令和6年3月29日改正
参考:障発第1206001号│厚生労働省
第4 療養介護
1 人員に関する基準
(2)看護職員(基準第50条第1項第2号)
指定療養介護事業所において置くべき看護職員(看護師、准看護師又は看護補助者をいう。)の員数については、指定療養介護の単位ごとに、常勤換算方法で、利用者の数を2で除した数以上とする。
当該看護職員の員数は、原則として、療養介護を行う病棟において、障害者入院基本料等の診療報酬を算定する上で必要とされる看護職員の員数(当該病棟において、療養介護の対象とならない入院患者がいる場合には、当該入院患者を除き必要とされる看護職員の員数以上とする。)とするが、診療報酬の算定対象となる看護職員の員数では、同号の規定を満たすことができない場合には、診療報酬の算定対象とはならない看護職員を充てることにより、当該規定を満たしていれば足りること。
(4)サービス管理責任者(基準第50条第1項第4号)
サービス管理責任者は、利用者に対する効果的かつ適切な指定療養介護を行う観点から、適切な方法により、利用者の解決すべき課題を把握した上で、療養介護計画の作成及び提供した指定療養介護の客観的な評価等を行う者であり、指定療養介護事業所ごとに、利用者の数に応じて必要数を置くこととしたものである。
(5)指定療養介護の単位(基準第50条第3項)
- ①サービス提供の単位(基準第50条第3項)
-
指定療養介護の単位とは、1日を通じて、同時に、一体的に提供される指定療養介護をいうものであり、次の要件を満たす場合に限り、複数の指定療養介護の単位を設置することができる。
- ア 指定療養介護が階を隔てるなど、同時に、2つの場所で行われ、これらのサービスの提供が一体的に行われているとはいえないこと。
- イ 指定療養介護の単位ごとの利用定員が20人以上であること。
- ウ 指定療養介護の単位ごとに必要とされる従業者が確保されていること。
- ア 指定療養介護が階を隔てるなど、同時に、2つの場所で行われ、これらのサービスの提供が一体的に行われているとはいえないこと。
- ②サービス提供単位ごとの従業者の配置(基準第50条第4項)
-
指定療養介護の単位ごとに専ら当該指定療養介護の提供に当たる者を確保するとは、指定療養介護の単位ごとに生活支援員について、当該指定療養介護の提供時間帯に当該職種の従業者が常に確保され、必要な配置を行うよう定めたものである(例えば専従する生活支援員の場合、その員数は1人となるが提供時間帯の2分の1ずつの時間専従する生活支援員の場合は、その員数としては2人が必要となる)。
- ③ 常勤の従業員の配置(基準第50条第5項)
-
同一事業所で複数の指定療養介護の単位を設置する場合には、同時に行われる単位の数の常勤の従業者(サービス管理責任者を除く。)が必要となるものである。
- ④ 従業者の員数に関する特例(基準第50 条第7項及び第8項)
-
18 歳以上の障害児入所施設入所者が、平成24 年4月1日以降も引き続き必要なサービスを受けることができるよう、療養介護の指定に当たっての特例として、指定療養介護事業者が、指定医療型障害児入所施設の指定を受け、指定療養介護と指定入所支援(児童福祉法第24条の2第1項に規定する指定入所支援をいう。)とを同一の施設において一体的に提供している場合については、児童福祉法に基づく指定医療型障害児入所施設等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第16号)第52 条に規定する人員に関する基準を満たすことをもって、療養介護の人員に関する基準を満たしているものとみなすことができるものである。
また、児童福祉法による指定発達支援医療機関についても、指定発達支援医療機関として適切な医療その他のサービスを提供するのに必要な人員を確保していることをもって、療養介護の人員に関する基準をみたしているものとみなすことができるものである。
(6)サービス管理責任者と他の職務との兼務について(基準第50条第6項)
指定療養介護事業所の従業者(医師及び看護職員を除く。)は、原則として専従でなければならず、職種間の兼務は認められるものではない。
サービス管理責任者についても、療養介護計画の作成及び提供した指定療養介護の客観的な評価等の重要な役割を担う者であるので、これらの業務の客観性を担保する観点から、原則として、サービス管理責任者と直接サービスの提供を行う生活支援員等とは異なる者でなければならない。
ただし、利用者に対するサービス提供に支障がない場合は、サービス管理責任者が指定療養介護事業所の他の職務に従事することができるものとする。この場合においては、兼務を行う他の職務に係る常勤換算上、当該サービス管理責任者の当該他の職務に係る勤務時間を算入することはできないものとする。
また、1人のサービス管理責任者は、最大利用者60人までの療養介護計画の作成等の業務を行うことができることとしていることから、この範囲で、指定療養介護事業所のサービス管理責任者が、指定共同生活介護事業所若しくは指定共同生活援助事業所に置くべきサービス管理責任者又は大規模な指定障害福祉サービス事業所等において、専従かつ常勤のサービス管理責任者1人に加えて配置すべきサービス管理責任者を兼務することは差し支えない。
(例) 利用者の数が20人の指定療養介護事業所におけるサービス管理責任者が、利用者の数が10人の指定共同生活介護事業所におけるサービス管理責任者と兼務する場合
(7)管理者(基準第51条)
- ①管理者の専従
-
指定療養介護事業所の管理者は、原則として、専ら当該指定療養介護事業所の管理業務に従事するものである。
ただし、以下の場合であって、当該指定療養介護事業所の管理業務に支障がないときは、他の職務を兼ねることができるものとする。- ア 当該指定療養介護事業所のサービス管理責任者又は従業者としての職務に従事する場合
- イ 当該指定療養介護事業所以外の他の指定障害福祉サービス事業所又は指定障害者支援施設等の管理者又はサービス管理責任者若しくは従業者としての職務に従事する場合であって、当該他の事業所又は施設等の管理者、サービス管理責任者又は従業者としての職務に従事する時間帯も、当該指定療養介護事業所の利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握し、職員及び業務の一元的な管理・指揮命令を支障なく行うことができ、また、事故発生時等の緊急時の対応について、あらかじめ対応の流れを定め、必要に応じて管理者自身が速やかに出勤できる場合
- ア 当該指定療養介護事業所のサービス管理責任者又は従業者としての職務に従事する場合
- ② 管理者の資格要件
2 設備に関する基準(基準第52条)
設備に関する基準(基準第52条)
指定療養介護事業所とは、指定療養介護を提供するための設備及び備品を備えた場所をいう。
原則として、一の建物につき、一の事業所とし、指定療養介護の単位を複数設ける場合については、指定療養介護の単位ごとに当該指定療養介護を実施するために必要な設備を備えるものであること。
3 運営に関する基準
(1)契約支給量の報告等(基準第53条)
- 指定療養介護事業者は、入院又は退院に際しては、支給決定障害者の受給者証に当該事業者及びその事業所の名称、指定療養介護の内容、当該指定療養介護事業者が当該支給決定障害者に提供する月当たりの指定療養介護の提供日数(契約支給量)、契約日等の必要な事項を記載すること。
