指定基準についての通知 第14:自立生活援助

令和6年3月29日改正
参考:障発第1206001号│厚生労働省(新しいタブで開きます)

目次

第14 自立生活援助

1 人員に関する基準

(1)地域生活支援員(基準第206条の14第1項第1号)

基準第206 条の14 第1項第1号は、指定自立生活援助事業者が、事業所ごとに必ず1人以上の地域生活支援員を置くことを定めたものである。

指定自立生活援助事業所における地域生活支援員については、常勤換算方法により、必要な員数の配置が求められるものではないが、地域生活支援員としての業務を適切に遂行する観点から、必要な勤務時間が確保されている必要があること。

なお、当該地域生活支援員の配置は、利用者の数が25 人に対して1人を標準とするものであり、利用者の数が25 人又はその端数を増すごとに増員することが望ましい。

(2)サービス管理責任者(基準第206条の14第1項第2号)

指定自立生活援助事業所におけるサービス管理責任者については、常勤換算方法により、必要な員数の配置が求められるものではないが、サービス管理責任者としての業務を適切に遂行する観点から、必要な勤務時間が確保されている必要があること。

ただし、サービス管理責任者を常勤で配置する場合は、指定療養介護及び指定生活介護の場合と同趣旨であるため、第4の1の(4)及び第5の1の(4)を参照されたい。

第4の1の(4)

サービス管理責任者は、利用者に対する効果的かつ適切な指定療養介護を行う観点から、適切な方法により、利用者の解決すべき課題を把握した上で、療養介護計画の作成及び提供した指定療養介護の客観的な評価等を行う者であり、指定療養介護事業所ごとに、利用者の数に応じて必要数を置くこととしたものである。

第5の1の(4)

指定療養介護の場合と同趣旨であるため、第4の1の(4)を参照されたい。

なお、サービス管理責任者と他の職務との兼務については、次のとおり取り扱うものとする。

指定生活介護事業所の従業者は、原則として専従でなければならず、職種間の兼務は認められるものではない。サービス管理責任者についても、生活介護計画の作成及び提供した指定生活介護の客観的な評価等の重要な役割を担う者であるので、これらの業務の客観性を担保する観点から、原則として、サービス管理責任者と直接サービスの提供を行う生活支援員等とは異なる者でなければならない。

ただし、利用者に対するサービス提供に支障がない場合は、サービス管理責任者が指定生活介護事業所の他の職務に従事することができるものとする。この場合においては、原則として、兼務を行う他の職務に係る常勤換算上、当該サービス管理責任者の当該他の職務に係る勤務時間を算入することはできないものであるが、当該指定生活介護事業所の利用定員が20人未満である場合には、当該他の職務に係る勤務時間を算入することが可能であること。

なお、この例外的な取扱いの適用を受けるため、定員規模を細分化することは認められないものであることに留意されたい。

また、1人のサービス管理責任者は、最大利用者60人までの生活介護計画の作成等の業務を行うことができることとしていることから、この範囲で、指定生活介護事業所のサービス管理責任者が、指定共同生活介護事業所若しくは指定共同生活援助事業所に置くべきサービス管理責任者又は大規模な指定障害福祉サービス事業所等において、専従かつ常勤のサービス管理責任者1人に加えて配置すべきサービス管理責任者を兼務することは差し支えない。

(例) 利用者の数が20人の指定生活介護事業所におけるサービス管理責任者が、利用

(3)一般相談支援事業所との兼務についての特例(基準第206条の14第3項及び第4項)

指定自立生活援助事業所と併設する指定地域移行支援事業所又は指定地域定着支援事業所を一体的に運営している場合は、当該事業所に配置された相談支援専門員については、指定自立生活援助事業所のサービス管理責任者の職務と兼務して差し支えない。

(4)サービス管理責任者と地域生活支援員との兼務について(基準第206条の14第6項)

指定自立生活援助事業所におけるサービス管理責任者については、(2)のただし書きによる場合を除き、当該指定自立生活援助事業所に置かれる地域生活支援員の職務と兼務して差し支えない。

(5)他の事業所との兼務について(基準第206条の14第6項)

指定自立生活援助事業所の従業者は、原則として専従でなければならない。

ただし、利用者に対するサービス提供に支障がない場合は、従業者を他の事業所又は施設等の職務に従事させることができるものとする。この場合においては、指定自立生活援助事業所の従業者として勤務する時間を、兼務を行う他の職務に係る常勤換算に算入することはできないものとする。

なお、利用者からの相談等の対応に係る業務を考慮し、指定自立生活援助事業所の従業者が、指定地域移行相談支援事業所、指定地域定着相談支援事業所、指定特定相談支援事業所又は指定障害児相談支援事業所の業務のほか、併設する他の指定障害福祉サービス事業所若しくは指定障害者支援施設等の管理者又はサービス管理責任者の職務と兼務する場合については、サービス提供に支障がない場合として認めるものとする。

(6)管理者(基準第51条)

基準第51条については、指定自立生活援助に準用されるものであることから、第4の1の(7)の①を参照されたい。

第4の1の(7)
①管理者の専従

指定療養介護事業所の管理者は、原則として、専ら当該指定療養介護事業所の管理業務に従事するものである。ただし、以下の場合であって、当該指定療養介護事業所の管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。

  •  当該指定療養介護事業所のサービス管理責任者又は従業者としての職務に従事する場合
  •  当該指定療養介護事業所以外の他の指定障害福祉サービス事業所又は指定障害者支援施設等の管理者又はサービス管理責任者若しくは従業者としての職務に従事する場合であって、当該他の事業所又は施設等の管理者、サービス管理責任者又は従業者としての職務に従事する時間帯も、当該指定療養介護事業所の利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握し、職員及び業務の一元的な管理・指揮命令を支障なく行うことができ、また、事故発生時等の緊急時の対応について、あらかじめ対応の流れを定め、必要に応じて管理者自身が速やかに出勤できる場合

2 設備に関する基準(基準第206条の5)

指定就労定着支援の場合と同趣旨であるため、第13の2を参照されたい。

準用:第13の2の(1)事務室

指定就労定着支援事業所には、事業の運営を行うために必要な面積を有する専用の事務室を設けることが望ましいが、間仕切りする等他の事業の用に供するものと明確に区分される場合は、他の事業と同一の事務室であっても差し支えない。

