「利用定員超過減算」の概要
障害福祉サービス事業所が提供するサービスは、適切な人員配置や施設規模を基に「利用定員」が設定されています。この「利用定員」を超えてサービスを提供した場合、「利用定員超過減算」が適用されることがあります。
利用定員超過減算とは、利用者が定員を大幅に超過した場合に事業所の報酬が減額される制度です。厚生労働省が定めた基準に従い、所定単位数が100分の70に減算されるのが一般的です。この規定は、過剰な利用によってサービスの質が低下しないよう、また、利用者の安全を確保するために設けられています。
対象サービス
適用条件など
適用条件については事業によっても異なるので、留意事項を参照してください。
報酬告示と留意事項
報酬告示
所定単位数×70/100単位 |
利用者の数利(利用定員超過減算)又は従業者の員数(人員欠如減算)が別に厚生労働大臣が定める基準に該当する場合 別に厚生労働大臣が定める割合
参考:厚生労働省告示第523号
留意事項(障害者)
- ①対象となる障害福祉サービス
-
療養介護、生活介護、短期入所、施設入所支援、自立訓練(機能訓練)、自立訓練(生活訓練)、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型
- ②算定される単位数
-
所定単位数の100分の70とする。
なお、当該所定単位数は、各種加算がなされる前の単位数とし、各種加算を含めた単位数の合計数の100分の70となるものではないことに留意すること。 - ③
-
指定障害福祉サービス事業所等の利用定員を上回る利用者を利用させているいわゆる定員超過利用について、原則、次の範囲の定員超過利用については、適正なサービスの提供が確保されることを前提に可能とする一方、これを超える定員超過利用については、報酬告示及び厚生労働大臣が定める利用者の数の基準、従業者の員数の基準及び営業時間の時間数並びに所定単位数に乗じる割合並びにこども家庭庁長官及び厚生労働大臣が定める利用者の数の基準及び従業者の員数の基準並びに所定単位数に乗じる割合(平成18年厚生労働省告示第550 号(外部リンク)。以下「第550号告示」という。)の規定に基づき、介護給付費等の減額を行うこととしているところであるが、これは適正なサービスの提供を確保するための規定であり、指定障害福祉サービス事業所等は、当該範囲を超える過剰な定員超過利用の未然防止を図るよう努めるものとする。
- ④日中活動サービスにおける定員超過利用減算の具体的取扱い
-
- 1日当たりの利用実績による定員超過利用減算の取扱い
- ア 利用定員50人以下の指定障害福祉サービス事業所等の場合
1 日の利用者の数(複数のサービス提供単位が設置されている場合にあっては、 当該サービス提供単位ごとの利用者の数。以下この❶から❸まで及び⑤にお いて同じ。)が、利用定員(複数のサービス提供単位が設置されている場合にあ っては、当該サービス提供単位ごとの利用定員。以下この❶から❸まで及び⑤ において同じ。)に 100 分の150を乗じて得た数を超える場合に、当該 1 日について利用者全員につき減算を行うものとする。 - イ 利用定員 51 人以上の指定障害福祉サービス事業所等の場合
1 日の利用者の数が、利用定員から50を差し引いた数に、100分の125を乗じて得た数に、75を加えて得た数を超える場合に、当該1日について利用者全員につき減算を行うものとする。
- ア 利用定員50人以下の指定障害福祉サービス事業所等の場合
- 過去3月間の利用実績による定員超過利用減算の取扱い
- ア 直近の過去3月間の利用者の延べ数が、利用定員に開所日数を乗じて得た数に100分の125を乗じて得た数を超える場合に、当該1月間について利用者全員につき減算を行うものとする。
(例) 利用定員30人、1月の開所日数が22日の施設の場合
30人×22日×3月=1,980人
1,980人×1.25=2,475人
※ 3月間の総延べ利用者数が2,475人を超える場合に減算となる。
ただし、定員 11 人以下の場合(多機能型事業所においては、複数のサービ スの利用定員の合計が 11 人以下の場合。)は、過去 3 月間の利用者の延べ数が、利用定員に 3 を加えて得た数に開所日数を乗じて得た数を超える場合に減算を行うものとする。
- ア 直近の過去3月間の利用者の延べ数が、利用定員に開所日数を乗じて得た数に100分の125を乗じて得た数を超える場合に、当該1月間について利用者全員につき減算を行うものとする。