なお、当該契約に係る指定療養介護の提供が終了した場合にはその年月日を、月途中で終了した場合には当該月で既に提供した指定療養介護の日数を記載することとしたものである。 - 基準第53条第2項は、指定療養介護事業者は、❶の規定による記載をした場合には、遅滞なく市町村に対して、当該記載事項を報告することとしたものである。
(2)サービスの提供の記録(基準第53条の2)
- 基準第53条の2第1項は、利用者及び指定療養介護事業者が、その時点での指定療養介護の利用状況等を把握できるようにするため、指定療養介護事業者は、指定療養介護を提供した際には、当該療養介護の提供日、提供したサービスの具体的内容、利用者負担額等の利用者に伝達すべき必要な事項についての記録を適切に行うことができる場合においては、これらの事項について後日一括して記録することも差し支えないこととしたものである。
- 利用者の確認
基準第53条の2第2項は、同条第1項のサービスの提供の記録について、サービスの提供に係る適切な手続を確保する観点から、利用者の確認を得なければならないこととしたものである。
(3)利用者負担額等の受領(基準第54条)
- ①利用者負担額の受領等
-
指定居宅介護の規定と同趣旨であるため、第3の3の(11)の①、④及び⑤を参照されたい。
なお、療養介護医療費についても同様である。第三の3の(11)- ①利用者負担額の受領
-
基準第21条第1項は、指定居宅介護事業者は、法定代理受領サービスとして提供される指定居宅介護についての利用者負担額として、法第29条第3項第2号に規定する政令で定める額(政令で定める額よりも、サービス提供に要した費用の1割相当額の方が低い場合は、1割相当額)の支払を受けなければならないことを規定したものである。
なお、法第 31 条の規定により、介護給付費等の額の特例の適用を受ける場合は、市町村が定める額を利用者負担額とする。 - ④領収証の交付
-
同条第4項は、前3項の規定による額の支払を受けた場合には当該利用者に対して領収証を交付することとしたものである。
- ⑤利用者の事前の同意
-
同条第5項は、同条第3項の費用の額に係るサービスの提供に当たっては、あらかじめ、利用者に対し、当該サービスの内容及び費用について説明を行い、当該利用者の同意を得ることとしたものである。
- ②法定代理受領を行わない場合
-
基準第54条第2項は、指定療養介護事業者が法第29条第5項に規定する法定代理受領を行わない指定療養介護を提供した際には、支給決定障害者から、当該指定療養介護につき、利用者負担額のほか介護給付費(療養介護医療費を含む。)の額の支払を受けるものとすることとしたものである。
- ③その他受領が可能な費用の範囲
-
同条第3項は、指定療養介護事業者は、前2項の支払を受ける額のほか、指定療養介護において提供される便宜に要する費用のうち、
- ア 日用品費
- イ 日常生活においても通常必要となるものに係る費用であって、支給決定障害者に負担させることが適当と認められるものの支払を受けることができることとし、介護給付費の対象となっているサービスと明確に区分されない曖昧な名目による費用の支払を受けることは認めないこととしたものである。
なお、イの具体的な範囲については、「障害福祉サービス等における日常生活に要する費用の取扱いについて(平成18 年12 月6日障発第1206002号当職通知)(外部リンク)によるものとする。
(4)利用者負担額等に係る管理(基準第55条)
指定療養介護事業者は、支給決定障害者が同一の月に当該指定療養介護事業者が提供する指定療養介護及び他の指定障害福祉サービス等を受けたときは、他の指定障害福祉サービス等に係る利用者負担額及び療養介護医療に係る利用者負担額を算定しなければならないこととされたが、その具体的な取扱いについては、別に通知するところによるものとする。
(6)指定療養介護の取扱方針(基準第57条)
- 基準第57条第2項については、意思決定支援ガイドラインを踏まえて、利用者が自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、意思決定支援ガイドラインに掲げる次の基本原則に十分に留意しつつ、利用者の意思決定の支援に配慮すること。
- ア 本人への支援は、自己決定の尊重に基づき行う。
- イ 職員等の価値観においては不合理と思われる決定でも、他者への権利を侵害しないのであれば、その選択を尊重するように努める姿勢が求められる。
- ウ 本人の自己決定や意思確認がどうしても困難な場合は、本人をよく知る関係者が集まって、様々な情報を把握し、根拠を明確にしながら意思及び選好を推定する。また、利用者が経験に基づいた意思決定ができるよう体験の機会の確保に留意するとともに、意思決定支援の根拠となる記録の作成に努めること。
- 同条第3項に規定する支援上必要な事項とは、指定療養介護計画の目標及び内容のほか、行事及び日課等も含むものである。また、本人の意向を踏まえたサービス提供体制の確保については、指定居宅介護と同旨であるため、第3の3の(15)の②を参照されたい。
❷同条第3号については、本人の意思に反する異性介助がなされないよう、サービス提供責任者等がサービス提供に関する本人の意向を把握するとともに、本人の意向を踏まえたサービス提供体制の確保に努めるべきものであること。
なお、把握した本人の意向については、サービス提供記録や面談記録等に記録するとともに、本人の意向を踏まえたサービス提供体制の確保について、人員体制の見直し等を含め必要な検討を行った結果、人員体制の確保等の観点から十分に対応することが難しい場合には、その旨を利用者に対して丁寧に説明を行い、理解を得るよう努めること。
- 同条第3項は、指定療養介護事業者は、自らその提供する指定療養介護の質の評価を行うことはもとより、第三者による外部評価の導入を図るよう努め、常にサービスを提供する事業者としての質の改善を図らなければならないこととしたものである。
(7)療養介護計画の作成等(基準第58条)
- ①療養介護計画
-
基準第58条においては、サービス管理責任者が作成すべき療養介護計画について規定している。
療養介護計画は、利用者及びその家族の生活に対する意向、総合的な支援の方針、生活全般の質を向上させるための課題、指定障害福祉サービスの目標及びその達成時期、指定療養介護を提供する上での留意事項等を記載した書面である。
また、療養介護計画は、利用者の置かれている環境及び日常生活全般の状況等の評価を通じて利用者の希望する生活や課題等の把握を行うとともに、利用者の自己決定の尊重及び意思決定の支援に配慮しつつ、利用者が自立した日常生活を営むことができるよう支援する上での適切な支援内容の検討に基づいて立案されるものである。
アセスメントに当たっては、利用者が自ら意思を決定することに困難を抱える場合には、適切に意思決定の支援を行うため、当該利用者の意思及び選好並びに判断能力等について丁寧に把握しなければならない。 - ②サービス管理責任者の役割
-
サービス管理責任者は、当該事業所以外の保健医療サービス又はその他の福祉サービス等との連携も含めて、療養介護計画の原案を作成し、以下の手順により療養介護計画に基づく支援を実施するものである。
- ア 個別支援会議の開催
利用者及び当該利用者に対する指定療養介護の提供に当たる担当者を招集して行う会議を開催し、当該利用者の希望する生活及びサービスに対する意向等を改めて確認するとともに、療養介護計画の原案について意見を求めること。