なお、この場合に、区分がされていなくても業務に支障がないときは、指定就労定着支援の事業を行うための区画が明確に特定されていれば足りるものとする。

準用:第13の2の(2)受付等のスペースの確保

事務室又は指定就労定着支援の事業を行うための区画については、利用申込みの受付、相談、計画作成会議等に対応するのに適切なスペースを確保するものとし、相談のためのスペース等は利用者が直接出入りできるなど利用しやすい構造とする。

準用:第13の2の(3)設備及び備品等

指定就労定着支援事業者は、指定就労定着支援に必要な設備及び備品等を確保するものとする。ただし、他の事業所、施設等と同一敷地内にある場合であって、指定就労定着支援の事業又は当該他の事業所、施設等の運営に支障がない場合は、当該他の事業所、施設等に備え付けられた備品及び設備等を使用することができるものとする。

なお、事務室又は区画、設備及び備品等については、必ずしも事業者が所有している必要はなく、貸与を受けているものであっても差し支えない。

3 運営に関する基準

(1)指定自立生活援助の取扱方針(基準第57条)
  • 指定自立生活援助は、漫然かつ画一的に提供されることがないよう、個々の利用者の心身の状況及びその置かれている環境等に応じて適切に提供されなければならないこととしたものである。
  • 提供された指定自立生活援助については、目標達成の度合いや利用者の満足度等について常に評価を行うとともに、その改善を図らなければならないものである。
(2)定期的な訪問等による支援(基準第206条の18)
  • 指定自立生活援助事業者は、指定自立生活援助の提供に当たり、利用者の心身の状況、その置かれている環境及び日常生活全般の状況等に応じた適切かつ効果的な支援が行えるよう、利用者の居宅を訪問することにより、当該利用者の状況等の的確な把握に努めなければならないこととしたものである。

    また、指定自立生活援助は、一定の期間の中で、利用者が自立した地域生活を継続していけるよう目標を設定して集中的に支援するものであることから、自立生活援助計画に基づき、定期的に当該利用者の居宅を訪問し、又はテレビ電話装置等を活用して、必要な支援を行わなければならないこととしたものである。
  • 指定自立生活援助事業者は、定期的な居宅への訪問により把握した利用者の状況等をもとに、当該利用者に必要な相談等の支援及び環境調整を行うべき旨を規定したものである。

    具体的には、利用者が地域における自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な情報の提供や助言、相談、同行による支援、指定障害福祉サービス事業者等や医療機関、地域住民等との連絡調整を行うものとする。

    なお、利用者の生活状況を把握し、適切な支援を行うために、定期的な訪問による支援の内容(訪問した時間帯、利用者の状況、対応の内容等)を具体的に記録するものとする。
(3)随時の通報による支援等(基準第206条の19)
  • 基準第206 条の19 第1項及び第2項は、利用者からの相談又は要請があった場合には、速やかに電話による対応又は利用者の居宅への訪問等により状況把握を行った上で、当該利用者に必要な情報の提供や助言、相談、当該利用者の家族や当該利用者が利用する指定障害福祉サービス事業者等、医療機関その他の関係機関等との連絡調整を行うなどの必要な措置を適切に講ずべき旨を規定したものである。

    なお、利用者の心身の状況に応じて、適切な対応を行うために、随時の通報による措置の内容(通報のあった時間、相談又は要請の内容、対応の状況等)を具体的に記録するものとする。
  • 同条第3項は、利用者の状況に応じて、指定自立生活援助事業所が、携帯電話等により直接利用者又はその家族等と常時の連絡体制を確保しなければならないこととしたものである。
(4)準用(基準第206 条の20)

第9条から第23 条まで、第29 条、第33 条から第35 条まで、第36条から第41 条まで、第57 条、第58 条、第60 条、第66 条、第206 条の6、第206 条の10 及び第206 条の11 の規定は、指定自立生活援助の事業について準用されることから、第三の3の(1)から13)まで、(18)、(22)から(24)まで、(26)から(31)まで、並びに第四の3の(7)((7)の②中「6月に1回以上」とあるのは、「3月に1回以上」とする。)、(9)、(15)並びに第十三の3の(1)、(5)、(6)を参照されたい。なお、第57 条の規定については、3の(2)を参照されたい。

準用:第3の3の(1)内容及び手続の説明及び同意(基準第9条)

指定居宅介護事業者は、利用者に対し適切な指定居宅介護を提供するため、その提供の開始に際し、あらかじめ、利用申込者に対し、当該指定居宅介護事業所の運営規程の概要、従業者の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制、提供するサービスの第三者評価の実施状況(実施の有無、実施した直近の年月日、実施した評価機関の名称、評価結果の開示状況)等の利用申込者がサービスを選択するために必要な重要事項について、利用者の障害の特性に応じ、適切に配慮されたわかりやすい説明書やパンフレット等の文書を交付して懇切丁寧に説明を行い、当該事業所から指定居宅介護の提供を受けることにつき、当該利用申込者の同意を得なければならないこととしたものである。

なお、利用者及び指定居宅介護事業所双方の保護の立場から書面によって確認することが望ましいものである。

また、利用者との間で当該指定居宅介護の提供に係る契約が成立したときは、利用者の障害の特性に応じた適切な配慮をもって、社会福祉法(昭和 26 年法律第 45 号)第 77 条第1項の規定に基づき、

  1. 当該事業の経営者の名称及び主たる事務所の所在地
  2. 当該事業の経営者が提供する指定居宅介護の内容
  3. 当該指定居宅介護の提供につき利用者が支払うべき額に関する事項
  4. 指定居宅介護の提供開始年月日
  5. 指定居宅介護に係る苦情を受け付けるための窓口

を記載した書面を交付すること。

なお、利用者の承諾を得た場合には当該書面に記載すべき事項を電子情報処

準用:第3の3の(2)契約支給量の報告等(基準第10条)
①契約支給量等の受給者証への記載

指定居宅介護事業者は、指定居宅介護の提供に係る契約が成立した時は、利用者の受給者証に当該事業者及びその事業所の名称、当該指定居宅介護の内容、当該事業者が当該利用者に提供する月当たりの指定居宅介護の提供量(契約支給量)、契約日等の必要な事項を記載すること。