- 多機能型事業所等における定員超過利用減算の取扱い
多機能型事業所等における1日当たりの利用実績による定員超過利用減算及び過去3月間の利用実績による定員超過利用減算については、❶及び❷と同様、当該多機能型事業所等が行う複数のサービス又は昼間実施サービスごとに、当該利用定員を超える受入れ可能人数を算出するものとする。
(例1) 利用定員40人の多機能型事業所(生活介護の利用定員20人、自立訓練(生活訓練)の利用定員10人、就労継続支援B型の利用定員10人)の場合の1日当たりの利用実績による定員超過利用減算
- 生活介護
→20人×150%=30人(10人まで受入可能) - 自立訓練(生活訓練)
→10人×150%=15人(5人まで受入可能) - 就労継続支援B型
→10人×150%=15人(5人まで受入可能)
- 生活介護
サービスごとに次の人数を超える場合に減算となる。
- 生活介護 → 30人
- 自立訓練(生活訓練) → 15人
- 就労継続支援B型 → 15人
(例2) 利用定員40人、1月の開所日数が22日の多機能型事業所(生活介護の利用定員20人、自立訓練(生活訓練)の利用定員10人、就労継続支援B型の利用定員10人)の場合の過去3月間の利用実績による定員超過利用減算
- 生活介護
→20人×22日×3月=1,320人
1,320人×125%=1,650人(利用定員を超える受入可能人数→1,650人-1,320人=330人) - 自立訓練(生活訓練)
→10人×22日×3月=660人
660人×125%=825人(利用定員を超える受入可能人数→825人-660人=165人) - 就労継続支援B型
→10人×22日×3月=660人
660人×125%=825人(利用定員を超える受入可能人数→825人-660人=165人)
サービスごとに次の人数を超える場合に減算となる。- 生活介護 → 1,650人
- 自立訓練(生活訓練) → 825人
- 就労継続支援B型 → 825人
- 1日当たりの利用実績による定員超過利用減算の取扱い
- ⑤療養介護、短期入所、宿泊型自立訓練及び施設入所支援における定員超過利用減算の具体的取扱い
-
- 1日当たりの利用実績による定員超過利用減算の取扱い
- ア 利用定員50人以下の指定障害福祉サービス事業所等の場合
1日の利用者の数が、利用定員に100分の110を乗じて得た数を超える場合に、当該1日について利用者全員につき減算を行うものとする。 - イ 利用定員51人以上の指定障害福祉サービス事業所等の場合
1日の利用者の数が、利用定員から50を差し引いた数に100分の105を乗じて得た数に、55を加えて得た数を超える場合に、当該1日について利用者全員につき減算を行うものとする。
- ア 利用定員50人以下の指定障害福祉サービス事業所等の場合
- 過去3月間の利用実績による定員超過利用減算の取扱い
直近の過去3月間の利用者の延べ数が、利用定員に開所日数を乗じて得た数に100分の105を乗じて得た数を超える場合に、当該1月間について利用者全員につき減算を行うものとする。
(例) 利用定員50人の施設の場合
(50人×31日)+(50人×30日)+(50人×31日)= 4,600人
4,600人×105%=4,830人(受入れ可能延べ利用者数)
※3月間の総延べ利用者数が4,830人を超える場合に減算となる。 - 短期入所において定員超過特例加算を算定する場合の定員超過利用減算及 び大規模減算の取扱い
短期入所において定員超過特例加算を算定している期間については、定員超過利用減算及び大規模減算は適用しない。
- 1日当たりの利用実績による定員超過利用減算の取扱い
- ⑥利用者数の算定に当たっての留意事項
-
④及び⑤における利用者の数の算定に当たっては、次の❶から❸までに該当する利用者を除くことができるものとする。
また、計算の過程において、小数点以下の端数が生じる場合については、小数点以下を切り上げるものとする。
- 身体障害者福祉法(昭和24年法律第28 号)第18条第1項若しくは第2項、 知的障害者福祉法(昭和35年法律第37号)第15条の4若しくは第16条第1項 第2号又は児童福祉法(昭和22 年法律第164号)第21条の6の規定により市町村が行った措置に係る利用者を受け入れる場合
