障害福祉サービス「療養介護」の報酬の条件や留意すべきポイントとは? 2-(5)

参考:障発第1031001号(令和6年3月29日改正)

目次

2.介護給付費

(5)療養介護サービス費

①療養介護の対象者について

療養介護については、次のからまでのいずれかに該当する者が対象となる ものであること。

  • 区分 6 に該当し、気管切開に伴う人工呼吸器による呼吸管理を行っている者
  • 区分 5 以上に該当し、次のイからニまでのいずれかに該当する者であること。
    • イ 重症心身障害者又は進行性筋萎縮症患者
    • ロ 医療的ケアスコア(スコア表の基本スコア及び見守りスコアを合算して算出する点数をいう。以下同じ。) が 16 点以上の者
    • ハ 行動関連項目合計点数が 10 点以上かつ 医療的ケアスコアが 8 点以上の者
    • ニ 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準の規定に基づき厚生労働大臣が定める基準並びにこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める基準(平成 18 年厚生労働省告示第 236 号。以下「第 236 号告示」という。)に規定する基準に適合すると認められた遷延性意識障害者であって、医療的ケアスコアが 8点以上の者
  • 及びに掲げる者に準ずる者として、機能訓練、療養上の管理、看護及び医 学的管理の下における介護その他必要な医療並びに日常生活上の世話を要する 障害者であって、常時介護を要するものであると市町村が認めた者
  • 旧重症心身障害児施設(障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえ て障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援する ための関係法律の整備に関する法律(平成 22 年法律第 71 号)第 5 条による改正 前の児童福祉法(以下「旧児童福祉法」という。)第 43 条の 4 に規定する重症心 身障害児施設をいう。以下同じ。)に入所した者又は指定医療機関(旧児童福祉 法第 7 条第 6 項に規定する指定医療機関をいう。以下同じ。)に入院した者(以 下「旧重症心身障害児施設等入所者」と総称する。)であって、平成 24 年 4 月 1 日以降指定療養介護事業所を利用する㈠から㈢以外の者
②療養介護サービス費の区分について

療養介護サービス費の区分については、指定療養介護事業所ごと(サービス提供単位を複数設置する場合にあっては当該サービス提供単位ごと)の重度障害者割合及び厚生労働大臣が定める施設基準
並びにこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める施設基準(平成18年厚生労働省告示第551号。以下「第551号告示」という。)に規定する人員基準に応じ算定する(療養介護サービス費(Ⅴ)を除く。)こととされており、具体的には、次のとおりであること。

(一) 療養介護サービス費(Ⅰ)

ア 区分6に該当する利用者が利用者の数の50%以上であること。

イ 常勤換算方法により、従業者の員数が利用者の数を2で除して得た数以上であること。

ウ ①の(一)又は(二)に該当する者について算定すること。

(二) 療養介護サービス費(Ⅱ)

常勤換算方法により、従業者の員数が利用者の数を3で除して得た数以上であること。

(三) 療養介護サービス費(Ⅲ)

常勤換算方法により、従業者の員数が利用者の数を4で除して得た数以上であること。

(四) 療養介護サービス費(Ⅳ)

従業者の員数が利用者の数を4で除して得た数を満たすことができない特定旧法指定施設等について算定することとし、常勤換算方法により、従業者の員数が利用者を6で除して得た数以上であること。

(五) 療養介護サービス費(Ⅴ)

ア ①に該当しない特定旧法受給者等について算定すること。

イ 常勤換算方法により、従業者の員数が①に該当しない特定旧法受給者等を6で除して得た数以上であること。

(六) 経過的療養介護サービス費(Ⅰ)

ア ①に該当する者について算定すること。

イ 従業者の員数が利用者の数を2で除して得た数以上である指定療養介護事業所(指定障害福祉サービス基準第50条第7項又は第8項の規定による指定療養介護事業所に限る。)について算定すること。

③地域移行加算の取扱い
  •  報酬告示第 5 の 2 に規定する地域移行加算の注中、退院前の相談援助については、入院期間が 1 月を超えると見込まれる利用者の居宅生活(福祉ホーム又は 共同生活援助を行う共同生活住居における生活を含む。以下同じ。)に先立って、 退院後の生活に関する相談援助を行い、かつ、利用者が退院後生活する居宅を 訪問して退院後の居宅サービス等について相談援助及び連絡調整を行った場合に、入院中 2 回に限り加算を算定するものである。