なお、当該契約に係る指定居宅介護の提供が終了した場合にはその年月日を、月途中で終了した場合には当該月で既に提供した指定居宅介護の量を記載することとしたものである。

②契約支給量

基準第10条第2項は、受給者証に記載すべき契約支給量の総量は、当該利用者の支給量を超えてはならないこととしたものである。

③市町村への報告

同条第3項は、指定居宅介護事業者は、①の規定による記載をした場合に、遅滞なく市町村に対して、当該記載事項を報告することとしたものである。

準用:第3の3の(3)提供拒否の禁止(基準第11条)

事業者は、原則として、利用申込みに対して応じなければならないことを規定したものであり、特に、障害程度区分や所得の多寡を理由にサービスの提供を拒否することを禁止するものである。提供を拒むことのできる正当な理由がある場合とは、

  1. 当該事業所の現員からは利用申込みに応じきれない場合
  2. 利用申込者の居住地が当該事業所の通常の事業の実施地域外である場合
  3. 当該事業所の運営規程において主たる対象とする障害の種類を定めている場合であって、これに該当しない者から利用申込みがあった場合、その他利用申込者に対し自ら適切な指定居宅介護を提供することが困難な場合
  4. 入院治療が必要な場合

である。

準用:第3の3の(4)連絡調整に対する協力(基準第12条)

事業者は、市町村又は相談支援事業者が行う利用者の紹介、地域におけるサービス担当者会議への出席依頼等の連絡調整等に対し、指定障害福祉サービスの円滑な利用の観点から、できる限り協力しなければならないこととしたものである。

準用:第3の3の(5)サービス提供困難時の対応(基準第13条)

事業者は、基準第11条の正当な理由により、利用申込者に対し自ら適切なサービスを提供することが困難であると認めた場合には、基準第13条の規定により、適当な他の事業者等の紹介その他の必要な措置を速やかに講じなければならないものである。

準用:第3の3の(6)受給資格の確認(基準第14条)

サービスの利用に係る介護給付費を受けることができるのは、支給決定障害者等に限られるものであることを踏まえ、事業者は、サービスの提供の開始に際し、利用者の提示する受給者証によって、支給決定の有無、支給決定の有効期間支給量等を確かめなければならないこととしたものである。

準用:第3の3の(7)介護給付費の支給の申請に係る援助(基準第15条)
①支給決定を受けていない利用者

基準第15条第1項は、支給決定を受けていない者から利用の申込みを受けた場合には、その者の意向を踏まえて速やかに介護給付費の支給申請に必要な援助を行うこととするものである。

②利用継続のための援助

同条第2項は、利用者の支給決定に係る支給期間の終了に伴い、引き続き当該利用者が当該事業者のサービスを利用する意向がある場合には、市町村の標準処理期間を勘案し、あらかじめ余裕をもって当該利用者が支給申請を行うことができるよう申請勧奨等の必要な援助を行うことを定めたものである。

準用:第3の3の(8)身分を証する書類の携行(基準第18条)

利用者が安心して指定居宅介護の提供を受けられるよう、指定居宅介護事業者は、当該指定居宅介護事業所の従業者に身分を明らかにする証書や名札等を携行させ、初回訪問時及び利用者又はその家族から求められたときは、これを提示すべき旨を指導しなければならないこととしたものである。

なお、この証書等には、当該指定居宅介護事業所の名称、当該従業者の氏名を記載するものとし、当該従業者の写真の貼付や職能の記載を行うことが望ましい。

準用:第3の3の(9)サービスの提供の記録(基準第19条)
①記録の時期

基準第19条第1項は、利用者及び事業者が、その時点でのサービスの利用状況等を把握できるようにするため、事業者は、サービスを提供した際には、当該サービスの提供日、提供したサービスの具体的内容(例えば、身体介護と家事援助の別等)、実績時間数利用者負担額等の利用者へ伝達すべき必要な事項を、後日一括して記録するのではなく、サービスの提供の都度記録しなければならないこととしたものである。

②利用者の確認

同条第2項は、同条第1項のサービスの提供の記録について、サービスの提供に係る適切な手続を確保する観点から、利用者の確認を得なければならないこととしたものである。

準用:第3の3の(10)支給決定障害者等に求めることのできる金銭の支払の範囲等(基準第20条)

事業者は、基準第21条第1項から第3項に規定する額の他曖昧な名目による不適切な費用の徴収を行うことはできないこととしたものであるが、利用者の直接便益を向上させるものについては、次の要件を満たす場合に、利用者等に金銭の支払を求めることは差し支えないものである。

  1. サービス提供の一環として行われるものではないサービスの提供に要する費用であること。
  2. 利用者等に求める金額、その使途及び金銭の支払を求める理由について記載した書面を利用者に交付し、説明を行うとともに、当該利用者の同意を得ていること。
準用:第3の3の(11)利用者負担額等の受領(基準第21条)
①利用者負担額の受領

基準第21条第1項は、指定居宅介護事業者は、法定代理受領サービスとして提供される指定居宅介護についての利用者負担額として、法第 29 条第3項第2号に規定する政令で定める額(政令で定める額よりも、サービス提供に要した費用の1割相当額の方が低い場合は、1割相当額)の支払を受けなければならないことを規定したものである。
なお、法第 31 条の規定により、介護給付費等の額の特例の適用を受ける場合は、市町村が定める額を利用者負担額とする。

②法定代理受領を行わない場合

同条第2項は、指定居宅介護事業者が法定代理受領を行わない指定居宅介護を提供した際には、利用者から、利用者負担額のほか、当該指定居宅介護につき法第29条第3項に規定する厚生労働大臣が定める基準により算定した費用の額(その額が現に当該居宅介護に要した費用(法第29条第1項に規定する特定費用を除く。)の額を超えるときは、当該居宅介護に要した費用の額)の支払を受けるものとしたものである。