個別支援会議は、意思決定支援ガイドラインにおける意思決定支援会議と一体的に行われることが考えられるが、意思決定支援会議をより丁寧に実施するために、個別支援会議とは別に開催することも差し支えない。
なお、個別支援会議については、原則として利用者が同席した上で行わなければならないものである。
ただし、例えば当該利用者の病状により、会議への同席自体が極めて困難な場合等、やむを得ない場合については、例外的にテレビ電話装置の活用等、同席以外の方法により希望する生活及びサービスに対する意向等を改めて確認することで差し支えない。 - イ 療養介護計画の原案の説明・同意
当該療養介護計画の原案の内容について、利用者及びその家族に対して説明し、文書により当該利用者の同意を得ること。 - ウ 療養介護計画の交付
利用者及び利用者等に対して指定計画相談支援又は指定障害児相談支援を行う相談支援事業者へ当該療養介護計画を交付すること。
また、サービス管理責任者は、サービス等利用計画を踏まえた療養介護計画の作成等を可能とするため、当該相談支援事業者が実施するサービス担当者会議に参加し、利用者に係る必要な情報を共有する等により相互連携を図ること。 - エ モニタリング
当該療養介護計画の実施状況の把握及び療養介護計画の見直すべきかどうかについての検討(当該検討は少なくとも6月に1回以上行われ、必要に応じて療養介護計画の変更を行う必要があること。)を行うこと。
なお、モニタリングに際しても相談支援事業者との相互連携を図ることが求められるものであり、モニタリング結果を相互に交付すること、サービス担当者会議及び個別支援会議を合同で開催又は相互の会議に出席する等の方法により連携強化を図ること。
- ア 個別支援会議の開催
(8)サービス管理責任者の責務(基準第59条)
- サービス管理責任者は、療養介護計画の作成のほか、次の業務を担うものである。
- ア 利用申込みに際し、当該利用者に係る他の障害福祉サービス等の提供状況の把握を行うこと
- イ 指定療養介護事業所を退院し、自立した日常生活を営むことが可能かどうか、定期的に点検するとともに、自立した日常生活を営むことが可能と認められる利用者に対し、地域生活への移行へ向けた支援を行うこと
- ウ 他の従業者に対して、指定療養介護の提供に係る技術的な指導及び助言を行うこと
- ア 利用申込みに際し、当該利用者に係る他の障害福祉サービス等の提供状況の把握を行うこと
- 基準第59条第2項については、サービス管理責任者は、利用者に対してのみならず、従業者に対しても、利用者への意思決定支援の実施の観点から必要な助言指導を行うことが求められるものである。
なお、意思決定支援ガイドラインにおける意思決定支援責任者の役割については、サービス管理責任者の役割と重複するものであるが、サービス管理責任者とは別に意思決定支援責任者となる者を配置した上で、当該者と業務を分担する等の柔軟な運用を否定するものではないことに留意すること。
また、サービス管理責任者については、利用者の意思決定支援を適切に行うため、都道府県が実施するサービス管理責任者を対象にした専門コース別研修の意思決定支援コースを受講することが望ましい。
(9)相談及び援助(基準第60条)
基準第60条は、常に利用者の心身の状況、その置かれている環境等の的確な把握に努め、常時必要な相談及び援助を行い得る体制をとることにより、積極的にサービスを利用する利用者の生活の質の向上を図ることを趣旨とするものである。
(11)看護及び医学的管理の下における介護(基準第62条)
- ①利用者への配慮
-
指定療養介護の提供に当たっては、利用者の人格に十分配慮し、療養介護計画によるサービスの目標等を念頭において行うことが基本であり、利用者の心身の状況に応じて、適切な技術をもって介護を提供し、又は必要な支援を行うものとする。
- ②排せつの介護
-
排せつの介護は、利用者の心身の状況や排せつ状況などをもとに、自立支援の観点から、トイレ誘導や排せつ介助等について適切な方法により実施するものとする。
また、利用者がおむつを使用せざるを得ない場合には、その心身及び活動の状況に適したおむつを提供するとともに、おむつ交換は、頻繁に行えばよいということではなく、利用者の排せつ状況を踏まえて実施するものとする。
(12)その他のサービスの提供(基準第63条)
- ①レクリエーションの実施
-
指定療養介護事業所は、画一的なサービスを提供するのではなく、利用者が自らの趣味や嗜好に応じた活動を通じて充実した日常生活を送ることができるよう、野外活動や芸術鑑賞等のレクリエーション行事の実施に努めなければならないこととしたものである。
- ②利用者の家族との連携
-
基準第63条第2項は、指定療養介護事業所は利用者の家族に対し、指定療養介護事業所の会報の送付、当該事業所が実施する行事への参加呼びかけ等によって利用者とその家族が交流できる機会等を確保するよう努めなければならないこととする。また、利用者や家族の面会の場所や時間等についても、利用者やその家族に配慮したものとするよう努めなければならない。
(13)緊急時等の対応(基準第64条)
指定療養介護事業所は、現に指定療養介護の提供を行っているときに、利用者に病状の急変が生じた場合その他必要な場合は、運営規程に定められた緊急時の対応方法に基づき、その他の専門医療機関への連絡を行うなどの必要な措置を講じなければならないこととしたものである。
(14)支給決定障害者に関する市町村への通知(基準第65条)
法第8条第1項の規定により、市町村は、偽りその他不正な手段によって自立支援給付費の支給を受けた者があるときは、その者から、その支給を受けた額に相当する金額の全部又は一部を徴収することができることにかんがみ、事業者は、その利用者が偽りその他不正な手段によって自立支援給付費の支給を受け、又は受けようとしたときは、自立支援給付費の適正化の観点から遅滞なく、意見を付して市町村に通知しなければならないこととしたものである。
(15)管理者の責務(基準第66条)
指定療養介護事業所の管理者の責務を、法の基本理念を踏まえた利用者本位のサービス提供を行うため、利用者へのサービス提供の場面等で生じる事象を適時かつ適切に把握しながら、従業者及び業務の管理を一元的に行うとともに、当該指定療養介護事業所の従業者に基準第3章第4節(運営に関する基準)の規定を遵守させるため必要な指揮命令を行うこととしたものである。
(16)運営規程(基準第67条)
指定療養介護事業所の適正な運営及び利用者に対する適切な指定療養介護の提供を確保するため、基準第67条第1号から第10号までに掲げる事項を内容とする規程を定めることを指定療養介護事業所ごとに義務付けたものであるが、特に次の点に留意するものとする。
- ①利用定員(第3号)
-
利用定員は、指定療養介護の事業の専用の病室のベッド数と同数とすること。なお、複数の指定療養介護の単位が設置されている場合にあっては、当該指定療養介護の単位ごとに利用定員を定める必要があること。
- ②指定療養介護の内容及び支給決定障害者から受領する費用の種類及びその額(第4号)
-
「指定療養介護の内容」とは、年間行事・レクリエーション及び日課等を含めたサービスの内容を指すものであること。また、「支給決定障害者から受領する費用の種類及びその額」とは、基準第54条第3項により支払を受けることが認められている費用の額を指すものであること。
- ③サービスの利用に当たっての留意事項(第5号)
-
利用者が指定療養介護の提供を受ける際に、利用者側が留意すべき事項(入院期間中の生活上のルール、設備の利用上の注意事項等)を指すものであること。