     また、利用者の退院後 30 日以内に当該利用者の居宅を訪問し、当該利用者及 びその家族等に対して相談援助を行った場合に、退院後 1 回を限度として加算を算定するものである。
  •  地域移行加算は退院日に算定し、退院後の訪問相談については訪問日に算定するものであること。
  •  地域移行加算は、次のアからウまでのいずれかに該当する場合には、算定できないものであること。
    • ア 退院して病院又は診療所へ入院する場合
    • イ 退院して他の社会福祉施設等へ入所する場合
    • ウ 死亡退院の場合
  •  地域移行加算の対象となる相談援助を行った場合は、相談援助を行った日及び相談援助の内容の要点に関する記録を行うこと。
  •  地域移行加算に係る相談援助の内容は、次のようなものであること。
    • ア 退院後の障害福祉サービスの利用等に関する相談援助
    • イ 食事、入浴、健康管理等居宅における生活に関する相談援助
    • ウ 退院する者の運動機能及び日常生活動作能力の維持及び向上を目的として行う各種訓練等に関する相談援助
    • エ 住宅改修に関する相談援助
    • オ 退院する者の介護等に関する相談援助
  •  退院前の相談援助に係る加算を算定していない場合であっても、退院後の訪問による相談援助を行えば、当該支援について加算を算定できるものであること。
④福祉専門職員配置等加算の取扱い

報酬告示第5の3の福祉専門職員配置等加算については、以下のとおり取り扱うこととする。

(一)福祉専門職員配置等加算(Ⅰ)

指定基準の規定により配置することとされている直接処遇職員として常勤で 配置されている従業者の総数のうち社会福祉士介護福祉士精神保健福祉士 又は公認心理師である従業者の割合100 分の 35 以上であること。 

 なお、「常勤で配置されている従業者」とは、正規又は非正規雇用に係わらず、 各事業所において定められる常勤の従業者が勤務すべき時間数に達している従業者をいう。(㈡及び㈢において同じ。)

(二)福祉専門職員配置等加算(Ⅱ)

 指定基準の規定により配置することとされている直接処遇職員として常勤で 配置されている従業者の総数のうち、社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士 又は公認心理師である従業者の割合が 100 分の 25 以上であること。

(三)福祉専門職員配置等加算(Ⅲ)

 次のいずれかに該当する場合であること。

  • ア 直接処遇職員として配置されている従業者の総数(常勤換算方法により算出された従業者数をいう。)のうち、常勤で配置されている従業者の割合100分の75以上であること。
  • イ 直接処遇職員として常勤で配置されている従業者のうち、3年以上従事している従業者の割合が100分の30以上であること。

 なお、イ中「3 年以上従事」とは、加算の申請を行う前月の末日時点における勤続年数とし、勤続年数の算定に当たっては、当該事業所における勤続年数 に加え同一法人の経営する他の障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に定める障害福祉サービス事業を行う事業所(旧法施設を 含む。)、精神障害者生活訓練施設、精神障害者授産施設、精神障害者福祉ホ ーム、小規模通所授産施設、地域生活支援事業の地域活動支援センター等、障 害者就業・生活支援センター、児童福祉法に規定する障害児通所支援事業を行 う事業所、障害児入所施設、病院、社会福祉施設等においてサービスを利用者 に直接提供する職員として勤務した年数を含めることができるものとする。 

 また、当該勤続年数の算定については、非常勤で勤務していた期間も含めることとする。

(四)多機能型事業所等における本加算の取扱いについて

多機能型事業所又は障害者支援施設については、当該事業所における全てのサービス種別の直接処遇職員を合わせて要件を計算し、当該要件を満たす場合 には全ての利用者に対して加算を算定することとする。 

 なお、この場合において、当該多機能型事業所等の中で複数の直接処遇職員として、常勤の時間を勤務している者(例:生活介護の生活支援員を 0.5 人分、就 労移行支援の職業指導員を 0.5 人分勤務している者)については、「常勤で配置 されている従業者」に含めることとする。 

⑤人員配置体制加算の取扱い

 報酬告示第5の4の人員配置体制加算(Ⅰ)又は(Ⅱ)については、次のア又はイごとに以下の条件をそれぞれ満たした場合に、算定できることとする。

ア 人員配置体制加算(Ⅰ)

旧重症心身障害児施設又は指定医療機関(以下「旧重症心身障害児施設等」という。)から転換する指定療養介護事業所の中で、経過的療養介護サービス費(Ⅰ)を算定している場合であって、常勤換算方法により、従業者の員数が利用者の数を1.7で除して得た数以上であること。

イ 人員配置体制加算(Ⅱ)

旧重症心身障害児施設等から転換する指定療養介護事業所の中で、療養介護サービス費(Ⅱ)を算定している場合であって、常勤換算方法により、従業者の員数が利用者の数を2.5で除して得た数以上であること。

