障害福祉事業に関わる書類は、種類も多いですし、すべてを電磁的記録には出来ないかと思います。ボリュームもかなりの量になると思います。保管期間が過ぎたものについては処分して保管場所を確保しておきたいものです。では、保管期間はどうなっているのでしょうか?以下でまとめていきます。
根拠となる法律について
大まかにリストアップすると以下になります。会計書類などは自身で調べても7年であったり10であったりと情報にバラつきがあり理解できていませんでした。紐解いていくと法人税法では7年ですが、会社法では同じ書類でも10年保管とされていました。どちらの法律で見るかによって保管年数が異なっていたというわけです。会計帳簿などは、期限が長い方に合わせて10年保管するべきでしょう。
根拠法令 | 内容 | 期間 |
---|---|---|
①障害者総合支援法 | 障害福祉サービスに関する書類の保管について「提供した日から」 | 5年 |
②会社法 | 決算や議事録、帳簿、申告書、免許許可書類など会社運営に関する書類。 | 5~10年 |
③法人税法 | 決算や帳簿、取引の記録など ※一部会社法と重複 | 5~7年 |
④労働基準法 | 雇用関係に関する書類、タイムカードなど | 5年 |
ここからは、それぞれ細かく見ていきましょう。
障害者総合支援法関連
障害者総合支援法関連としては、”サービスの提供を開始してから5年”となっています。
条文を読んでみると、「提供した日から五年間保存」と記載されています。
※「療養介護」と書かれている部分はそれぞれ別のサービスに置き換えてください。
(記録の整備)
e-gov 法令検索より
第七十五条 指定療養介護事業者は、従業者、設備、備品及び会計に関する諸記録を整備しておかなければならない。
2 指定療養介護事業者は、利用者に対する指定療養介護の提供に関する次の各号に掲げる記録を整備し、当該指定療養介護を提供した日から五年間保存しなければならない。
一 第五十八条第一項に規定する療養介護計画
二 第五十三条の二第一項に規定するサービスの提供の記録
三 第六十五条に規定する市町村への通知に係る記録
四 第七十三条第二項に規定する身体拘束等の記録
五 次条において準用する第三十九条第二項に規定する苦情の内容等の記録
六 次条において準用する第四十条第二項に規定する事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録
5年保管
- 療養介護計画 → 個別支援計画・モニタリング等
- サービスの提供の記録
- 町村への通知に係る記録
- 身体拘束等の記録
- 苦情の内容等の記録
- 事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録
会社法
会社法に関わる書類の保管期間について解説します。書類の種類や内容によって異なりますが、一般的には5年から10年が多いです。保管期間が過ぎた書類は廃棄することができますが、法律上の要件を満たすことが必要です。書類の保管は、企業にとって非常に重要な業務の一つであり、法律上の義務を遵守することが必要です。以下、保管年数別にまとめています。
5年保管
- 会計参与報告定時
- 臨時計算書類
10年保管
- ・株主総会議事録
-
会社法:第三百十八条 株主総会の議事については、法務省令で定めるところにより、議事録を作成しなければならない。
引用:会社法|e-Gov法令検索
重要な書類として取り扱われており10年間保管となります。 - ・取締役会議事録
-
会社法:第百一条第3項及び第4項
「取締役会の議事録は、書面又は電磁的記録をもって作成しなければならない」
引用:会社法|e-Gov法令検索
という規定があります。こちらも重要な書類として取り扱われており10年間保管となります。 - ・決算書・財務諸表・計算書類
-
帳簿閉鎖の時を起算日として10年間(※法人税法では7年)
- ・会計帳簿
-
帳簿閉鎖の時を起算日として10年間(※法人税法では7年)
永久保管(推奨)
会社として、以下の書類は永久に保管しておいたほうが良いかと思います。何かあった時にの為に記録は必要です。
- 決算書
- 申告書
- 総勘定元帳
- 定款
- 登記関係書類
- 免許許可関連書類
- 不動産関連書類
- その他重要な契約書
- 申請書
- 届出書等
法人税法
法人税法においても、保管期間が定められている書類について解説します。具体的には、「法人税申告書」や「課税事項証明書」、「決算書類」、「給与台帳」、「源泉徴収票」などが該当します。これらの書類は、原則として申告した課税事項に関して、最終決定が確定するまでの期間である5年間、又はそれ以上の7年間保管する必要があります。書類の保管は、法人の責務の一つであり、税務署からの立替調査や税務調査の際には、必要な書類をすばやく提出することが求められます。以下、法人税法に規定された、書類の保管期間を列挙していきます。
5年保管
取引でやり取りした書類。請求書控え、見積書、契約書、納品書控え、注文書等
7年保管→ただし会社法で10年保管
- 帳簿類・・・総勘定元帳・仕訳表・現金出納帳・売掛帳・買掛帳・固定資産台帳・経費帳票等
- 決算書類・・・青色申告決算書(貸借対照表・損益計算書)・棚卸表等
- 現金、預金の入出金の証拠となるもの・・・領収書・預金通帳・請求書等
労基法関連
労基法に規定された、書類の保管期間を列挙していきます。
第百九条 使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃 金その他労働関係に関する重要な書類を五年間保存しなければならない。
労働基準法 109条
5年保管
- タイムカード、出勤簿など
- 賃金台帳
まとめ
一つの書類でも複数の法律で重複して期限が定められていました。(最初、そのことに気付いていませんでした)ざっくりとしたイメージが↑になります。
保管スペースが許されるのであれば、10年保管しておけば全ての法律の条件を満たすことになりますので安心かと思います。