- ④非常災害対策(第7号)
-
基準第70条に規定する非常災害対策に関する具体的計画を指すものであること
- ⑤その他運営に関する重要事項(第10号)
-
利用者又は他の利用者等の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合に身体的拘束等を行う際の手続及び苦情解決の体制等について定めておくことが望ましい。
(17)勤務体制の確保等(基準第68条)
利用者に対する適切な指定療養介護の提供を確保するため、従業者の勤務体制等について規定したものであるが、次の点に留意するものとする。
- 基準第68条第1項は、指定療養介護事業所ごとに、原則として月ごとの勤務表(生活支援員の勤務体制を指定療養介護の単位等により2以上で行っている場合は、その勤務体制ごとの勤務表)を作成し、従業者の日々の勤務時間、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係等を明確にすることを定めたものであること。
- 同条第2項は、指定療養介護事業所は原則として、当該指定療養介護事業所の従業者によって指定療養介護を提供すべきであるが、調理業務、洗濯等の利用者に対するサービス提供に直接影響を及ぼさない業務については、第三者への委託等を行うことを認めるものであること。
- 同条第3項は、指定療養介護事業所の従業者の資質の向上を図るため、研修機関が実施する研修や当該指定療養介護事業所内の研修への参加の機会を計画的に確保することを定めたものであること。
- 同条第4項の規定は、基準第33条第4項の規定と基本的に同趣旨であるため、第3の3の(22)を参照されたいこと。
利用者に対する適切な指定居宅介護の提供を確保するため、従業者の勤務体制等について規定したものであるが、次の点に留意する必要がある。
- 基準第33条第1項は、指定居宅介護事業所ごとに、原則として月ごとの勤務表を作成し、従業者については、日々の勤務時間、職務の内容、常勤・非常勤の別、管理者との兼務関係、サービス提供責任者である旨等を明確にすることを定めたものであること。
- 同条第2項は、当該指定居宅介護事業所の従業者によって指定居宅介護を提供するべきことを規定したものであるが、指定居宅介護事業所の従業者とは、雇用契約その他の契約により、当該事業所の管理者の指揮命令下にある従業者を指すものであること。
- 同条第3項は、当該指定居宅介護事業所の従業者の質の向上を図るため、研修機関が実施する研修や当該指定居宅介護事業所内の研修への参加の機会を計画的に確保することとしたものであること。
- 同条第4項は、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律第 11 条第1項及び労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第 30 条の2第1項の規定に基づき、指定居宅介護事業者には、職場におけるセクシュアルハラスメントやパワーハラスメント(以下「職場におけるハラスメント」という。)の防止のための雇用管理上の措置を講じることが義務づけられていることを踏まえ、規定したものである。
指定居宅介護事業者が講ずべき措置の具体的内容及び指定居宅介護事業者が講じることが望ましい取組については、次のとおりとする。なお、セクシュアルハラスメントについては、上司や同僚に限らず、利用者やその家族等から受けるものも含まれることに留意すること。
- ア 指定居宅介護事業者が講ずべき措置の具体的内容
指定居宅介護事業者が講ずべき措置の具体的な内容は、事業主が職場における性的な言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(平成18 年厚生労働省告示第615号)及び事業主が職場における優越的な関係を背景とした言動に起因する問題に関して雇用管理上講ずべき措置等についての指針(令和2年厚生労働省告示第5号。以下「パワーハラスメント指針」という。)において規定されているとおりであるが、特に留意されたい内容は以下のとおりである。
- a 指定居宅介護事業者の方針等の明確化及びその周知・啓発職場におけるハラスメントの内容及び職場におけるハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、従業者に周知・啓発すること。
- b 相談(苦情を含む。以下同じ。)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備と。相談に対応する担当者をあらかじめ定めること等により、相談への対応のための窓口をあらかじめ定め、従業者に周知するこ
- a 指定居宅介護事業者の方針等の明確化及びその周知・啓発職場におけるハラスメントの内容及び職場におけるハラスメントを行ってはならない旨の方針を明確化し、従業者に周知・啓発すること。
- イ 指定居宅介護事業者が講じることが望ましい取組について
パワーハラスメント指針においては、顧客等からの著しい迷惑行為(カスタマーハラスメント)の防止のために、事業主が雇用管理上の配慮として行うことが望ましい取組の例として、
①相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、
②被害者への配慮のているので参考にされたいための取組(メンタルヘルス不調への相談対応、行為者に対して1人で対応させない等)及び
③被害防止のための取組(マニュアル作成や研修の実施等、業種・業態等の状況に応じた取組)が規定されているので参考にされたい。
- ア 指定居宅介護事業者が講ずべき措置の具体的内容
(18)定員の遵守(基準第69条)
利用者に対するサービスの提供に支障が生ずることのないよう、原則として、事業所が定める利用定員(指定療養介護の事業の専用の病室のベッド数)を超えた利用者の受入を禁止するものであるが、次に該当する利用定員を超えた利用者の受入については、適正なサービスの提供が確保されることを前提とし、地域の社会資源の状況等から新規の利用者を当該事業所において受け入れる必要がある場合等やむを得ない事情が存する場合に限り、可能とすることとしたものである。
- ①1日当たりの利用者の数
-
- ア 利用定員50人以下の指定療養介護事業所の場合
1日当たりの利用者の数(複数の指定療養介護の単位が設置されている場合にあっては、当該指定療養介護の単位ごとの利用者の数。イ及び②において同じ。)が、利用定員(複数の指定療養介護の単位が設置されている場合にあっては、当該指定療養介護の単位ごとの利用定員。イ及び②において同じ。)に110%を乗じて得た数以下となっていること。 - イ 利用定員51人以上の指定療養介護事業所の場合
1日当たりの利用者の数が、利用定員から50を差し引いた数に105%を乗じて得た数に、55を加えて得た数以下となっていること。
- ア 利用定員50人以下の指定療養介護事業所の場合
- ②過去3月間の利用者の数
-
過去3月間の利用者の延べ数が、利用定員に開所日数を乗じて得た数に105%を乗じて得た数以下となっていること。
(19)非常災害対策(基準第70条)
- 非常災害に際して必要な諸設備の整備や具体的計画の策定、関係機関への通報及び連携体制の整備、避難、救出訓練の実施等その対策に万全を期さなければならないこととしたものである。
- 「消火設備その他の非常災害に際して必要な設備」とは、消防法その他法令等に規定された設備を指しており、それらの設備を確実に設置しなければならない。