 人員配置体制加算については、利用者全員につき算定することとする。

⑥障害福祉サービスの体験利用支援加算の取扱い

報酬告示第5の5の障害福祉サービスの体験利用支援加算については、指定療養介護事業所の利用者が、地域生活への移行に向けて指定地域移行支援事業者が行う障害福祉サービスの体験的な利用支援を利用する場合であって、指定療養介護事業所の従業員が以下のいずれかの支援を行う場合に加算するものとする(当該支援を行った場合には当該支援の内容を記録すること。)。

  • (一) 体験的な利用支援の利用日当該指定療養介護事業所において昼間の時間帯における介護等の支援を行った場合
  • (二) 以下に掲げる体験的な利用支援に係る指定地域移行支援事業者との連絡調整その他の相談援助を行った場合
    • ア 体験的な利用支援を行うに当たっての指定地域移行支援事業者との留意点等の情報共有その他必要な連絡調整
    • イ 体験的な利用支援を行った際の状況に係る指定地域移行支援事業者との情報共有や当該状況を踏まえた今後の支援方針の協議等
    • ウ 利用者に対する体験的な利用支援を行うに当たっての相談援助

なお、指定地域移行支援事業者が行う障害福祉サービスの体験的な利用支援の利用日については、当該加算以外の指定療養介護に係る基本報酬等は算定できないことに留意すること。

また、当該加算は、体験利用日に算定することが原則であるが、上記(二)の支援を、体験利用日以前に行った場合には、利用者が実際に体験利用した日の初日に算定して差し支えない。

⑦集中的支援加算の取扱い

報酬告示第 5 の 5 の 2 の集中的支援加算については、強度の行動障害を有する者の状態が悪化した場合に、高度な専門性を有する広域的支援人材を指定療養介護事業所に訪問させ
又はオンラインを活用して、当該者に対して集中的な支援(以下この⑦において「集中的支援」という。)を行った場合に算定するものであり、以下の通り取り扱うこととする。

なお、広域的支援人材の認定及び加算取得の手続等については、「状態の悪化した強度行動障害を有する児者への集中的支援の実施に係る事務手続等について」(令和6年3月 19 日付こ支障第75
号・障障発 0319 第1号 こども家庭庁支援局障害児支援課長・厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長通知。以下同じ。)を参照すること。

  • 本加算の算定は、加算の対象となる利用者に支援を行う時間帯に、広域的支援人材から訪問又はオンライン等を活用して助言援助等を受けた日に行われること。
  • 集中的支援は、以下に掲げる取組を行うこと。
    • 広域的支援人材が、加算の対象となる利用者及び指定療養介護事業所のアセスメントを行うこと。
    • 広域的支援人材と指定療養介護事業所の従業者が共同して、当該者の状態及び状況の改善に向けた環境調整その他の必要な支援を短期間で集中的に実施するための計画(以下⑦において「集中的支援実施計画」という。)を作成すること。

      なお、集中的支援実施計画については、概ね1月に1回以上の頻度で見直しを行うこと。当該者が複数の障害福祉サービスを併用している場合にあっては、当該療養介護事業所とも連携して集中的支援実施計画の作成や集中的支援を行うこと
    • 指定療養介護事業所の従業者が、広域的支援人材の助言援助を受けながら、集中的支援実施計画、個別支援計画等に基づき支援を実施すること
    • 指定療養介護事業所が、広域的支援人材の訪問(オンライン等の活用を含む。)を受け、当該者への支援が行われる日及び随時に、当該広域的支援人材から、当該者の状況や支援内容の確認及び助言援助を受けること
    • 当該者へ計画相談支援を行う指定計画相談支援事業所と緊密に連携すること
  • 当該者の状況及び支援内容について記録を行うこと。
  • 集中的支援を実施すること及びその内容について、利用者又はその家族説明し、同意を得ること。
  • 指定療養介護事業所は、広域的支援人材に対し、本加算を踏まえた適切な額の費用を支払うこと。
⑧ 福祉・介護職員処遇改善加算、福祉・介護職員等特定処遇改善加算及び福祉・介 護職員等ベースアップ等支援加算の取扱い

報酬告示第 5 の 6、7 及び 8 の福祉・介護職員処遇改善加算、福祉・介護職員等 特定処遇改善加算及び福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算については、2の⑴の⑳の規定を準用する。

2の(1)の⑳福祉・介護職員処遇改善加算及び福祉・介護職員処遇改善特別加算の取扱いについて

福祉・介護職員処遇改善加算、福祉・介護職員等特定処遇改善加算及び福祉・介護職員等ベースアップ等支援加算の内容については、別途通知(「福祉・介護職員処遇改善加算等に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について」(令和6年3月 26 日付け障障発 0326 第4号、こ支障第 86 号厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長、こども家庭庁支援局障害児支援課長通知))を参照すること。

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