③交通費の受領

同条第3項は、指定居宅介護の提供に関して、前2項の支払を受ける額のほか、利用者の選定により通常の事業の実施地域以外の地域の居宅において指定居宅介護を行う場合の交通費(移動に要する実費)の支払を利用者から受けることができることとしたものである。

④領収証の交付

同条第4項は、前3項の規定による額の支払を受けた場合には当該利用者に対して領収証を交付することとしたものである。

⑤利用者の事前の同意

同条第5項は、同条第3項の費用の額に係るサービスの提供に当たっては、あらかじめ、利用者に対し、当該サービスの内容及び費用について説明を行い、当該利用者の同意を得ることとしたものである。

準用:第3の3の(12)利用者負担額に係る管理(基準第22条)

指定居宅介護事業者は、支給決定障害者等の依頼を受けて、利用者負担額等に係る管理を行うこととされたが、その具体的な取扱いについては、別に通知するところによるものとする。

準用:第3の3の(13)介護給付費の額に係る通知等(基準第23条)
①利用者への通知

基準第23条第1項は、事業者は、市町村から法定代理受領を行う指定居宅介護に係る介護給付費の支給を受けた場合には、利用者に対し、当該利用者に係る介護給付費の額を通知することとしたものである。

②サービス提供証明書の利用者への交付

同条第2項は、基準第21条第2項の規定による額の支払を受けた場合には、提供したサービスの内容、費用の額その他利用者が市町村に対し介護給付費を請求する上で必要と認められる事項を記載したサービス提供証明書を利用者に交付しなければならないこととしたものである。

準用:第3の3の(18)支給決定障害者等に関する市町村への通知(基準第29条)

法第8条第1項の規定により、市町村は、偽りその他不正な手段によって自立支援給付費の支給を受けた者があるときは、その者から、その支給を受けた額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができることにかんがみ、指定居宅介護事業者は、その利用者が偽りその他不正な手段によって自立支援給付費の支給を受け、又は受けようとしたときは、自立支援給付費の適正化の観点から、遅滞なく意見を付して市町村に通知しなければならないこととしたものである。

準用:第3の3の(22)勤務体制の確保等(基準第33条)

利用者に対する適切な指定居宅介護の提供を確保するため、従業者の勤務体制等について規定したものであるが、次の点に留意する必要がある。

  1. 基準第33条第1項は、指定居宅介護事業所ごとに、原則として月ごとの勤務表を作成し、従業者については、日々の勤務時間、職務の内容、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係、サービス提供責任者である旨等を明確にすることを定めたものであること。
  2. 同条第2項は、当該指定居宅介護事業所の従業者によって指定居宅介護を提供するべきことを規定したものであるが、指定居宅介護事業所の従業者とは、雇用契約その他の契約により、当該事業所の管理者の指揮命令下にある従業者を指すものであること。
  3. 同条第3項は、当該指定居宅介護事業所の従業者の質の向上を図るため、研修機関が実施する研修や当該指定居宅介護事業所内の研修への参加の機会を計画的に確保することとしたものであること。
  4. 同条第4項は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和 47 年法律第 113 号)第 11 条第1項及び労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和 41 年法律第 132 号)第 30 条の2第1項の規定に基づき、指定居宅介護事業者には、職場におけるセクシュアルハラスメントやパワーハラスメント(以下「職場におけるハラスメント」という。)の防止のための雇用管理上の措置を講じることが義務づけられていることを踏まえ、規定したものである。

    指定居宅介護事業者が講ずべき措置の具体的内容及び指定居宅介護事業者が講じることが望ましい取組については、次のとおりとする。なお、セクシュアルハラスメントについては、上司や同僚に限らず、利用者やその家族等から受けるものも含まれることに留意すること。
準用:第3の3の(23)業務継続計画の策定等(基準第33条の2)
  • 基準第 33 条の2は、指定居宅介護事業者は、感染症や災害が発生した場合にあっても、利用者が継続して指定居宅介護の提供を受けられるよう、指定居宅介護の提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(以下「業務継続計画」という。)を策定するとともに、当該業務継続計画に従い、従業者に対して、必要な研修及び訓練(シミュレーション)を実施しなければならないこととしたものである。なお、業務継続計画の策定、研修及び訓練の実施については、基準第 33 条の2に基づき指定居宅介護事業者に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。また、感染症や災害が発生した場合には、従業者が連携して取り組むことが求められることから、研修及び訓練の実施にあたっては、全ての従業者が参加できるようにすることが望ましい。
  • 業務継続計画には、以下の項目等を記載すること。なお、各項目の記載内容については、「障害福祉サービス事業所等における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン」及び「障害福祉サービス事業所等における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」を参照されたい。また、想定される災害等は地域によって異なるものであることから、項目については実態に応じて設定すること。なお、感染症及び災害の業務継続計画を一体的に策定することを妨げるものではない。
    • ア 感染症に係る業務継続計画
      • a 平時からの備え(体制構築・整備、感染症防止に向けた取組の実施、備蓄品の確保等)
      • b 初動対応
      • c 感染拡大防止体制の確立(保健所との連携、濃厚接触者への対応、関係者との情報共有等)
    • イ 災害に係る業務継続計画
      • a 平常時の対応(建物・設備の安全対策、電気・水道等のライフラインが停止した場合の対策、必要品の備蓄等)
      • b 緊急時の対応(業務継続計画発動基準、対応体制等)
      • c 他施設及び地域との連携
  • 従業者の内容は、感染症及び災害に係る業務継続計画の具体的内容を職員間に共有するとともに、平常時の対応の必要性や、緊急時の対応にかかる理解の励行を行うものとする。

    従業者教育を組織的に浸透させていくために、定期的(年1回以上)な教育を開催するととも、新規採用時には別に研修を実施することが望ましい。

    また、研修の実施内容についても記録すること。

    なお、感染症の業務継続計画に係る研修については、感染症の予防及びまん延の防止のための研修と一体的に実施することも差し支えない。
  • 訓練(シミュレーション)においては、感染症や災害が発生した場合において迅速に行動できるよう、業務継続計画に基づき、指定居宅介護事業所内の役割分担の確認、感染症や災害が発生した場合に実践する支援の演習等を定期的(年1回以上)に実施するものとする。