- 「非常災害に関する具体的計画」とは、消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第3条に規定する消防計画(これに準ずる計画を含む。)及び風水害、地震等の災害に対処するための計画をいう。この場合、消防計画の策定及びこれに基づく消防業務の実施は、消防法第8条の規定に基づき定められる者に行わせるものとする。
- 「関係機関への通報及び連携体制の整備」とは、火災等の災害時に、地域の消防機関へ速やかに通報する体制をとるよう職員に周知徹底するとともに、日頃から消防団や地域住民との連携を図り、火災等の際に消火・避難等に協力してもらえるような体制作りを求めることとしたものである。
- 基準第70条第3項は、指定療養介護事業者が前項に規定する避難、救出その他の訓練の実施に当たって、できるだけ地域住民の参加が得られるよう努めることとしたものであり、そのためには、日頃から地域住民との密接な連携体制を確保するなど、訓練の実施に協力を得られる体制づくりに努めることが必要である。訓練の実施に当たっては、消防関係者の参加を促し、具体的な指示を仰ぐなど、より実効性のあるものとすること。
(20)衛生管理等(基準第71条)
- 基準第71条は、指定療養介護事業者は、従業者の清潔の保持及び健康状態の管理に努めるべきであり、特に、従業者が感染源となることを予防し、また従業者を感染の危険から守るため、手指を洗浄するための設備や使い捨ての手袋等感染を予防するための備品等を備えるなど対策を講じるべきことを規定したものであり、このほか、次の点に留意するものとする。
- ア 指定療養介護事業者は、感染症又は食中毒の発生及びまん延を防止するための措置等について、必要に応じて保健所の助言、指導を求めるとともに、常に密接な連携を保つこと。
- イ 特にインフルエンザ対策、腸管出血性大腸菌感染症対策、レジオネラ症対策等については、その発生及びまん延を防止するための措置について、別途通知等が発出されているので、これに基づき、適切な措置を講じること。
- ウ 空調設備等により事業所内の適温の確保に努めること。
- ア 指定療養介護事業者は、感染症又は食中毒の発生及びまん延を防止するための措置等について、必要に応じて保健所の助言、指導を求めるとともに、常に密接な連携を保つこと。
- 基準第71条第2項に規定する感染症又は食中毒が発生し、又はまん延しないように講ずるべき措置については、具体的には次のアからエまでの取扱いとすること。
- ア 感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会当該指定療養介護事業所における感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会(以下「感染対策委員会」という。)であり、幅広い職種(例えば、施設長(管理者)、事務長、医師、看護職員、生活支援員、栄養士又は管理栄養士)により構成する。構成メンバーの責務及び役割分担を明確にするとともに、専任の感染対策を担当する者(以下「感染対策担当者」という。)を決めておくことが必要である。感染対策委員会は、入所者の状況など施設の状況に応じ、おおむね3月に1回以上、定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要がある。
感染対策委員会は、テレビ電話装置等を活用して行うことができるものとする。
ただし、障害のある者が参加する場合には、その障害の特性に応じた適切な配慮を行うこと。
この際、個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン」(外部リンク)等を遵守すること。
なお、感染対策委員会は、運営委員会など指定療養介護事業所内の他の委員会と独立して設置・運営することが必要であるが、関係する職種、取り扱う事項等が相互に関係が深いと認められる他の会議体を設置している場合、これと一体的に設置・運営することとして差し支えない。感染対策担当者は看護師であることが望ましい。
また、指定療養介護事業所外の感染管理等の専門家を委員として積極的に活用することが望ましい。 - イ 感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための指針
指定療養介護事業所における「感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための指針」には、平常時の対策及び発生時の対応を規定する。平常時の対策としては、指定療養介護事業所内の衛生管理(環境の整備、排泄物の処理、血液・体液の処理等)、日常の支援にかかる感染対策(標準的な予防策(例えば、血液・体液・分泌液・排泄物(便)などに触れるとき、傷や創傷皮膚に触れるときどのようにするかなどの取り決め)、手洗いの基本、早期発見のための日常の観察項目)等、発生時の対応としては、発生状況の把握、感染拡大の防止、医療機関や保健所、市町村における事業所関係課等の関係機関との連携、医療処置、行政への報告等が想定される。
また、発生時における指定療養介護事業所内の連絡体制や前記の関係機関への連絡体制を整備し、明記しておくことも必要である。なお、それぞれの項目の記載内容の例については、「障害福祉サービス施設・事業所職員のための感染対策マニュアル」(外部リンク)も踏まえて検討すること。 - ウ 感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための研修
従業者に対する「感染症の予防及びまん延の防止のための研修」の内容は、感染対策の基礎的内容等の適切な知識を普及・啓発するとともに、当該指定療養介護事業所における指針に基づいた衛生管理の徹底や衛生的な支援の励行を行うものとする。職員教育を組織的に浸透させていくためには、当該指定療養介護事業所が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な教育(年2回以上)を開催するとともに、新規採用時には必ず感染対策研修を実施することが重要である。
また、調理や清掃などの業務を委託する場合には、委託を受けて行う者に対しても、施設の指針が周知されるようにする必要がある。
また、研修の実施内容についても記録することが必要である。研修の実施は、厚生労働省「障害福祉サービス施設・事業所職員のための感染対策マニュアル」(外部リンク)等を活用するなど、指定療養介護事業所内で行うものでも差し支えなく、当該指定居宅介護事業所の実態に応じ行うこと。 - エ 感染症の予防及びまん延の防止のための訓練
平時から、実際に感染症が発生した場合を想定し、発生時の対応について、訓練(シミュレーション)を定期的(年2回以上)に行うことが必要である。
訓練においては、感染症発生時において迅速に行動できるよう、発生時の対応を定めた指針及び研修内容に基づき、指定療養介護事業所内の役割分担の確認や、感染対策をした上での支援の演習などを実施するものとする。
訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