- 「地域生活への移行が困難になった障害者及び離職した障害者の入所施設等への受入について(外部リンク)」(平成18年4月3日付け障障発第0403004号)により定員の枠外として取り扱われる入所者
- 災害等やむを得ない理由により定員の枠外として取り扱われる入所者
- 3の⑸の①の㈢に規定する一時的にアセスメントを受ける場合の就労移行支援の利用者
- 身体障害者福祉法(昭和24年法律第28 号)第18条第1項若しくは第2項、 知的障害者福祉法(昭和35年法律第37号)第15条の4若しくは第16条第1項 第2号又は児童福祉法(昭和22 年法律第164号)第21条の6の規定により市町村が行った措置に係る利用者を受け入れる場合
- ⑦都道府県知事は減産の対象となる…
-
都道府県知事は減算の対象となる定員超過利用が行われている指定障害福祉サービス事業所等に対しては、その解消を行うよう指導すること。当該指導に従わず、当該定員超過利用が継続する場合には、特別な事情がある場合を除き、指定の取消しを検討するものとする。
なお、指定障害福祉サービス事業所等は、減算の対象とはならない定員超過利用の場合であっても、利用者処遇等について十分配慮すること。
留意事項(障害児)
- 対象となる支援
児童発達支援(旧指定発達支援医療機関において肢体不自由児又は重症心身障害児に対し行う児童発達支援を除く。以下この(5)において同じ。)、放課後等デイサービス、共生型障害児通所支援、基準該当通所支援、障害児入所支援(指定発達支援医療機関を除く。) - 算定される単位数
所定単位数の100分の70とする。
なお、当該所定単位数は、各種加算がなされる前の単位数とし、各種加算を含めた単位数の合計数の100分の70となるものではないことに留意すること。 - 指定障害児通所支援事業所等の利用定員を上回る障害児を利用させているいわゆる定員超過利用について、原則、次の範囲の定員超過利用については、適正なサービスの提供が確保されることを前提に可能とする一方、これを超える定員超過利用については、こども家庭庁長官が定める障害児の数の基準、従業者の員数の基準及び営業時間の時間数並びに所定単位数に乗じる割合(平成24年厚生労働省告示第271号。以下「第271号告示」という。)の規定に基づき、障害児通所給付費等の減額を行うこととしているところであるが、これは適正なサービスの提供を確保するための規定であり、指定障害児通所支援事業所等は、当該範囲を超える過剰な定員超過利用の未然防止を図るよう努めるものとする。
- 障害児通所支援における定員超過利用減算の具体的取扱い
- 1日当たりの利用実績による定員超過利用減算の取扱い
- ア 利用定員50人以下の場合
1日の障害児の数(複数のサービス提供単位が設置されている場合にあっては、当該サービス提供単位ごとの障害児の数。以下この①から③までにおいて同じ。)が、利用定員(複数のサービス提供単位が設置されている場合にあっては、当該サービス提供単位ごとの利用定員。
以下この①から③までにおいて同じ。)に100分の150を乗じて得た数を超える場合に、当該1日について障害児全員につき減算を行うものとする。 - イ 利用定員51人以上の場合
1日の障害児の数が、利用定員に、当該利用定員から50を差し引いた数に100分の25を乗じて得た数に、25を加えた数を加えて得た数を超える場合に、当該1日について障害児全員につき減算を行うものとする。
- ア 利用定員50人以下の場合
- 過去3月間の利用実績による定員超過利用減算の取扱い
直近の過去3月間の障害児の延べ数が、利用定員に開所日数を乗じて得た数に100分の125を乗じて得た数を超える場合に、当該1月間について障害児全員につき減算を行うものとする。
(例) 利用定員30人、1月の開所日数が22日の場合
・ 30人×22日×3月=1,980人
・ 1,980人×1.25=2,475人 (受入可能延べ障害児数)
・ 3月間の総延べ障害児数が2,475人を超える場合に減算となる。
ただし、定員11人以下の場合は、過去3月間の利用者の延べ数が、利用定員に3を加えて得た数に開所日数を乗じて得た数を超える場合に減算を行うものとする。 - 多機能型事業所等における定員超過利用減算の取扱い多機能型事業所における1日当たりの利用実績による定員超過利用減算及び過去3月間の利用実績による定員超過利用減算については、①及び②と同様とする。