    なお、感染症の業務継続計画に係る訓練については、感染症の予防及びまん延の防止のための訓練と一体的に実施することも差し支えない。

    訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
準用:第3の3の(24)衛生管理等(基準第34条)
  • 基準第 34 条第1項及び第2項は、指定居宅介護事業者は、従業者の清潔の保持及び健康状態の管理並びに指定居宅介護事業所の設備及び備品等の衛生的な管理に努めるべきことを規定したものである。

    特に、指定居宅介護事業者は、従業者が感染源となることを予防し、また従業者を感染の危険から守るため、手指を洗浄するための設備や使い捨ての手袋等感染を予防するための備品等を備えるなど対策を講じる必要がある。
  • 同条第3項に規定する感染症が発生し、又はまん延しないように講ずべき措置については、具体的には次のアからウまでの取扱いとすること。

    各事項について、同項に基づき指定居宅介護事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
    • ア 感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会
      当該指定居宅介護事業所における感染症の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会(以下「感染対策委員会」という。)であり、感染対策の知識を有する者を含む、幅広い職種により構成することが望ましく、特に、感染症対策の知識を有する者については外部の者も含め積極的に参画を得ることが望ましい。

      構成メンバーの責任及び役割分担を明確にするとともに、専任の感染対策を担当する者(以下「感染対策担当者」という。)を決めておくことが必要である。感染対策委員会は、利用者の状況など指定居宅介護事業所の状況に応じ、おおむね6月に1回以上、定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要がある。感染対策委員会は、テレビ電話装置等(リアルタイムでの画像を介したコミュニケーションが可能な機器をいう。以下同じ。)を活用して行うことができるものとする。

      ただし、障害のある者が参加する場合には、その障害の特性に応じた適切な配慮を行うこと。

      この際、厚生労働省「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」(外部リンク)等を遵守すること。

      なお、感染対策委員会は、他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。

      また、指定居宅介護事業所に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
    • イ 感染症の予防及びまん延の防止のための指針
      当該指定居宅介護事業所における「感染症の予防及びまん延の防止のための指針」には、平常時の対策及び発生時の対応を規定する。

      平常時の対策としては、指定居宅介護事業所内の衛生管理(環境の整備等)、支援にかかる感染対策(手洗い、標準的な予防策)等、発生時の対応としては、発生状況の把握、感染拡大の防止、医療機関や保健所、市町村における事業所関係課等の関係機関との連携、行政等への報告等が想定される。

      また、発生時における指定居宅介護事業所内の連絡体制や上記の関係機関への連絡体制を整備し、明記しておくことも必要である。なお、それぞれの項目の記載内容の例については、「障害福祉サービス施設・事業所職員のための感染対策マニュアル」(外部リンク)も踏まえて検討すること。
    • ウ 感染症の予防及びまん延の防止のための研修及び訓練
      従業者に対する「感染症の予防及びまん延の防止のための研修」の内容は、感染対策の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該指定居宅介護事業所における指針に基づいた衛生管理の徹底や衛生的な支援の励行を行うものとする。

      職員教育を組織的に浸透させていくためには、当該指定居宅介護事業所が定期的な教育(年1回以上)を開催するとともに、新規採用時には感染対策研修を実施することが望ましい。また、研修の実施内容についても記録することが必要である。

      なお、研修の実施は、厚生労働省「障害福祉サービス施設・事業所職員のための感染対策マニュアル」(外部リンク)等を活用するなど、指定居宅介護事業所内で行うものでも差し支えなく、当該指定居宅介護事業所の実態に応じ行うこと。

      また、平時から、実際に感染症が発生した場合を想定し、発生時の対応について、訓練(シミュレーション)を定期的(年1回以上)に行うことが必要である。

      訓練においては、感染症発生時において迅速に行動できるよう、発生時の対応を定めた指針及び研修内容に基づき、指定居宅介護事業所内の役割分担の確認や、感染対策をした上での支援の演習などを実施するものとする。

      訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
準用:第3の3の(26)身体拘束等の禁止(基準第35条の2)
  • 基準第35条の2第1項及び第2項は、利用者又は他の利用者の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。

    なお、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性、一時性の三つの要件全てを満たし、かつ、組織としてそれらの要件の確認等の手続きを行った旨を記録しなければならないこと。
  • 同条第3項第1号の「身体拘束等の適正化のための対策を検討する委員会」(以下「身体拘束適正化検討委員会」という。)は、事業所に従事する幅広い職種により構成する。構成員の責務及び役割分担を明確にするとともに、専任の身体拘束等の適正化対応策を担当する者を決めておくことが必要である。

    身体拘束適正化検討委員会には、第三者や専門家の活用に努めることとし、その方策として、医師(精神科専門医等)、看護職員等の活用が考えられる。

    また、事業所単位でなく、法人単位での委員会設置も可能であるため、事業所の規模に応じた対応を検討すること。

    なお、身体拘束適正化検討委員会は、少なくとも1年に1回は開催することが必要であるが、虐待防止委員会と関係する職種等が相互に関係が深いと認めることも可能であることから、虐待防止委員会と一体的に設置・運営すること(虐待防止委員会において、身体拘束等の適正化について検討する場合も含む。)も差し支えない。

    指定居宅介護事業所が、報告、改善のための方策を定め、周知徹底する目的は、身体拘束等の適正化について、事業所全体で情報共有し、不適切な身体拘束等の再発防止や身体拘束等を行わない支援方法の検討につなげるためのものであり、決して従業者の懲罰を目的としたものではないことに留意することが必要である。