- ア 感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会当該指定療養介護事業所における感染症及び食中毒の予防及びまん延の防止のための対策を検討する委員会(以下「感染対策委員会」という。)であり、幅広い職種(例えば、施設長(管理者)、事務長、医師、看護職員、生活支援員、栄養士又は管理栄養士)により構成する。構成メンバーの責務及び役割分担を明確にするとともに、専任の感染対策を担当する者(以下「感染対策担当者」という。)を決めておくことが必要である。感染対策委員会は、入所者の状況など施設の状況に応じ、おおむね3月に1回以上、定期的に開催するとともに、感染症が流行する時期等を勘案して必要に応じ随時開催する必要がある。
(21)掲示(基準第72 条)
基準第72条の規定は、基準第35条と基本的に同趣旨であるため、第3の3の(25)を参照されたい。
- 基準第35条第1項は、指定居宅介護事業者は、運営規程の概要、従業者の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制、提供するサービスの第三者評価の実施状況(実施の有無、実施した直近の年月日、実施した評価機関の名称、評価結果の開示状況)等の利用申込者のサービスの選択に資すると認められる重要事項を指定居宅介護事業所の見やすい場所に掲示することを規定したものであるが、次に掲げる点に留意する必要がある。
- ア 指定居宅介護事業所の見やすい場所とは、重要事項を伝えるべき利用者又はその家族等に対して見やすい場所のことであること。
- イ 従業者の勤務体制については、職種ごと、常勤・非常勤ごと等の人数を掲示する趣旨であり、従業者の氏名まで掲示することを求めるものではないこと。
- ア 指定居宅介護事業所の見やすい場所とは、重要事項を伝えるべき利用者又はその家族等に対して見やすい場所のことであること。
- 同条第2項は、重要事項を記載したファイル等を利用者又はその家族等が自由に閲覧可能な形で当該指定居宅介護事業所内に備え付けることで同条第1項の掲示に代えることができることを規定したものである。
(22)地域との連携等(基準第74条)
指定療養介護事業所が地域に開かれたものとして運営されるよう、地域の住民やボランティア団体等の連携及び協力を行う等の地域との交流に努めなければならないこととしたものである。
(23)記録の整備(基準第75条)
指定療養介護事業者は、従業者、設備、備品及び会計等に関する諸記録を文書により整備しておく必要があること。
なお、基準第75条第2項により、指定療養介護事業者は、指定療養介護の提供に関する諸記録のうち、少なくとも次に掲げる記録については、当該療養介護を提供した日から、少なくとも5年以上保存しておかなければならないとしたものである。
準用:第3の3の(1)
内容及び手続の説明及び同意(基準第9条)
指定居宅介護事業者は、利用者に対し適切な指定居宅介護を提供するため、その提供の開始に際し、あらかじめ、利用申込者に対し、当該指定居宅介護事業所の運営規程の概要、従業者の勤務体制、事故発生時の対応、苦情処理の体制、提供するサービスの第三者評価の実施状況(実施の有無、実施した直近の年月日、実施した評価機関の名称、評価結果の開示状況)等の利用申込者がサービスを選択するために必要な重要事項について、利用者の障害の特性に応じ、適切に配慮されたわかりやすい説明書やパンフレット等の文書を交付して懇切丁寧に説明を行い、当該事業所から指定居宅介護の提供を受けることにつき、当該利用申込者の同意を得なければならないこととしたものである。
なお、利用者及び指定居宅介護事業所双方の保護の立場から書面によって確認することが望ましいものである。
また、利用者との間で当該指定居宅介護の提供に係る契約が成立したときは、利用者の障害の特性に応じた適切な配慮をもって、社会福祉法(昭和26年法律第45号)第77条第項の規定に基づき、
- 当該事業の経営者の名称及び主たる事務所の所在地
- 当該事業の経営者が提供する指定居宅介護の内容
- 当該指定居宅介護の提供につき利用者が支払うべき額に関する事項
- 指定居宅介護の提供開始年月日
- 指定居宅介護に係る苦情を受け付けるための窓口
を記載した書面を交付すること。
なお、利用者の承諾を得た場合には当該書面に記載すべき事項を電子情報処理組
準用:第3の3の(3)
提供拒否の禁止(基準第11条)
事業者は、原則として、利用申込みに対して応じなければならないことを規定したものであり、特に、障害程度区分や所得の多寡を理由にサービスの提供を拒否することを禁止するものである。提供を拒むことのできる正当な理由がある場合とは、
- 当該事業所の現員からは利用申込みに応じきれない場合
- ※準用除外
- 当該事業所の運営規程において主たる対象とする障害の種類を定めている場合であって、これに該当しない者から利用申込みがあった場合、その他利用申込者に対し自ら適切な指定居宅介護を提供することが困難な場合
- 入院治療が必要な場合
である。
準用:第3の3の(4)
連絡調整に対する協力(基準第12条)
事業者は、市町村又は相談支援事業者が行う利用者の紹介、地域におけるサービス担当者会議への出席依頼等の連絡調整等に対し、指定障害福祉サービスの円滑な利用の観点から、できる限り協力しなければならないこととしたものである。
準用:第3の3の(6)
受給資格の確認(基準第14条)
サービスの利用に係る介護給付費を受けることができるのは、支給決定障害者等に限られるものであることを踏まえ、事業者は、サービスの提供の開始に際し、利用者の提示する受給者証によって、支給決定の有無、支給決定の有効期間、支給量等を確かめなければならないこととしたものである。
準用:第3の3の(10)
支給決定障害者等に求めることのできる金銭の支払の範囲等(基準第20条)
事業者は、基準第21条第1項から第3項に規定する額の他曖昧な名目による不適切な費用の徴収を行うことはできないこととしたものであるが、利用者の直接便益を向上させるものについては、次の要件を満たす場合に、利用者等に金銭の支払を求めることは差し支えないものである。
- サービス提供の一環として行われるものではないサービスの提供に要する費用であること。
- 利用者等に求める金額、その使途及び金銭の支払を求める理由について記載した書面を利用者に交付し、説明を行うとともに、当該利用者の同意を得ていること。
準用:第3の3の(23)
業務継続計画の策定等(基準第33条の2)
- 基準第33条の2は、指定居宅介護事業者は、感染症や災害が発生した場合にあっても、利用者が継続して指定居宅介護の提供を受けられるよう、指定居宅介護の提供を継続的に実施するための、及び非常時の体制で早期の業務再開を図るための計画(以下「業務継続計画」という。)を策定するとともに、当該業務継続計画に従い、従業者に対して、必要な研修及び訓練(シミュレーション)を実施しなければならないこととしたものである。なお、業務継続計画の策定、研修及び訓練の実施については、基準第33条の2に基づき指定居宅介護事業者に実施が求められるものであるが、他のサービス事業者との連携等により行うことも差し支えない。
また、感染症や災害が発生した場合には、従業者が連携して取り組むことが求められることから、研修及び訓練の実施にあたっては、全ての従業者が参加できるようにすることが望ましい。 - 業務継続計画には、以下の項目等を記載すること。なお、各項目の記載内容については、「障害福祉サービス事業所等における新型コロナウイルス感染症発生時の業務継続ガイドライン」及び「障害福祉サービス事業所等における自然災害発生時の業務継続ガイドライン」を参照されたい。
また、想定される災害等は地域によって異なるものであることから、項目については実態に応じて設定すること。なお、感染症及び災害の業務継続計画を一体的に策定することを妨げるものではない。
