析すること。
    • エ 事例の分析に当たっては、虐待の発生時の状況等を分析し、虐待の発生原因、結果等をとりまとめ、当該事例の再発防止策を検討すること。
    • オ 労働環境・条件について確認するための様式を整備するとともに、当該様式に従い作成された内容を集計、報告し、分析すること。カ 報告された事例及び分析結果を従業者に周知徹底すること。
    • キ 再発防止策を講じた後に、その効果について検証すること。
  2. 指定地域相談支援事業所は次のような項目を定めた「虐待防止のための指針」を作成することが望ましい。
    • ア 事業所における虐待防止に関する基本的な考え方
    • イ 虐待防止委員会その他施設内の組織に関する事項
    • ウ 虐待防止のための職員研修に関する基本方針
    • エ 施設内で発生した虐待の報告方法等の方策に関する基本方針
    • オ 虐待発生時の対応に関する基本方針
    • カ 利用者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
    • キ その他虐待防止の適正化の推進のために必要な基本方針
  3. 同条第2項の従業者に対する虐待防止のための研修の実施に当たっては、虐待防止の基礎的内容等適切な知識を普及・啓発するとともに、指針を作成した事業所においては当該指針に基づき、虐待防止の徹底を図るものとする。

    職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該指定地域相談支援事業所の虐待防止委員会が作成した研修プログラムを実施し、定期的な研修を実施(年1回以上)するとともに、新規採用時には必ず虐待防止の研修を実施することが重要である。
    また、研修の実施内容について記録することが必要である。

    なお、研修の実施は、施設内で行う職員研修及び協議会又は基幹相談支援センター等が実施する研修に事業所が参加した場合でも差し支えない。
  4. 同条第3項の虐待防止のための担当者については、相談支援専門員を配置すること。
    なお、当該担当者及び管理者は、「地域生活支援事業の実施について」(平成18年8月1日障発第0801002号)の別紙2「地域生活支援促進事業実施要綱」の別記2-4の3(3)の都道府県が行う研修に参加することが望ましい。
準用:第2の2の(32) 会計の区分(基準第37条)

指定地域移行支援事業者は、指定地域移行支援事業所ごとに経理を区分するとともに、指定地域移行支援の事業の会計とその他の事業の会計を区分しなければならないこととしたものである。

準用:第2の2の(33) 記録の整備(基準第38条)

指定地域移行支援事業者は、従業者、設備、備品及び会計等に関する諸記録を文書により整備しておく必要があること。なお、基準第38条第2項により、指定地域移行支援事業者は、利用者に対する指定地域移行支援の提供に関する諸記録のうち、少なくとも次に掲げる記録については、当該地域移行支援を提供した日から、少なくとも5年以上保存しておかなければならないこととしたものである。

  • 第15条第1項に規定する指定地域移行支援の提供に係る記録
  • 地域移行支援計画
  • 第25条の規定による市町村への通知に係る記録
  • 第35条第2項に規定する苦情の内容等の記録
  • 第36条第2項に規定する事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録

第4 雑則

1 電磁的記録について

基準第 46 条第1項は、指定一般相談支援事業者及びその従業者(以下「事業者等」という。)の書面の保存等に係る負担の軽減を図るため、事業者等は、この省令で規定する書面の作成、保存等を次に掲げる電磁的記録により行うことができることとしたものである。

  • 電磁的記録による作成は、事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法または磁気ディスク等をもって調製する方法によること。
  • 電磁的記録による保存は、以下のいずれかの方法によること。
    1. 作成された電磁的記録を事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等をもって調製するファイルにより保存する方法
    2. 書面に記載されている事項をスキャナ等により読み取ってできた電磁的記録を事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイル又は磁気ディスク等をもって調製するファイルにより保存する方法
  • その他、基準第 46 条第1項において電磁的記録により行うことができるとされているものは、及びに準じた方法によること。
  • また、電磁的記録により行う場合は、個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」等を遵守すること。
2 電磁的方法について

基準第 46 条第2項は、書面で行うことが規定されている又は想定される交付等(交付、説明、同意その他これに類するものをいう。)について、当該交付等の相手方の利便性向上及び事業者等の業務負担軽減等の観点から、事業者等は、事前に当該交付等の相手方の承諾を得た上で、次に掲げる電磁的方法によることができることとしたものである。令和3年7月1日施行予定。

  • 電磁的方法による交付は、以下のからまでに準じた方法によること。
    1. 事業者等は、利用申込者からの申出があった場合には、基準第5条の規定による文書の交付に代えて、④で定めるところにより、当該利用申込者の承諾を得て、当該文書に記すべき重要事項を電磁的方法により提供することができる。

      この場合において、当該事業者等は、当該文書を交付したものとみなす。
      • ア 電子情報処理組織を使用する方法のうちa又はbに掲げるもの
        • a 事業者等の使用に係る電子計算機と利用申込者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法
        • b 事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された基準第5条第1項に規定する重要事項を電気通信回線を通じて利用申込者の閲覧に供し、当該利用申込者又はその家族の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに当該重要事項を記録する方法(電磁的方法による提供を受ける旨の承諾又は受けない旨の申出をする場合にあっては、事業者等の使用に係る電子計算機に備えられたファイルにその旨を記録する方法)
      • イ 磁気ディスク、シー・ディー・ロムその他これらに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに基準第5条第1項に規定する重要事項を記録したものを交付する方法
    2. ①に掲げる方法は、利用申込者がファイルへの記録を出力することによる文書を作成することができるものでなければならない。
    3. ①アの「電子情報処理組織」とは、事業者等の使用に係る電子計算機と、利用申込者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。
    4. 事業者等は、①の規定により基準第5条第1項に規定する重要事項を提供しようとするときは、あらかじめ、当該利用申込者に対し、その用いる次に掲げる電磁的方法の種類及び内容を示し、文書又は電磁的方法による承諾を得なければならない。
      • ア ①のア及びイに規定する方法のうち事業者等が使用するもの
      • イ ファイルへの記録の方式
    5. ④の規定による承諾を得た事業者等は、当該利用申込者から文書又は電磁的方法により電磁的方法による提供を受けない旨の申出があったときは、当該利用申込者に対し、基準第5条第1項に規定する重要事項の提供を電磁的方法によってしてはならない。

      ただし、当該利用申込者が再び④の規定による承諾をした場合は、この限りでない。
  • 電磁的方法による同意は、例えば電子メールにより当該同意の相手方が同意の意思表示をした場合等が考えられること。なお、「押印についてのQ&A(令和2年6月 19 日内閣府・法務省・経済産業省)(外部サイト)を参考にすること。
  • その他、基準第 46 条第2項において電磁的方法によることができるとされているものは、及びに準じた方法によること。

    ただし、基準又はこの通知の規定により電磁的方法の定めがあるものについては、当該定めに従うこと。
  • また、電磁的方法による場合は、個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」等を遵守すること。

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