    身体拘束適正化検討委員会における具体的な対応は、次のようなことを想定している。なお、身体拘束適正化検討委員会における対応状況については、適切に記録の上、5年間保存すること。
    • ア 身体拘束等について報告するための様式を整備すること。
    • イ 従業者は、身体拘束等の発生ごとにその状況、背景等を記録するとともに、アの様式に従い、身体拘束等について報告すること。
    • ウ 身体拘束適正化検討委員会において、イにより報告された事例を集計し、分析すること。なお、イにより報告された事例がない場合にも、身体拘束等の未然防止の観点から、利用者に対する支援の状況等を確認することが必要である。
    • エ 事例の分析に当たっては、身体拘束等の発生時の状況等を分析し、身体拘束等の発生原因、結果等をとりまとめ、当該事例の適正性と廃止へ向けた方策を検討すること。
    • オ 報告された事例及び分析結果を従業者に周知徹底すること。
    • カ 廃止へ向けた方策を講じた後に、その効果について検証すること。
  • 同条同項第2号の指定居宅介護事業所が整備する「身体拘束等の適正化のための指針」には、次のような項目を盛り込むこととする。
    • ア 事業所における身体拘束等の適正化に関する基本的な考え方
    • イ 身体拘束適正化検討委員会その他事業所内の組織に関する事項
    • ウ 身体拘束等の適正化のための職員研修に関する基本方針
    • エ 事業所内で発生した身体拘束等の報告方法等の方策に関する基本方針
    • オ 身体拘束等発生時の対応に関する基本方針
    • カ 利用者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
    • キ その他身体拘束等の適正化の推進のために必要な基本方針
  • 同条同項第3号の従業者に対する身体拘束等の適正化のための研修の実施に当たっては、身体拘束等の適正化の基礎的内容等適切な知識を普及・啓発するとともに、当該指定居宅介護事業所における指針に基づき、適正化の徹底を図るものとする。

    職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該指定居宅介護事業所が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な研修を実施(年一回以上)するとともに、新規採用時には必ず身体拘束等の適正化の研修を実施することが重要である。

    また、研修の実施内容について記録することが必要である。なお、研修の実施に当たっては、事業所内で行う職員研修で差し支えなく、他の研修と一体的に実施する場合や他の研修プログラムにおいて身体拘束等の適正化について取り扱う場合、例えば、虐待防止に関する研修において身体拘束等の適正化について取り扱う場合は、身体拘束等の適正化のための研修を実施しているものとみなして差し支えない。
準用:第3の3の(27)秘密保持等(基準第36条)
  • 基準第36条第1項は、事業所の従業者及び管理者に、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密の保持を義務付けたものである。
  • 同条第2項は、事業者に対して、過去に当該事業所の従業者及び管理者であった者が、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう必要な措置を取ることを義務付けたものであり、具体的には、事業者は、当該事業所の従業者等が、従業者等でなくなった後においてもこれらの秘密を保持すべき旨を、従業者との雇用時等に取り決めるなどの措置を講ずべきこととするものである。
  • 同条第3項は、従業者が利用者の有する問題点や解決すべき課題等の個人情報を、他の指定障害福祉サービス事業者と共有するためには、事業者等は、あらかじめ文書により利用者又はその家族から同意を得る必要があることを規定したものであるが、この同意は、サービス提供開始時に利用者及びその家族から包括的な同意を得ておくことで足りるものである。
準用:第3の3の(28)利益供与等の禁止(基準第38条)
  • 基準第 38 条第1項は、一般相談支援事業者若しくは特定相談支援事業者又は他の障害福祉サービス事業者等による障害福祉サービス事業者等の紹介が公正中立に行われるよう、指定居宅介護事業者は、一般相談支援事業者若しくは特定相談支援事業者又は他の障害福祉サービス事業者等に対し、利用者に対して当該指定居宅介護事業者を紹介することの対償として金品その他の財産上の利益を供与してはならない旨を規定したものである。
  • 同条第2項は、利用者による一般相談支援事業者若しくは特定相談支援事業者又は他の障害福祉サービス事業者等の選択が公正中立に行われるよう、指定居宅介護事業者は、一般相談支援事業者若しくは特定相談支援事業者又は他の障害福祉サービス事業者等から、当該事業所を利用する利用者やサービス提供が終了した利用者等を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を収受してはならない旨を規定したものである。
準用:第3の3の(29)苦情解決(基準第39条)
  1. 基準第39条第1項にいう「必要な措置」とは、具体的には、相談窓口苦情解決の体制及び手順等当該事業所における苦情を解決するための措置を講ずることをいうものである。当該措置の概要については、利用申込者にサービスの内容を説明する文書に記載し、事業所に掲示することが望ましい。
  2. 同条第2項は、苦情に対し事業所が組織として迅速かつ適切に対応するため、当該苦情(指定居宅介護事業所が提供したサービスとは関係のないものを除く。)の受付日、内容等を記録することを義務付けたものである。

    また、事業所は、苦情がサービスの質の向上を図る上での重要な情報であるとの認識に立ち、苦情の内容を踏まえ、サービスの質の向上に向けた取組を自ら行うべきである。
  3. 同条第3項は、住民に最も身近な行政庁である市町村が、サービスに関する苦情に対応する必要が生ずることから、市町村が、指定居宅介護事業者に対する苦情に関する調査や指導、助言を行えることを運営基準上、明確にしたものである。
  4. 同条第7項は、社会福祉法上、都道府県社会福祉協議会の運営適正化委員会が福祉サービスに関する苦情の解決について相談等を行うこととされたことを受けて、運営適正化委員会が行う同法第85条に規定する調査又はあっせんにできるだけ協力することとしたものである。
準用:第3の3の(30)事故発生時の対応(基準第40条)

利用者が安心してサービスの提供を受けられるよう、事業者は、利用者に対する指定居宅介護の提供により事故が発生した場合は、都道府県、市町村及び当該利用者の家族等に対して連絡を行うとともに必要な措置を講じ、利用者に対するサービスの提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならないこととしたものである。

このほか、次の点に留意するものとする。

  1. 利用者に対する指定居宅介護の提供により事故が発生した場合の対応方法については、あらかじめ指定居宅介護事業者が定めておくことが望ましいこと。

    また、事業所に自動体外式除細動器(AED)を設置することや救命講習等を受講することが望ましいこと。

    なお、事業所の近隣にAEDが設置されており、緊急時に使用できるよう、地域においてその体制や連携を構築することでも差し支えない。
  2. 事業者は、賠償すべき事態において速やかに賠償を行うため、損害賠償保険に加入しておくことが望ましいこと。
  3. 事業者は、事故が生じた際にはその原因を解明し、再発生を防ぐための対策を講じること。なお、「福祉サービスにおける危機管理(リスクマネジメント)に関する取り組み指針」(平成14年3月28日福祉サービスにおける危機管理に関する検討会)(外部リンク)が示されているので、参考にされたい。
準用:第3の3の(31) 虐待の防止(基準第40条の2)
  • 基準第40条の2第1号の虐待防止委員会の役割は、以下の3つがある。
    ・ 虐待防止のための計画づくり(虐待防止の研修、労働環境・条件を確認・改善するための実施計画づくり、指針の作成)
    ・ 虐待防止のチェックとモニタリング(虐待が起こりやすい職場環境の確認等)
    ・ 虐待発生後の検証と再発防止策の検討(虐待やその疑いが生じた場合、事案検証の上、再発防止策を検討、実行)