- ア 感染症に係る業務継続計画
- a 平時からの備え
(体制構築・整備、感染症防止に向けた取組の実施、備蓄品の確保等) - b 初動対応
- c 感染拡大防止体制の確立
(保健所との連携、濃厚接触者への対応、関係者との情報共有等)
- a 平時からの備え
- イ 災害に係る業務継続計画
- a 平常時の対応
(建物・設備の安全対策、電気・水道等のライフラインが停止した場合の対策、必要品の備蓄等) - b 緊急時の対応(業務継続計画発動基準、対応体制等)
- c 他施設及び地域との連携
- a 平常時の対応
- ア 感染症に係る業務継続計画
- 従業者の内容は、感染症及び災害に係る業務継続計画の具体的内容を職員間に共有するとともに、平常時の対応の必要性や、緊急時の対応にかかる理解の励行を行うものとする。
従業者教育を組織的に浸透させていくために、定期的(年1回以上)な教育を開催するととも、新規採用時には別に研修を実施することが望ましい。
また、研修の実施内容についても記録すること。
なお、感染症の業務継続計画に係る研修については、感染症の予防及びまん延の防止のための研修と一体的に実施することも差し支えない。 - 訓練(シミュレーション)においては、感染症や災害が発生した場合において迅速に行動できるよう、業務継続計画に基づき、指定居宅介護事業所内の役割分担の確認、感染症や災害が発生した場合に実践する支援の演習等を定期的(年1回以上)に実施するものとする。
なお、感染症の業務継続計画に係る訓練については、感染症の予防及びまん延の防止のための訓練と一体的に実施することも差し支えない。
訓練の実施は、机上を含めその実施手法は問わないものの、机上及び実地で実施するものを適切に組み合わせながら実施することが適切である。
準用:第3の3の(26)
身体拘束等の禁止(基準第35条の2)
- 基準第35条の2第1項及び第2項は、利用者又は他の利用者の生命又は身体を保護するため緊急やむを得ない場合を除き、身体拘束等を行ってはならず、緊急やむを得ない場合に身体拘束等を行う場合にあっても、その態様及び時間、その際の利用者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録しなければならないこととしたものである。
なお、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性、一時性の三つの要件全てを満たし、かつ、組織としてそれらの要件の確認等の手続きを行った旨を記録しなければならないこと。 - 同条第3項第1号の「身体拘束等の適正化のための対策を検討する委員会」(以下「身体拘束適正化検討委員会」という。)は、事業所に従事する幅広い職種により構成する。構成員の責務及び役割分担を明確にするとともに、専任の身体拘束等の適正化対応策を担当する者を決めておくことが必要である。
身体拘束適正化検討委員会には、第三者や専門家の活用に努めることとし、その方策として、医師(精神科専門医等)、看護職員等の活用が考えられる。
また、事業所単位でなく、法人単位での委員会設置も可能であるため、事業所の規模に応じた対応を検討すること。
なお、身体拘束適正化検討委員会は、少なくとも1年に1回は開催することが必要であるが、虐待防止委員会と関係する職種等が相互に関係が深いと認めることも可能であることから、虐待防止委員会と一体的に設置・運営すること(虐待防止委員会において、身体拘束等の適正化について検討する場合も含む。)も差し支えない。
指定居宅介護事業所が、報告、改善のための方策を定め、周知徹底する目的は、身体拘束等の適正化について、事業所全体で情報共有し、不適切な身体拘束等の再発防止や身体拘束等を行わない支援方法の検討につなげるためのものであり、決して従業者の懲罰を目的としたものではないことに留意することが必要である。
身体拘束適正化検討委員会における具体的な対応は、次のようなことを想定している。なお、身体拘束適正化検討委員会における対応状況については、適切に記録の上、5年間保存すること。
- ア 身体拘束等について報告するための様式を整備すること。
- イ 従業者は、身体拘束等の発生ごとにその状況、背景等を記録するとともに、アの様式に従い、身体拘束等について報告すること。
- ウ 身体拘束適正化検討委員会において、イにより報告された事例を集計し、分析すること。なお、イにより報告された事例がない場合にも、身体拘束等の未然防止の観点から、利用者に対する支援の状況等を確認することが必要である。
- エ 事例の分析に当たっては、身体拘束等の発生時の状況等を分析し、身体拘束等の発生原因、結果等をとりまとめ、当該事例の適正性と廃止へ向けた方策を検討すること。
- オ 報告された事例及び分析結果を従業者に周知徹底すること。
- カ 廃止へ向けた方策を講じた後に、その効果について検証すること。
- 同条同項第2号の指定居宅介護事業所が整備する「身体拘束等の適正化のための指針」には、次のような項目を盛り込むこととする。
- ア 事業所における身体拘束等の適正化に関する基本的な考え方
- イ 身体拘束適正化検討委員会その他事業所内の組織に関する事項
- ウ 身体拘束等の適正化のための職員研修に関する基本方針
- エ 事業所内で発生した身体拘束等の報告方法等の方策に関する基本方針
- オ 身体拘束等発生時の対応に関する基本方針
- カ 利用者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
- キ その他身体拘束等の適正化の推進のために必要な基本方針
- 同条同項第3号の従業者に対する身体拘束等の適正化のための研修の実施に当たっては、身体拘束等の適正化の基礎的内容等適切な知識を普及・啓発するとともに、当該指定居宅介護事業所における指針に基づき、適正化の徹底を図るものとする。
職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該指定居宅介護事業所が指針に基づいた研修プログラムを作成し、定期的な研修を実施(年一回以上)するとともに、新規採用時には必ず身体拘束等の適正化の研修を実施することが重要である。
また、研修の実施内容について記録することが必要である。なお、研修の実施に当たっては、事業所内で行う職員研修で差し支えなく、他の研修と一体的に実施する場合や他の研修プログラムにおいて身体拘束等の適正化について取り扱う場合、例えば、虐待防止に関する研修において身体拘束等の適正化について取り扱う場合は、身体拘束等の適正化のための研修を実施しているものとみなして差し支えない。
準用:第3の3の(27)
秘密保持等(基準第36条)
- 基準第36条第1項は、事業所の従業者及び管理者に、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密の保持を義務付けたものである。
- 同条第2項は、事業者に対して、過去に当該事業所の従業者及び管理者であった者が、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう必要な措置を取ることを義務付けたものであり、具体的には、事業者は、当該事業所の従業者等が、従業者等でなくなった後においてもこれらの秘密を保持すべき旨を、従業者との雇用時等に取り決めるなどの措置を講ずべきこととするものである。
