「身体拘束廃止未実施減算」の概要
「身体拘束廃止未実施減算」とは、事業所が利用者の身体拘束を適正に廃止する取り組みを行っていない場合、報酬単位数が減算される制度です。この制度は、利用者の権利を守り、適正なサービス提供を促進することを目的としています。
対象となるサービスには、居宅介護や重度訪問介護、生活介護、短期入所、自立訓練、就労支援など多岐にわたる事業が含まれます。この制度では、身体拘束に関する基準を満たしていない事業所に対し、報酬単位数の「1%または10%」が減算される仕組みとなっています。具体的には、基準未達の事実が確認された場合、改善計画を提出し、状況が改善されるまで減算が適用されます。
対象サービス
適用条件等
適用条件の具体例
- 身体拘束等の適正化に関する指針が整備されていない
- 身体拘束適正化委員会が1年に1回以上開催されていない
- 身体拘束の廃止に関する定期的な研修が未実施(年1回以上必須)
※詳細は報酬告示と留意事項を参照ください。
報酬告示と留意事項
報酬告示(例:居宅介護)
所定単位数の1/100単位 減算 |
指定障害福祉サービス基準第35条の2第2項又は第3項(指定障害福祉サービス基準第43条の4において準用する場合を含む。)に規定する基準を満たしていない場合は、所定単位数の100分の1に相当する単位数を所定単位数から減算する。
参考:厚生労働省告示第523号
留意事項(障害福祉サービス)
(14)身体拘束等の廃止・適正化のための取組が適切に行われていない場合の所定単位数の算定について ※身体拘束廃止未実施減算
- ① 対象となる障害福祉サービス
-
居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、療養介護、生活介護、短期入所、 重度障害者等包括支援、施設入所支援、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)、 就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型(基準該当就労継続支援B型を含む。②において同じ。)、共同生活援助
- ② 算定される単位数
-
- 療養介護、生活介護、施設入所支援、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)(宿泊型自立訓練を含む。)、就労継続支援A型、就労継続支援B型、共同生活援助(ただし、生活介護、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)(宿泊型自立訓練を除く。)、就労継続支援A型、就労継続支援B型については、指定障害者支援施設が行うものに限る。)については、所定単位数の100分の10に相当する単位数を所定単位数から減算する。
なお、当該所定単位数は、各種加算(障害福祉サービス費等の報酬算定構造表において当該減算より左に規定されている加算を除く。)がなされる前の単位数とし、当該各種加算を含めた単位数の合計数に対して100分の10となるものではないことに留意すること。
ただし、複数の減算事由に該当する場合にあっては、当該所定単位数に各種減算をした上で得た単位数(減算後基本報酬所定単位数)に対する100分の10に相当する単位数を減算後基本報酬所定単位数から減算する点に留意すること。 - 居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、生活介護、短期入所、重度障害者等包括支援、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練) (宿泊型自立訓練を除く。)、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型(ただし、生活介護、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)、就労継続支援A型、就労継続支援B型については、指定障害者支援施設が行うものを除く。)については、所定単位数の100分の1に相当する単位数を所定単位数から減算する。
なお、当該所定単位数は、各種加算(障害福祉サービス費等の報酬算定構造表において当該減算より左に規定されている加算を除く。)がなされる前の単位数とし、当該各種加算を含めた単位数の合計数に対して100分の1となるものではないことに留意すること。
ただし、複数の減算事由に該当する場合にあっては、当該所定単位数に各種減算をした上で得た単位数(減算後基本報酬所定単位数)に対する100分の1に相当する単位数を減算後基本報酬所定単位数から減算する点に留意すること。
- 療養介護、生活介護、施設入所支援、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)(宿泊型自立訓練を含む。)、就労継続支援A型、就労継続支援B型、共同生活援助(ただし、生活介護、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)(宿泊型自立訓練を除く。)、就労継続支援A型、就労継続支援B型については、指定障害者支援施設が行うものに限る。)については、所定単位数の100分の10に相当する単位数を所定単位数から減算する。
- ③
-
当該減算については、次の❶から❹までに掲げる場合のいずれかに該当する事実が生じた場合であって、速やかに改善計画を都道府県知事等に提出した後、事実が生じた月から 3 月後に改善計画に基づく改善状況を都道府県知事等に報告することと し、事実が生じた月の翌月から改善が認められた月までの間について、利用者全員員について所定単位数から減算することとする。
これは、適正なサービスの提供を確保するための規定であり、指定障害福祉サービス事業所等は、身体拘束等の廃止を図るよう努めるものとする。
なお、「事実が生じた」とは、運営基準を満たしていない状況が確認されたことを指すものである。都道府県知事等は、次の❶から❹までに掲げる場合のいずれかに該当する事実が 継続する場合には、改善を行うよう指導すること。
当該指導に従わない場合には、 特別な事情がある場合を除き、指定の取消しを検討するものとする。- 指定障害福祉サービス基準又は指定障害者支援施設基準の規定に基づき求められる身体拘束等に係る記録が行われていない場合。
なお、施設等において身体拘束等が行われていた場合ではなく、記録が行われていない場合である点に、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性、一時性の三つの要件全てを満たし、かつ、組織としてそれらの要件の確認等の手続きを行った旨を記録しなければならない点に留意すること。 - 指定障害福祉サービス基準又は指定障害者支援施設基準の規定に基づき求められる身体拘束等の適正化のための対策を検討する委員会(以下「身体拘束適正化検討委員会」という。)を定期的に開催して いない場合、具体的には、1年に1回以上開催していない場合とする。