    虐待防止委員会の設置に向けては、構成員の責務及び役割分担を明確にするとともに、専任の虐待防止担当者(必置)を決めておくことが必要であり、虐待防止委員会の構成員には、利用者やその家族、専門的な知見のある外部の第三者等も加えるよう努めるものとする。

    具体的には、次のような対応を想定している。

    なお、虐待防止委員会における対応状況については、適切に記録の上、5年間保存すること。
    • ア 虐待(不適切な対応事例も含む。)が発生した場合、当該事案について報告するための様式を整備すること。
    • イ 従業者は、虐待の発生ごとにその状況、背景等を記録するとともに、アの様式に従い、虐待について報告すること。
    • ウ 虐待防止委員会において、イにより報告された事例を集計し、分析すること。
    • エ 事例の分析に当たっては、虐待の発生時の状況等を分析し、虐待の発生原因、結果等をとりまとめ、当該事例の再発防止策を検討すること。
    • オ 労働環境・条件について確認するための様式を整備するとともに、当該様式に従い作成された内容を集計、報告し、分析すること。
    • カ 報告された事例及び分析結果を従業者に周知徹底すること。
    • キ 再発防止策を講じた後に、その効果について検証すること。
  • 指定居宅介護事業所は次のような項目を定めた「虐待防止のための指針」を作成することが望ましい。
    • ア 事業所における虐待防止に関する基本的な考え方
    • イ 虐待防止委員会その他施設内の組織に関する事項
    • ウ 虐待防止のための職員研修に関する基本方針
    • エ 施設内で発生した虐待の報告方法等の方策に関する基本方針
    • オ 虐待発生時の対応に関する基本方針
    • カ 利用者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
    • キ その他虐待防止の適正化の推進のために必要な基本方針
  • 同条第2号の従業者に対する虐待防止のための研修の実施に当たっては、虐待防止の基礎的内容等適切な知識を普及・啓発するとともに、指針を作成した事業所においては当該指針に基づき、虐待防止の徹底を図るものとする。

    職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該指定居宅介護事業所の虐待防止委員会が作成した研修プログラムを実施し、定期的な研修を実施(年1回以上)するとともに、新規採用時には必ず虐待防止の研修を実施することが重要である。

    また、研修の実施内容について記録することが必要である。

    なお、研修の実施は、施設内で行う職員研修及び協議会又は基幹相談支援センター等が実施する研修に事業所が参加した場合でも差し支えない。
  • 同条第3号の虐待防止のための担当者については、サービス提供責任者等を配置すること。なお、当該担当者及び管理者は、「地域生活支援事業の実施について」(平成 18 年8月1日障発第 0801002 号)(外部リンク)の別紙2「地域生活支援促進事業実施要綱」の別記2-4の3(3)の都道府県が行う研修に参加することが望ましい。
準用:第4の3の(7)療養介護計画の作成等(基準第58条)
①療養介護計画

基準第58条においては、サービス管理責任者が作成すべき療養介護計画について規定している。

療養介護計画は、利用者及びその家族の生活に対する意向、総合的な支援の方針、生活全般の質を向上させるための課題、指定障害福祉サービスの目標及びその達成時期、指定療養介護を提供する上での留意事項等を記載した書面である。

また、療養介護計画は、利用者の置かれている環境及び日常生活全般の状況等の評価を通じて利用者の希望する生活や課題等の把握を行うとともに、利用者の自己決定の尊重及び意思決定の支援に配慮しつつ、利用者が自立した日常生活を営むことができるよう支援する上での適切な支援内容の検討に基づいて立案されるものである。

アセスメントに当たっては、利用者が自ら意思を決定することに困難を抱える場合には、適切に意思決定の支援を行うため、当該利用者の意思及び選好並びに判断能力等について丁寧に把握しなければならない。

②サービス管理責任者の役割

サービス管理責任者は、当該事業所以外の保健医療サービス又はその他の福祉サービス等との連携も含めて、療養介護計画の原案を作成し、以下の手順により療養介護計画に基づく支援を実施するものである。

  • ア 個別支援会議の開催
    利用者及び当該利用者に対する指定療養介護の提供に当たる担当者を招集して行う会議を開催し、当該利用者の希望する生活及びサービスに対する意向等を改めて確認するとともに、療養介護計画の原案について意見を求めること。

    個別支援会議は、意思決定支援ガイドラインにおける意思決定支援会議と一体的に行われることが考えられるが、意思決定支援会議をより丁寧に実施するために、個別支援会議とは別に開催することも差し支えない。

    なお、個別支援会議については、原則として利用者が同席した上で行わなければならないものである。ただし、例えば当該利用者の病状により、会議への同席自体が極めて困難な場合等、やむを得ない場合については、例外的にテレビ電話装置の活用等、同席以外の方法により希望する生活及びサービスに対する意向等を改めて確認することで差し支えない。
  • イ 療養介護計画の原案の説明・同意
    当該療養介護計画の原案の内容について、利用者及びその家族に対して説明し、文書により当該利用者の同意を得ること。
  • ウ 療養介護計画の交付
    利用者及び利用者等に対して指定計画相談支援又は指定障害児相談支援を行う相談支援事業者へ当該療養介護計画を交付すること。

    また、サービス管理責任者は、サービス等利用計画を踏まえた療養介護計画の作成等を可能とするため、当該相談支援事業者が実施するサービス担当者会議に参加し、利用者に係る必要な情報を共有する等により相互連携を図ること。
  • エ モニタリング
    当該療養介護計画の実施状況の把握及び療養介護計画の見直すべきかどうかについての検討(当該検討は少なくとも3月に1回以上行われ、必要に応じて療養介護計画の変更を行う必要があること。)を行うこと。

