障害福祉サービスの報酬はどのように決められているのでしょうか?また、実際にサービスを提供した分の報酬はどのように受け取れるのかを解説します。
開業前の方にとってはイメージしにくいと思いますので参考になればと思います。
報酬の計算方法
計算方法は簡単にまとめると以下の通りとなります。
この時、1円未満は切り捨てとなる点に要注意です。
実際には、各種加算等も含まれるため、ほんの少しだけ複雑になります。
各種加算について
手厚いサービスを提供したり、職員の処遇を改善するために様々な加算が設定されています。
加算によって要件や算定方法など様々なものがあります。
■加算の例
欠席時対応加算・・・月4回まで
送迎加算 ・・・片道あたり
処遇改善加算 ・・・全報酬×決められた割合
加算をつける詳細な要件などは、事業種別の報酬・加算のページをご覧ください。
- 居宅介護
- 重度訪問介護
- 同行援護
- 行動援護
- 療養介護
- 生活介護
- 自立訓練(機能訓練)
- 自立訓練(生活訓練)
- 就労移行支援
- 就労移行支援A型
- 就労移行支援B型
- 就労定着支援
- 短期入所
- 重度障害者等包括支援
- 共同生活援助
- 施設入所支援
- 自立生活援助
- 地域移行支援(未作成)
- 地域定着支援(未作成)
- 計画相談支援(未作成)
地域区分とは?
地域区分とは、東京と地方では物価やスタッフの賃金が明らかに異なります。
全国的に介護報酬が一律では地域によって利益が大きくことなることになります。
そこで全国の市区町村を8つの区分に分け、1単位あたりの金額を調整することで実態に即した報酬額となるようになっています。
地域区分 | 加算割合 |
---|---|
1級地 | 20% |
2級地 | 16% |
3級地 | 15% |
4級地 | 12% |
5級地 | 10% |
6級地 | 6% |
7級地 | 3% |
その他 | 0% |
端数処理について
■留意事項(障発第1031001号)
- 単位数算定の際の端数処理 単位数の算定については、基本となる単位数に加減算の計算(何らかの割合を乗ずる計算に限る。)を行う度に、小数点以下の端数処理(四捨五入)を行っていくこととする。つまり、絶えず整数値に割合を乗じていく計算になる。
(例) 居宅介護(身体介護30分未満で255単位)
- 基礎研修課程修了者の場合
所定単位数の70% 255×0.70=178.5 → 179単位 - 基礎研修課程修了者で夜間又は早朝の場合
179×1.25=223.75 → 224単位
※ 255×0.70×1.25=223.125として四捨五入するのではない。
なお、サービスコードについては、加算等を加えた一体型の合成コードとして作成しており、その合成単位数は、既に端数処理をした単位数(整数値)である。
- 基礎研修課程修了者の場合
- 金額換算の際の端数処理 算定された単位数から金額に換算する際に生ずる一円未満(小数点以下)の端数については「切り捨て」とする。
(例) 上記①の事例で、このサービスを月に5回提供した場合(地域区分は1級地)
- 224単位×5回=1,120単位
- 1,120単位×11.08円/単位=12,409.6円 → 12,410円
参考例
生活介護のサービス提供報酬の計算の例です。送迎や食事・処遇改善加算も含めた場合です。 ※地域区分は5級地と想定
まずは、上の表でサービス提供分の単位から金額を算出します。その合計単位数から比率によって、処遇改善の単位が決められます。この時、小数点以下の単位は切り捨てとなります。その上で、処遇改善の金額を算出し、サービス提供分と足します。その後、1円未満を切り捨てた金額が報酬金額となります。
報酬はいつ支払われるのか?
報酬は、サービスを提供した翌々月の15日頃に支払われます。流れは以下のようになっています。
ですので、新規に福祉サービスの事業所を立ち上げた場合、最初の2.5カ月間は無収入ということになりますので、その点も考慮した運転資金を準備しておく必要があります。
サービス提供から、報酬受取までの流れ
障がい福祉サービスの提供を行います。各種要件や決められた記録を整備します。
10日までに、前月のサービス提供の実績を集計して、国保連へ請求データを送信します。
請求は、国保連のシステムに直接入力するか、市販のシステムからデータを国保連のシステムに受け渡し、その上でデータ伝送を行います。
国保連側でエラーチェックが行われ、エラーがあれば月末頃に「返戻通知」が届きます。
月初付近に報酬の支払決定通知が届きます。
15日頃に前々月サービス提供分が入金されます。