介護職の中には、一定の条件のもとで一部の医療行為を行うことができる「認定特定行為業務従事者」という資格があります。この資格を取得することで、介護施設における医療行為の一部を担うことが可能になります。今回は、認定特定行為業務従事者について、その概要や資格取得の要件を詳しく解説します。
認定特定行為業務従事者の概要
認定特定行為業務従事者は、介護福祉士やその他の介護職が、医師の指示のもとで喀痰吸引や経管栄養などの医療行為を行うことができる資格です。通常、これらの医療行為は看護師が行うものですが、認定特定行為業務従事者は特定の条件下でこれを実施できるため、介護現場での役割が大きく広がります。
例えば、嚥下機能が低下して自力で喀痰を排出できない利用者に対し、認定特定行為業務従事者は喀痰の吸引を行うことができます。
これにより、誤嚥や気管閉塞などのリスクを軽減することが可能です。また、経管栄養を必要とする利用者には、胃や小腸に直接栄養を届ける行為も行えます。これらの医療行為を行えることで、介護施設内での利用者に対するサービスの幅が広がり、より質の高いケアを提供することができます。
これから介護福祉士になる場合
養成施設での学習: 介護福祉士を目指すための養成施設に入学し、介護の基本知識とともに、認定特定行為業務従事者に必要な知識を学びます。
国家試験の合格: 養成課程を修了後、介護福祉士の国家試験を受験し、合格することが必要です。
実地研修の受講: 就業後、実地研修を受講し、修了証明書を取得します。この研修では、実際に医療行為を行うための技術や知識を習得します。
資格の登録変更: 実地研修を修了した後、介護福祉士登録証の変更を行い、認定特定行為業務従事者としての活動が可能になります。
【参考】介護福祉士の資格取得ルート
すでに介護業務に携わっている場合
研修の受講: 介護職としてすでに就業している方は、各都道府県が認める登録研修機関で「喀痰吸引等研修」を受講します。これにより、実際に医療行為を行うためのスキルを学びます。
認定証の申請: 研修を修了した後、都道府県に修了証明書を提出し、認定特定行為業務従事者認定証を申請します。
認定証の取得: 認定証が交付された後、医師の指示のもと、実際に喀痰吸引や経管栄養などの医療行為を行うことができるようになります。