緊急時対応マニュアル
緊急時対応の必要性
緊急時対応は、事故や急病の発生時に重要な役割を果たします。障害福祉事業所では、発達に特性のある利用者を対象とするため、予測が困難な状況がしばしば発生します。このような事態に備えて、事前にしっかりとした緊急時対応マニュアルを作成し、全従業者にその内容を周知することが不可欠です。
指定基準にも、利用者の病状急変時には速やかな医療機関への連絡を義務付けています。この義務を果たすためには、従業者がマニュアルに基づいて迅速に行動できる体制を整えることが必要です。
指定基準と解釈通知
指定基準:緊急時等の対応(第28条)
従業者は、現に指定居宅介護の提供を行っているときに利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、速やかに医療機関への連絡を行う等の必要な措置を講じなければならない。
解釈通知:(17)緊急時の対応(基準第28条)
従業者が現に指定居宅介護の提供を行っているときに、利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、運営規程に定められた緊急時の対応方法に基づき、速やかに医療機関への連絡を行う等の必要な措置を講じなければならないこととしたものである。
緊急時対応マニュアル作成のポイント
緊急時対応マニュアルは、利用者の安全を最優先に、施設や事業所が緊急事態にどのように対応するかを具体的に示した文書です。このマニュアルを作成する際には、以下のポイントを押さえることが重要です。
基本的な考え方と対応方法
緊急時対応マニュアルの最も基本的な考え方は、利用者が危険な状況に陥った場合に、迅速かつ冷静に対応できる体制を整えることです。マニュアルには、利用者の病状急変やケガに対して、どのように判断し、どのような手順で対応するかを詳細に記載する必要があります。また、事業所内での連携を強化し、全員が一丸となって対応できるようにすることも重要です。
重要な情報収集と整理方法
緊急時に迅速な対応をするためには、日頃から利用者に関する情報を正確に収集・整理しておくことが必要です。利用者の過去の疾患や現在治療中の病歴、服薬情報、アレルギーなどの情報は、急変時に役立ちます。また、サービス提供時に行うバイタルチェックやモニタリングで、状態の変化を早期に察知できる体制を整えることが求められます。
緊急連絡先と医療情報の整備
緊急時対応マニュアルには、緊急連絡先一覧を作成することも重要です。これには、利用者の家族、主治医、その他の緊急連絡先を記載し、速やかに連絡できるようにします。さらに、利用者の医療情報(過去の疾患、服用薬、アレルギーなど)を記録し、必要に応じて医療機関に伝えることができるようにしておきます。
具体的な緊急時対応手順
緊急時には、事前に決められた手順に従うことで、迅速かつ適切な対応が可能になります。以下に、障害福祉事業所で実施すべき基本的な緊急時対応手順を示します。
医療機関への連絡と119番通報
利用者の状態が急変した場合、まずはその症状を的確に把握し、主治医や医療機関に連絡を取ります。同時に、緊急性が高いと判断される場合は、119番通報を行い、救急車を手配します。通報時には、利用者の現在の状態(意識、呼吸、出血の有無など)を簡潔かつ正確に伝えることが重要です。また、救急車が到着しやすいよう、事業所の案内方法を事前に確認し、誘導役を決めておくとスムーズな対応が可能です。
応急処置と救急車の誘導
医療行為はできませんが、応急処置として以下の対応を行うことができます:
- 気道確保や異物除去
- 心肺蘇生(人工呼吸、心臓マッサージ)
- 出血の止血
- AED(自動体外式除細動器)の使用
救急車の到着時には、指定された職員が道路に出て誘導し、到着後は利用者の状態を救急隊員に詳しく説明します。また、必要に応じて担当者が救急車に同乗し、搬送先でも適切な対応が取れるよう支援します。
状況説明と他の利用者への対応
緊急時には、他の利用者やその保護者への説明も欠かせません。状況を適切に説明し、利用者が動揺しないよう配慮することが重要です。同時に、事業所全体の安全確保に努め、利用者や職員全員が冷静に行動できる環境を整えます。
災害時の対応:火災、地震、台風
火災や地震などの災害時には、避難誘導と安全確保が最優先です。例えば、火災の場合、リーダーは119番通報を行い、他の職員は利用者を安全な場所に避難させます。また、事業所の消火器や避難経路を事前に確認し、全職員に共有しておくことで、緊急時の混乱を最小限に抑えることができます。


結果の報告と記録の重要性
緊急事態が発生した場合、その対応結果を記録し、関係者に報告することが重要です。特に事故の場合、記録に基づいて原因分析を行い、再発防止策を検討します。事業所全体で問題点を共有し、次回に活かすことが安全性の向上に繋がります。
\事業者必須!/
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まとめ:利用者の安全を守るための「備え」
障害福祉事業における緊急時対応マニュアルは、利用者の生命と安全を守るための重要なツールです。緊急時には迅速かつ冷静な対応が求められるため、事前にマニュアルを作成し、職員全員がその内容を理解しておくことが不可欠です。
本記事では、緊急時対応の重要性から、具体的な作成手順、実際の対応事例までを解説しました。これらを参考に、事業所ごとにカスタマイズしたマニュアルを整備し、定期的に見直しや訓練を行うことで、より安全なサービス提供を目指しましょう。
利用者の命を預かる責任ある立場として、日々の準備と訓練を怠らず、万全の対応を心掛けることが、事業所の信頼性と安心感に繋がります。