なお、当該委員会については、事業所単位でなく、法人単位で設置・開催することを可能としている。
また、虐待の防止のための対策を検討する委員会(以下「虐待防止委員会」という。)と関係する職種等が相互に関係が深いと認めることも可 能であることから、虐待防止委員会と一体的に設置・運営すること(虐待防止委 員会において、身体拘束等の適正化について検討する場合も含む。)をもって、 当該委員会を開催しているとみなして差し支えない。
また、委員会はテレビ電 話装置等(リアルタイムでの画像を介したコミュニケーションが可能な機器を いう。以下同じ。)を活用して行うことができるものとする。ただし、障害のある者が参加する場合には、その障害の特性に応じた適切な配慮を行うこと。 なお、個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(外部リンク)」等を遵守すること。 - 身体拘束等の適正化のための指針を整備していない場合。
- 身体拘束等の適正化のための研修を定期的に実施していない場合。
具体的に は、研修を1年に1回以上実施していない場合とする。
- 指定障害福祉サービス基準又は指定障害者支援施設基準の規定に基づき求められる身体拘束等に係る記録が行われていない場合。
参考:障発第1031001号
留意事項(障害児向けサービス)
- 対象となる支援
児童発達支援、放課後等デイサービス、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援、障害児入所支援、共生型障害児通所支援、基準該当通所支援(みなし基準該当通所支援を除く。) - 算定される単位数
- 障害児入所支援については、基本報酬の所定単位数の100分の10に相当する単位数を当該所定単位数から減算する。
- 児童発達支援、放課後等デイサービス、居宅訪問型児童発達支援、保育所等訪問支援、共生型障害児通所支援、基準該当通所支援(みなし基準該当通所支援を除く。)については、所定単位数の100分の1に相当する単位数を所定単位数から減算する。
- 障害児入所支援については、基本報酬の所定単位数の100分の10に相当する単位数を当該所定単位数から減算する。
- ③ 当該減算については、次の①から④までに掲げる場合のいずれかに該当する事実が生じた場合であって、速やかに改善計画を都道府県知事等に提出した後、事実が生じた月から3月後に改善計画に基づく改善状況を都道府県知事等に報告することとし、事実が生じた月の翌月から改善が認められた月までの間について、利用者全員について所定単位数から減算することとする。
なお、これは、適正なサービスの提供を確保するための規定であり、指定障害児通所支援事業所、指定障害児入所施設及び指定発達支援医療機関は、身体拘束等の廃止を図るよう努めるものとする。
なお、「事実が生じた」とは、運営基準を満たしていない状況が確認されたことを指すものである。
都道府県知事等は、次の①から④までに掲げる場合のいずれかに該当する事実が継続する場合には、改善を行うよう指導すること。当該指導に従わない場合には、特別な事情がある場合を除き、指定の取消しを検討するものとする。
- 指定通所基準等の規定に基づき求められる身体拘束等に係る記録が行われていない場合。
なお、施設等において身体拘束等が行われていた場合ではなく、記録が行われていない場合である点、緊急やむを得ない理由については、切迫性、非代替性、一時性の3つの要件全てを満たし、かつ、組織としてそれらの要件の確認等の手続を行った旨を記録しなければならない点に留意すること。 - 指定通所基準等の規定に基づき求められる身体拘束等の適正化のための対策を検討する委員会(以下「身体拘束適正化検討委員会」という。)を定期的に開催していない場合。具体的には、1年に1回以上開催していない場合とする。
なお、当該委員会については、事業所単位でなく、法人単位で設置・開催することを可能としている。また、虐待の防止のための対策を検討する委員会(以下「虐待防止委員会」という。)と関係する職種等が相互に関係が深いと認めるも可能であることから、虐待防止委員会と一体的に設置・運営すること(虐待防止委員会において、身体拘束等の適正化について検討する場合も含む。)をもって、当該委員会を開催しているとみなして差し支えない。
また、委員会はテレビ電話装置その他の情報通信機器(以下「テレビ電話装置等」という。)を活用して行うことができるものとする。
ただし、障害児が参加する場合には、その障害の特性に応じた適切な配慮を行うこと。なお、個人情報保護委員会「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(外部リンク)」等を遵守すること。 - 身体拘束等の適正化のための指針を整備していない場合
- 身体拘束等の適正化のための研修を定期的に実施していない場合。
具体的には、研修を1年に1回以上実施していない場合とする。
- 指定通所基準等の規定に基づき求められる身体拘束等に係る記録が行われていない場合。
Q&A
-
【Q&A】虐待防止の取組について、小規模な事業所にも過剰な負担とならないようにするには、どのような取組が考えられる?│R03,04,08.問3
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【Q&A】身体拘束等の適正化のための研修及び虐待防止のための研修の関係とは?│R03,04,08.問2
-
【Q&A】身体拘束等廃止未実施減算について、実地指導等において不適切な取扱いが判明した場合の適用はどのようになる?│R03,03,31.問19
-
【Q&A】身体拘束適正化検討委員会の開催及び研修の実施について、「年に1回」の考え方は?│R03,03,31.問18
-
【Q&A】身体拘束廃止未実施減算について、適用にあたっての考え方とは?│H31,03,29.問1
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まとめ
事業所が報酬減算を避けるためには、「身体拘束廃止未実施減算」の要件を正しく理解し、基準を満たす取り組みを継続的に行うことが重要です。身体拘束適正化委員会の設置や研修実施、改善計画の提出と進捗報告を徹底することで、利用者に質の高い支援を提供できる環境を維持しましょう。この取り組みは、事業所の信頼を高めるだけでなく、利用者の権利擁護とサービスの質向上にもつながります。