「地域生活移行個別支援特別加算」の概要
「地域生活移行個別支援特別加算」とは、障害福祉サービスの中で特定の利用者が地域社会において自立した生活を営むために、特別な支援を提供する事業所が加算を受けられる制度です。医療観察法や更生保護施設などの背景を持つ方が対象であり、個別支援計画に基づいた相談援助や環境調整を通じて、利用者が地域で安定した生活を送るための基盤作りを支えています。
対象サービス
算定要件など
対象者の条件:
- 医療観察法に基づく通院決定を受けてから3年以内、またはその延長期間中の方。
- 矯正施設や更生保護施設を退所後3年以内の方。
- 上記条件を満たし、保護観察所や地域生活定着支援センターとの調整により指定宿泊型自立訓練を利用する方。
施設の条件:
- 必要な人員が確保され、有資格者による適切な支援体制が整備されていること。
- 従業員が対象者の特性や課題を理解し、支援方法に関する研修を受けていること。
- 関係機関との連携体制が協議会等で整備されていること。
提供される支援内容:
- 犯罪行為等に至った要因を理解し、それを防ぐための専門的支援を計画に組み込むこと。
- 指定医療機関や保護観察所との調整会議の実施。
- 日常生活や人間関係に関する助言。
- 通院支援や緊急時対応の提供。
- その他、利用者の地域生活に必要な支援。
※詳細は報酬告示と留意事項を参照ください。
報酬告示と留意事項
報酬告示
※令和6年4月1日現在
670単位/日 |
指定宿泊型自立訓練を行う指定自立訓練(生活訓練)事業所が、厚生労働大臣が定める者に対して、特別な支援に対応した自立訓練(生活訓練)計画に基づき、
地域生活のための相談援助や個別の支援を行った場合に、当該利用者に対し、3年以内(医療観察法に基づく通院期間の延長が行われた場合にあっては、当該延長期間が終了するまで)の期間(他の指定障害福祉サービスを行う事業所及び指定障害者支援施設等において地域生活移行個別支援特別加算を算定した期間を含む。)において、1日につき所定単位数を加算する。
参考:厚生労働省告示第523号
留意事項
報酬告示第11の5の9の地域生活移行個別支援特別加算については、次のとおり取り扱うものとする。
- (一) 対象者の要件
-
医療観察法に基づく通院決定を受けてから3年を経過していない者(通院期間が延長された場合、その延長期間を限度とする。)又は矯正施設若しくは更生保護施設を退所等の後、3年を
経過していない者であって、保護観察所又は地域生活定着支援センターとの調整により、指定宿泊型自立訓練を行う指定自立訓練(生活訓練)事業所を利用することとなった者をいうものである。
なお、矯正施設からの退所等の後、一定期間居宅で生活した後3年以内に保護観察所又は地域生活定着支援センターとの調整により、指定宿泊型自立訓練を利用することになった場合、指定宿泊型自立訓練の利用を開始してから 3 年以内で必要と認められる期間について加算の算定対象となる。 - (二) 施設要件
-
加算の要件となる人員配置については、あらかじめ指定基準上配置すべき従業者に加えて一定数の配置を求めるものではなく、加算対象者受入時において適切な支援を行うために必要な数の人員を確保することが可能であるとともに、有資格者による指導体制が整えられ、有資格者を中心とした連携体制により対象者に対して適切な支援を行うことが可能であること。
なお、こうした支援体制については、協議会の場等で関係機関の協力体制も含めて協議しておくことが望ましい。
また、従業者に対する研修会については、原則として事業所の従業者全員を対象に、加算対象者の特性の理解、加算対象者が通常有する課題とその課題を踏まえた支援内容、関係機関の連携等について、矯正施設等を退所した障害者の支援に実際に携わっている者を講師とする事業所内研修、既に支援の実績のある事業所の視察、関係団体が行う研修会の受講等の方法により行うものとする。 - (三) 支援内容
-
加算の対象となる事業所については、以下の支援を行うものとする。
- ア 本人や関係者からの聞き取りや経過記録、行動観察等によるアセスメントに基づき、犯罪行為等に至った要因を理解し、これを誘発しないような環境調整と必要な専門的支援(教育又は訓練)が組み込まれた、自立訓練(生活訓練)計画の作成
- イ 指定医療機関や保護観察所等の関係者との調整会議の開催
- ウ 日常生活や人間関係に関する助言
- エ 医療観察法に基づく通院決定を受けた者に対する通院の支援
- オ 日中活動の場における緊急時の対応
- カ その他必要な支援
参考:障発第1031001号
加算の届出様式(厚生労働省)
実際の届出に際しては、指定権者の指定する様式にて届出してください。
出典:厚生労働省│障害福祉分野における手続負担の軽減(指定申請等の様式の標準化等)
Q&A
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まとめ
「地域生活移行個別支援特別加算」は、医療的・社会的サポートが必要な方々が地域での自立生活を実現するために重要な制度です。適切な対象者選定や支援体制を整えた施設が、特定の支援を提供することで、利用者が安心して地域社会に溶け込むための橋渡し役を果たします。この加算制度を活用することで、障害福祉サービス全体の質が向上し、より多くの方が安定した地域生活を送る可能性が広がります。