ただし、当該多機能型事業所が行う複数のサービスごとに利用定員を定めている場合にあっては、当該サービスごとに、当該利用定員を超える受入れ可能人数を算出するものとする。
- (例1) 利用定員30人の多機能型事業所(児童発達支援の利用定員10人、生活介護の利用定員20人)の場合の1日当たりの利用実績による定員超過利用減算・ 児童発達支援
→10人×150%=15人 (利用定員を超える受入可能人数5人)
・ 生活介護
→20人×150%=30人 (利用定員を超える受入可能人数10人)
サービスごとに次の人数を超える場合に減算となる。
・ 児童発達支援→15人
・ 生活介護→30人 - (例2) 利用定員30人、1月の開所日数が22日の多機能型事業所(児童発達支援の利用定員10人、生活介護の利用定員20人)の場合の過去3月間の利用実績による定員超過利用減算
・ 児童発達支援
→ 10人×22日×3月=660人660人×125%=825人 (利用定員を超える受入可能人数→825人-660人=165人)
・ 生活介護
→ 20人×22日×3月=1,320人
1,320人×125%=1,650人 (利用定員を超える受入可能人数→1,650人-1,320人=330人)
サービスごとに次の人数を超える場合に減算となる。
・ 児童発達支援→825人
・ 生活介護→1,650人
- (例1) 利用定員30人の多機能型事業所(児童発達支援の利用定員10人、生活介護の利用定員20人)の場合の1日当たりの利用実績による定員超過利用減算・ 児童発達支援
- 1日当たりの利用実績による定員超過利用減算の取扱い
- 障害児入所支援における定員超過利用減算の具体的取扱い
- 1日当たりの利用実績による定員超過利用減算の取扱い
- ア 入所定員50人以下の場合
1日の障害児の数が、入所定員に100分の110を乗じて得た数を超える場合に、当該1日について障害児全員につき減算を行うものとする。 - イ 入所定員51人以上の場合
1日の障害児の数が、入所定員に、当該入所定員から50を差し引いた数に100分の5を乗じて得た数に、5を加えた数を加えて得た数を超える場合に、当該1日について障害児全員につき減算を行うものとする。
- ア 入所定員50人以下の場合
- 過去3月間の利用実績による定員超過利用減算の取扱い
直近の過去3月間の障害児の延べ数が、入所定員に開所日数を乗じて得た数に100分の105を乗じて得た数を超える場合に、当該1月間について障害児全員につき減算を行うものとする。
(例) 入所定員50人の施設の場合
(50人×31日)+(50人×30日)+(50人×31日)=4,600人
4,600人×105%=4,830人 (受入可能延べ障害児数)
・ 3月間の総延べ障害児数が4,830人を超える場合に減算となる。
- 1日当たりの利用実績による定員超過利用減算の取扱い
- 障害児の数の算定に当たっての留意事項
❹及び❺における障害児の数の算定に当たっては、次の①又は②に該当する障害児を除くことができるものとする。
また、計算の過程において、小数点以下の端数が生じる場合については、小数点以下を切り上げるものとする。- 災害等やむを得ない事由により受け入れる場合
- 就労等により、指定福祉型障害児入所施設を退所した後、離職等やむを得ない事由により再度障害児入所支援の利用を希望する障害児を緊急避難的に受け入れた場合
- 都道府県知事(指定都市、中核市及び児童相談所設置市の市長を含む。以下同じ。)は減算の対象となる定員超過利用が行われている指定障害児通所支援事業所等に対しては、その解消を行うよう指導すること。当該指導に従わず、当該定員超過利用が継続する場合には、特別な事情がある場合を除き、指定の取消しを検討するものとする。
なお、指定障害児通所支援事業所等は、減算の対象とはならない定員超過利用の場合であっても、処遇等について十分配慮すること。
参考様式
様式へのリンク | 出典 |
定員超過利用減算に係る算定シート(エクセル:53KB) | 茨城県 福祉部障害福祉課 |
Q&A
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まとめ
事業所における「利用定員超過減算」は、事業運営において重要なポイントです。定員を適切に管理し、過剰な受け入れを防ぐことで、報酬の減額を回避しつつ質の高いサービスを提供することが可能です。本記事で解説した基準や計算例を参考に、適切な運営体制を整えていきましょう。