- 同条第3項は、従業者が利用者の有する問題点や解決すべき課題等の個人情報を、他の指定障害福祉サービス事業者と共有するためには、事業者等は、あらかじめ、文書により利用者又はその家族から同意を得る必要があることを規定したものであるが、この同意は、サービス提供開始時に利用者及びその家族から包括的な同意を得ておくことで足りるものである。
準用:第3の3の(28)
利益供与等の禁止(基準第38条)
- 基準第38条第1項は、一般相談支援事業者若しくは特定相談支援事業者又は他の障害福祉サービス事業者等による障害福祉サービス事業者等の紹介が公正中立に行われるよう、指定居宅介護事業者は、一般相談支援事業者若しくは特定相談支援事業者又は他の障害福祉サービス事業者等に対し、利用者に対して当該指定居宅介護事業者を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を供与してはならない旨を規定したものである。
- 同条第2項は、利用者による一般相談支援事業者若しくは特定相談支援事業者又は他の障害福祉サービス事業者等の選択が公正中立に行われるよう、指定居宅介護事業者は、一般相談支援事業者若しくは特定相談支援事業者又は他の障害福祉サービス事業者等から、当該事業所を利用する利用者やサービス提供が終了した利用者等を紹介することの対償として、金品その他の財産上の利益を収受してはならない旨を規定したものである。
準用:第3の3の(29)
苦情解決(基準第39条)
- 基準第39条第1項にいう「必要な措置」とは、具体的には、相談窓口、苦情解決の体制及び手順等当該事業所における苦情を解決するための措置を講ずることをいうものである。当該措置の概要については、利用申込者にサービスの内容を説明する文書に記載し、事業所に掲示することが望ましい。
- 同条第2項は、苦情に対し事業所が組織として迅速かつ適切に対応するため、当該苦情(指定居宅介護事業所が提供したサービスとは関係のないものを除く。)の受付日、内容等を記録することを義務付けたものである。
また、事業所は、苦情がサービスの質の向上を図る上での重要な情報であるとの認識に立ち、苦情の内容を踏まえ、サービスの質の向上に向けた取組を自ら行うべきである。 - 同条第3項は、住民に最も身近な行政庁である市町村が、サービスに関する苦情に対応する必要が生ずることから、市町村が、指定居宅介護事業者に対する苦情に関する調査や指導、助言を行えることを運営基準上、明確にしたものである。
- 同条第7項は、社会福祉法上、都道府県社会福祉協議会の運営適正化委員会が福祉サービスに関する苦情の解決について相談等を行うこととされたことを受けて、運営適正化委員会が行う同法第85条に規定する調査又はあっせんにできるだけ協力することとしたものである。
準用:第3の3の(30)
事故発生時の対応(基準第40条)
利用者が安心してサービスの提供を受けられるよう、事業者は、利用者に対する指定居宅介護の提供により事故が発生した場合は、都道府県、市町村及び当該利用者の家族等に対して連絡を行うとともに必要な措置を講じ、利用者に対するサービスの提供により賠償すべき事故が発生した場合は、損害賠償を速やかに行わなければならないこととしたものである。
このほか、次の点に留意するものとする。
- 利用者に対する指定居宅介護の提供により事故が発生した場合の対応方法については、あらかじめ指定居宅介護事業者が定めておくことが望ましいこと。
また、事業所に自動体外式除細動器(AED)を設置することや救命講習等を受講することが望ましいこと。
なお、事業所の近隣にAEDが設置されており、緊急時に使用できるよう、地域においてその体制や連携を構築することでも差し支えない。 - 事業者は、賠償すべき事態において速やかに賠償を行うため、損害賠償保険に加入しておくことが望ましいこと。
- 事業者は、事故が生じた際にはその原因を解明し、再発生を防ぐための対策を講じること。なお、「福祉サービスにおける危機管理(リスクマネジメント)に関する取り組み指針」(平成14年3月28日福祉サービスにおける危機管理に関する検討会)(外部リンク)が示されているので、参考にされたい。
準用:第3の3の(31)
虐待の防止(基準第40条の2)
- 基準第40条の2第1号の虐待防止委員会の役割は、以下の3つがある。
・ 虐待防止のための計画づくり(虐待防止の研修、労働環境・条件を確認・改善するための実施計画づくり、指針の作成)
・ 虐待防止のチェックとモニタリング(虐待が起こりやすい職場環境の確認等)
・ 虐待発生後の検証と再発防止策の検討(虐待やその疑いが生じた場合、事案検証の上、再発防止策を検討、実行)
虐待防止委員会の設置に向けては、構成員の責務及び役割分担を明確にするとともに、専任の虐待防止担当者(必置)を決めておくことが必要であり、虐待防止委員会の構成員には、利用者やその家族、専門的な知見のある外部の第三者等も加えるよう努めるものとする。
具体的には、次のような対応を想定している。
なお、虐待防止委員会における対応状況については、適切に記録の上、5年間保存すること。
- ア 虐待(不適切な対応事例も含む。)が発生した場合、当該事案について報告するための様式を整備すること。
- イ 従業者は、虐待の発生ごとにその状況、背景等を記録するとともに、アの様式に従い、虐待について報告すること。
- ウ 虐待防止委員会において、イにより報告された事例を集計し、分析すること。
- エ 事例の分析に当たっては、虐待の発生時の状況等を分析し、虐待の発生原因、結果等をとりまとめ、当該事例の再発防止策を検討すること。
- オ 労働環境・条件について確認するための様式を整備するとともに、当該様式に従い作成された内容を集計、報告し、分析すること。
- カ 報告された事例及び分析結果を従業者に周知徹底すること。
- キ 再発防止策を講じた後に、その効果について検証すること。
- 指定居宅介護事業所は次のような項目を定めた「虐待防止のための指針」を作成することが望ましい。
- ア 事業所における虐待防止に関する基本的な考え方
- イ 虐待防止委員会その他施設内の組織に関する事項
- ウ 虐待防止のための職員研修に関する基本方針
- エ 施設内で発生した虐待の報告方法等の方策に関する基本方針
- オ 虐待発生時の対応に関する基本方針
- カ 利用者等に対する当該指針の閲覧に関する基本方針
- キ その他虐待防止の適正化の推進のために必要な基本方針
- 同条第2号の従業者に対する虐待防止のための研修の実施に当たっては、虐待防止の基礎的内容等適切な知識を普及・啓発するとともに、指針を作成した事業所においては当該指針に基づき、虐待防止の徹底を図るものとする。
職員教育を組織的に徹底させていくためには、当該指定居宅介護事業所の虐待防止委員会が作成した研修プログラムを実施し、定期的な研修を実施(年1回以上)するとともに、新規採用時には必ず虐待防止の研修を実施することが重要である。
また、研修の実施内容について記録することが必要である。
なお、研修の実施は、施設内で行う職員研修及び協議会又は基幹相談支援センター等が実施する研修に事業所が参加した場合でも差し支えない。 - 同条第3号の虐待防止のための担当者については、サービス提供責任者等を配置すること。なお、当該担当者及び管理者は、「地域生活支援事業の実施について」(平成 18 年8月1日障発第 0801002 号)(外部リンク)の別紙2「地域生活支援促進事業実施要綱」の別記2-4の3(3)の都道府県が行う研修に参加することが望ましい。
\事業者必須!待望の2024年版/