    なお、モニタリングに際しても相談支援事業者との相互連携を図ることが求められるものであり、モニタリング結果を相互に交付すること、サービス担当者会議及び個別支援会議を合同で開催又は相互の会議に出席する等の方法により連携強化を図ること。
準用:第4の3の(9)相談及び援助(基準第60条)

基準第60条は、常に利用者の心身の状況、その置かれている環境等の的確な把握に努め、常時必要な相談及び援助を行い得る体制をとることにより、積極的にサービスを利用する利用者の生活の質の向上を図ることを趣旨とするものである。

準用:第4の3の(15)管理者の責務(基準第66条)

指定療養介護事業所の管理者の責務を、法の基本理念を踏まえた利用者本位のサービス提供を行うため、利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握しながら、従業者及び業務の管理を一元的に行うとともに、当該指定療養介護事業所の従業者に基準第三章第四節(運営に関する基準)の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行うこととしたものである。

準用:第13の3の(1)サービス管理責任者の責務(基準第206条の6)

サービス管理責任者は、就労定着支援計画の作成のほか、次の業務を担うものである。

  • サービス管理責任者は、就労定着支援計画の作成のほか、次の業務を担うものである。
    • ア 利用申込みに際し、当該利用者に係る他の障害福祉サービス等の提供状況の把握を行うこと
    • イ 利用者の心身の状況、その置かれている環境等を十分に踏まえ、関係機関等と連携を図り、利用者が地域において自立した日常生活又は社会生活を継続して営むことができるように必要な支援を行うこと
    • ウ 他の従業者に対して、指定就労定着支援の提供に係る技術的な指導及び助言を行うこと
  • 同条第2項については、指定療養介護と同旨であるため、第4の3の(8)の②を参照されたい。
第4の3の(8)の②
  1. 基準第59 条第2項については、サービス管理責任者は、利用者に対してのみならず、従業者に対しても、利用者への意思決定支援の実施の観点から必要な助言指導を行うことが求められるものである。

    なお、意思決定支援ガイドラインにおける意思決定支援責任者の役割については、サービス管理責任者の役割と重複するものであるが、サービス管理責任者とは別に意思決定支援責任者となる者を配置した上で、当該者と業務を分担する等の柔軟な運用を否定するものではないことに留意すること。

    また、サービス管理責任者については、利用者の意思決定支援を適切に行うため、都道府県が実施するサービス管理責任者を対象にした専門コース別研修の意思決定支援コースを受講することが望ましい。
準用:第13の3の(5)運営規程(基準第206条の10)

指定就労定着支援事業所の適正な運営及び利用者に対する適切な指定就労定着支援の提供を確保するため、基準第 206 条の 10 第1号から第8号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定就労定着支援事業所ごとに義務付けたものであるが、特に次の点に留意するも
のとする。

  • 通常の事業の実施地域(第5号)
    通常の事業の実施地域は、客観的にその区域が特定されるものとすること。なお、通常の事業の実施地域は、利用申込みに係る調整等の観点からの目安であり、当該地域を越えてサービスが行われることを妨げるものではないものであること。
  • 事業の主たる対象とする障害の種類を定めた場合には当該障害の種類(第6号)指定就労定着支援事業者は、障害の種類にかかわらず利用者を受け入れることを基本とするが、サービスの専門性を確保するためやむを得ないと認められる場合においては、事業の主たる対象とする障害の種類を特定して事業を実施することも可能であること。
  • 虐待の防止のための措置に関する事項(第7号)
    虐待の防止のための措置については、「障害者虐待の防止、障害者の養護者に対する支援等に関する法律」(平成 23 年法律第 79 号)において、障害者虐待を未然に防止するための対策及び虐待が発生した場合の対応について規定しているところであるが、より実効性を担保する観点から、指定就労定着支援事業者は、利用者に対する虐待を早期に発見して迅速かつ適切な対応が図られるための必要な措置について、あらかじめ運営規程に定めることとしたものである。

    具体的には、
    • ア 虐待の防止に関する責任者の選定
    • イ 成年後見制度の利用支援
    • ウ 苦情解決体制の整備
    • エ 従業者に対する虐待の防止を啓発・普及するための研修の実施(研修方法や研修計画など)等を指すものであること。
  • その他運営に関する重要事項(第8号)
    指定就労定着支援事業所が市町村により地域生活支援拠点等として位置付けられている場合は、その旨を明記すること。

    加えて、要支援者の支援終了後の適切な引き継ぎのための体制の構築に関し、要支援者情報の共有に係る責任者の専任や指針の策定についても明記すること。
準用:第13の3の(6)記録の整備(基準第206条の11)

指定就労定着支援事業者は、従業者、設備、備品及び会計等に関する諸記録を文書により整備しておく必要があること。

なお、基準第 206 条の 11 第2項により、指定就労定着支援事業者は、指定就労定着支援の提供に関する諸記録のうち、少なくとも次に掲げる記録については、当該就労定着支援を提供した日から、少なくとも5年以上保存しておかなければならないとしたものである。

また、就労定着支援事業者は、利用者の他の支援機関の利用状況を把握した場合や、他の支援機関と情報共有した場合は、これらの利用状況や連携状況をケース記録等に整備することが必要である。

  • 指定就労定着支援に関する記録
    • ア 基準第206 条の12 において準用する基準第19 条第1項に規定する提供した指定就労定着支援に係る必要な記録事項(支援終了後の雇用先企業及び関係機関等との要支援者情報の共有の状況に係る記録を含む。)
    • イ 基準第 206 条の 12 において読み替えて準用する基準第 58 条第1項に規定する就労定着支援計画
    • ウ 基準第 206 条の 12 において準用する基準第 39 条第2項に規定する苦情の内容等の記録
    • エ 基準第 76 条において準用する基準第 40 条第2項に規定する事故の状況及び事故に際して採った処置についての記録
  • 基準第 206 条の 12 において準用する基準第 29 条に規定する市町村への通知に係る記録

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